年下上司の愛が重すぎる!

文字の大きさ
24 / 60

閑話:佐原視点

しおりを挟む
御堂先生が姫崎さんに好意を抱いているのは、初めてお会いした時からわかっていた。
姫崎さんは気づいていないようだったけど。好意なんて今までたくさん向けられていただろうに。それとも、気づかないフリでもしているんだろうか。
どちらにせよ、気づかないならその方がいい。
俺のだけ知っていてくれればそれで。

だから、御堂先生には正直あまり会ってほしくない。
けど、仕事に対する姿勢は本当に尊敬しているから、すぐに向かうと決めたときは、かっこいい、と思ってしまうんだ。

それなのに、俺の腹の虫が空気を読まなかったせいでご自宅にお邪魔することになってしまった。
姫崎さんが誰かの作った料理を食べてるところなんて見たくなかったのに。あ、でもお酒を美味しそうに飲んでる姫崎さんはめちゃくちゃかわいかった。

申し訳なさそうにトイレへ向かう姿も、俺を気遣ってくれているのがわかって嬉しい。

「チッ.....、ぽっと出が.....」

ん?聞き間違いか?今御堂先生の方から聞こえてきたような....。

さっきまで話していた声色とは全然違ったので空耳かとも思ったのだが、振り返った御堂先生の顔は全く笑っていなかった。

「接点ないなかどんだけ時間かけてここまで仲良くなったと思ってんだ」

.....どうやら、聞き間違いや空耳ではなかったらしい。今の言葉は、間違いなく御堂先生から発せられていた。

「....どうしたんですか?御堂先生。もしかして酔ってます...?」

「あんなんで酔うわけねえだろ」

こっちが本性か.....。
他人の言葉遣いにとやかく言うつもりはないが、すごい変わりようだ。声だけ聞いてたら誰かわからないんじゃないだろうか。

「...同居は、姫崎さんを守る上で必要な事です」

「あ?んな建前どうだっていいんだよ。警部さんだって楽しんでんだろ?」

たしかに、それは否定できない。姫崎さんが家にいる事に浮かれているし、手料理を食べれるなんて思いもしなかった。

「急に仲良くなりやがって...。まさか付き合ってるとか言わねえよなぁ?」

「.....付き合ってませんよ。それにしても、御堂先生がそんな言葉遣いをなさるとは...皆さんご存知なんですか?」

「関係ねえだろ」

と、いうことは知らないっぽいな...。それだけ俺が敵視されてるってことか?

「んなことより、俺も同居できるように言ってくれよ。あんた一応偉いんだろ?」

「......嫌です」

警部としてではなく、姫崎さんを好きな一人の男として拒否した。巻き込む可能性があるから、とも言えたのにそう言わなかったのは、単なる意地だ。

「無理じゃなく嫌、ねぇ...。あんただってどうせにわかだろ。こっちは姫崎さんが警察入った時からなんだよ。少しは遠慮しろ」

「時間で言うなら俺は子供の頃からです」

「はぁ?なにそれ。冗談でも笑えねえな」

「冗談ではないですから」

「だとしたら余計キモいわ」

「別にあなたになんと思われてもいいです。姫崎さんは引かずに聞いてくれましたから」

「チッ...。仲良しアピールしてくんじゃねえよ、イラつくなぁ。ってかあんたゲイなの?ノンケみたいなツラして。どうせ女も抱けるんだろ?」

「なっ....!」

あけすけな言葉に、思わず絶句する。
たしかに、俺は姫崎さんしか好きになった事がないから、自分がどちらの性別が好きなのかよくわかっていない。でも、それってそんなに重要だろうか?

だって、もし姫崎さんが女性でも何も変わらない。俺は"姫崎さん"が好きだから性別など二の次だ。

「なにその反応。もしかして童貞?」

「....さっきからなんなんですか。そんな事御堂先生に関係ないですよね?」

「あるよ。女も抱けるならわざわざ男に執着する必要ないだろ。それに童貞なら姫崎さんを満足させることもできないだろうしさっさと諦めろ」

「俺は男だからとか女だからとかじゃなくて、姫崎さんが好きなんです!諦めるとか絶対にないですから!それに姫崎さんは——」

言いかけてはっと口をつぐんだ。
姫崎さんがセックスに対してトラウマがあることは知られたくないようだったし、人のプライベートを勝手に話すのはよくないだろう。ましてやデリケートな問題だ。

