異世界ではじめて奪われました

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episode21

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2日練習、1日休みを3回繰り返して現在練習6回目。

「難しい!!」
あまり進んでいなかった。
体中を巡る感覚は掴んできたが巡る量の調整がかなり難しい。
「もう少しイメージを明確にした方がいいかもね」
ロジーとはかなり仲良くなっていつの間にかお互い敬語は使わなくなっていた。

「今はなにをイメージしてる?」
「できるだけ細く、少なくとか」
「それだと少し抽象的だね。身の回りにある物を想像したほうがいいかも。例えば箸とか」
「なるほど.....」
箸をイメージしてやってみるとかなりやりやすかった。
だが長さの問題かどうも途切れ途切れになってしまう。

もっと細くて長い物.....。
そうだ!糸!
糸を想像してみたが細すぎて難しい。
それなら凧糸ならどうだと想像してみるとなんとかできた。

「やっとできた....」
「よし、じゃあその感覚を忘れないうちにもう一度」
「はい....」
ロジーは結構スパルタだ。

その他に細いストローや太いストローなどイメージを明確にして量を調整し、すぐに切り替える練習なども続けた。
そしてようやく魔法の練習をさせてもらえるようになった時にははこの世界に来てから約1ヶ月が経っていた。

やっと魔法の練習ができる!
長かったー!

「まず属性を選ぼう。火、水、氷、風、土、光、闇があるんだけどどれが1番イメージしやすい?」
「うーん....。火と水と氷かな....?」
「じゃあ水で練習してみようか」
ロジーが右手を出すと手のひらに水の玉が現れた。

「おお!すごい!」
今ならわかる。あんな一瞬で発現させるのは結構大変だと。
前に一度魔法を使った時は光のイメージだけで魔力量の調整はできていなかった。
魔力を注ぐ量で威力が変わってくるので言うなればアクセルベタ踏みで光を放ったようなものである。
そりゃ目も眩むよ....。

「維持はしなくてもいいから。注ぐ量に気をつけて」
出現させた魔法は魔力を注ぎ続けることで維持ができる。
しかし出現させた時と同じ量の魔力を注ぐと増えすぎて暴発してしまうため減った分の魔力を注ぎ続けなければいけない。

初めてレクスと会った時に使ってた魔法ってそんな高度なことしてたの?って思ったよね。
それを喋りながらやってるっていったい頭の中どうなってんの?
自分にはできる気がしません。

右手を出して水をイメージ.....。
野球ボールくらいの大きさでその中に魔力を注ぐ....。
満たすイメージで魔力を注いだ。

できた!
と思った瞬間にパァーンと水が飛び散った。

「ふっ....、くくっ.....」
「ロジー.....。笑すぎ」
「ごめっ....ふふっ.....」
ひとしきり笑ったところでようやく止まった。
「ほんとハルトって期待を裏切らないよね」
「俺的には不本意なんだけど」
暴発した水がかかってビショビショになってしまった。

それからも何度かやってみたがそれでも暴発したり、中途半端なものばかりだった。
どうしたもんかと試しに魔力を纏わせるくらいでやってみた。

.....できちゃったよ
意外と少ない魔力量でいけるのか。
「思ったより魔力消費量少ないんだね」
率直な感想を述べた。
「どのくらいでイメージしたの?」
「纏わせるくらい」
元々大きいロジーの目がさらに大きくなった。

「え、もしかしておかしい?」
「.....うーん....通常は満たすように魔力を注ぐと教えられるから....。ただ、例外がもしかしたら居るかもしれない。ちょっと今は判断できないかな」
「まじですか....」
多分俺がおかしいんだろうな。
確認が取れてから練習再開とのことで今日はこれで終了。

ビショビショになってしまったので風呂にでも入りに行こうかと思ったらロジーに全力で止めらた。
確かに今まではレクスかレオンと一緒に入っていたがこの1ヶ月で知り合いも増えた。
練習が休みの時には騎士団の人達と一緒にトレーニングをしているので他の騎士団の人とも仲良くなった。

竜青騎士団の敷地内であれば1人で出歩いてもいいという許可も出たので散歩中に声をかけられたり迷子になった時は助けて貰っている。

「大丈夫だよ。誰かしら知ってる人いると思うし」
まだ魔石に魔力を流すのは加減がわからず壊しそうなのでいつもレクスかレオンに頼んでいた。

「そういう問題じゃないから。ちょっと待ってて、どうしても入りたいなら報告してくる」
「えー」
「絶対待っててね」

ごめん、ロジー。
行ってくるわ。
耐えきれずにお風呂場へと向かった。
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