「なんだよ。そうやって自分は姫崎さんのことよく知ってるって言いたいのか?」

「ち、違——」

「言っとくけど、俺だって譲る気なんてさらさらねーから」

言い返そうとした時、ドアががちゃりと音を立てて開き、姫崎さんが戻ってきた。

「どうかしましたか...?」

「いえ!なにも!それよりも姫崎さん、私も同居させていただきたいのですが!」

一瞬で猫をかぶる様が、単純にすごいと思った。自分ならあんな器用にできない。

最近気づいたのだが、姫崎さんは仕事モードになると愛想が格段に良くなる。警察のイメージを悪くしないためか、その方が物事が円滑に進むからなのか、理由は知らない。
そして、圧倒的に押しに弱くなる。嫌な事でも、やんわりと断ろうとするからだ。
同じ課の人にはすぐに手や足がでるのに、今は近寄られても困ったような顔をして後ずさるだけ。

御堂先生の本性を知った今、遠慮はいらない。
俺が姫崎さんを守らなくては!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

【完結】※セーブポイントに入って一汁三菜の夕飯を頂いた勇者くんは体力が全回復します。

きのこいもむし
BL
ある日突然セーブポイントになってしまった自宅のクローゼットからダンジョン攻略中の勇者くんが出てきたので、一汁三菜の夕飯を作って一緒に食べようねみたいなお料理BLです。 自炊に目覚めた独身フリーターのアラサー男子(27)が、セーブポイントの中に入ると体力が全回復するタイプの勇者くん(19)を餌付けしてそれを肴に旨い酒を飲むだけの逆異世界転移もの。 食いしん坊わんこのローグライク系勇者×料理好きのセーブポイント系平凡受けの超ほんわかした感じの話です。

執着

紅林
BL
聖緋帝国の華族、瀬川凛は引っ込み思案で特に目立つこともない平凡な伯爵家の三男坊。だが、彼の婚約者は違った。帝室の血を引く高貴な公爵家の生まれであり帝国陸軍の将校として目覚しい活躍をしている男だった。

【完結】兄さん、✕✕✕✕✕✕✕✕

亜依流.@.@
BL
「兄さん、会いたかった」 夏樹にとって、義弟の蓮は不気味だった。 6年間の空白を経て再開する2人。突如始まった同棲性活と共に、夏樹の「いつも通り」は狂い始め·····。 過去の回想と現在を行き来します。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

死に戻り騎士は、今こそ駆け落ち王子を護ります!

時雨
BL
「駆け落ちの供をしてほしい」 すべては真面目な王子エリアスの、この一言から始まった。 王子に”国を捨てても一緒になりたい人がいる”と打ち明けられた、護衛騎士ランベルト。 発表されたばかりの公爵家令嬢との婚約はなんだったのか!?混乱する騎士の気持ちなど関係ない。 国境へ向かう二人を追う影……騎士ランベルトは追手の剣に倒れた。 後悔と共に途切れた騎士の意識は、死亡した時から三年も前の騎士団の寮で目覚める。 ――二人に追手を放った犯人は、一体誰だったのか? 容疑者が浮かんでは消える。そもそも犯人が三年先まで何もしてこない保証はない。 怪しいのは、王位を争う第一王子?裏切られた公爵令嬢?…正体不明の駆け落ち相手? 今度こそ王子エリアスを護るため、過去の記憶よりも積極的に王子に関わるランベルト。 急に距離を縮める騎士を、はじめは警戒するエリアス。ランベルトの昔と変わらぬ態度に、徐々にその警戒も解けていって…? 過去にない行動で変わっていく事象。動き出す影。 ランベルトは今度こそエリアスを護りきれるのか!? 負けず嫌いで頑固で堅実、第二王子(年下) × 面倒見の良い、気の長い一途騎士(年上)のお話です。 ------------------------------------------------------------------- 主人公は頑な、王子も頑固なので、ゆるい気持ちで見守っていただけると幸いです。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

【完結】伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  ゆるゆ
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃん……え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが、びっくりして憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこよくて可愛い伴侶がいますので! ノィユとヴィルの動画を作ってみました!(笑)  インスタ @yuruyu0   Youtube @BL小説動画 です!  プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったらお話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです! ヴィル×ノィユのお話です。 本編完結しました! 『もふもふ獣人転生』に遊びにゆく舞踏会編、完結しました! 時々おまけのお話を更新するかもです。 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!

処理中です...