年下上司の愛が重すぎる!

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番外編:甘え上手 佐原視点

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約束した日から随分経ってしまったが、今日はようやく姫崎さんと二人っきりで食事に行くことができた。
場所は事前に調べておいた、姫崎さんが好きな日本酒の飲み比べができるお店だ。
それぞれのお酒に合わせた料理も提供していて、終始テンションが高く、楽しんでくれたように思う。

ただ、どうやら飲ませすぎてしまったようだ。

「わっ、姫崎さん!歩けないならおぶりますから!」

「うるせぇ!あるけるっていってんだろぉ!」

「危ないですって!」

大丈夫だといいながらも電柱にぶつかりそうになっている。
楽しそうに飲んでいる姿や、ぽやぽやとしているのが可愛くてつい勧めてしまったが、止めるべきだったのかもしれない。
明日が非番とはいえ、二日酔いにでもなったら可哀想だ。

やっとの思いで家に着くと、部屋に入るなり「暑い!」と言って服を脱ぎ散らかしながら奥へと進んでいく。俺はその服を拾いながら追いかけた。
寝室までたどり着いた姫崎さんは、裸のままベッドへ突っ伏している。

「姫崎さん、風邪ひいちゃいますよ。お水も飲んでください」

「んー.....」

これはもう起き上がれないだろうなと思い、水を持ってベッド脇に座る。

「姫崎さん、水持ってきましたから。顔だけもう少しこっち向けますか?」

「ん...?みず....」

飲ませろ、とでも言うようにこちらに顔を向けて口を大きく開く。
あまりの無防備さに、ぐ、と息を呑んだ。
本当にもう、この人はどれだけ俺を煽れば気が済むのだろうか。他意がないとわかってはいても、翻弄されてしまう。

熱を逃すように深く息を吐いてから、水を口に含んだ。
顎に手を添え、唇が重なると身体が跳ねたが、水を少しずつ流し込めば素直に喉が上下した。

「ん.....は、もっと....」

「っ!」

単にが欲しいだけだとわかっている。けれど、口の端を伝う水や、火照った顔がたまらなくエロい。
このまま食べてしまえ、という悪魔の囁きと、かなり酔っているので休ませた方がいい、という良心がせめぎ合う。

「さはら、はやく...」

「っ.....、俺は試されてるんですかね....?」

「まだぜんぜんたりないってばぁ....」

「ぐっ....!」

耐えろ...!俺...!

必死に理性をかき集め、なんとか姫崎さんが満足するまで耐えきったものの、俺の中心は完全に勃ち上がっていた。
姫崎さんは、眠そうに瞬きをしながらこっちを見つめてくる。
勃っていることに気づいているのかいないのか、どちらにしろ少々気まずい。

「....おまえもぬげ」

「はい?」

そっと視線を外した直後、裾をくん、と引かれてそう言われ、耳を疑った。

「はやくぬげ」

聞き間違いかとも思ったが、もう一度同じ様に言ってぐいぐいと服を引っ張ってくる。

「ちょ、ちょっと待ってくださいっ」

「なんだよ。おれのまえではぬげないのか」

「そうじゃなくてっ!」

「じゃあはやくぬげ」

こ、これは誘われてるってことでいいんですかね!?
いくら酔っているとはいえ、他の人にこんなことは言わないだろう。言わないと思いたい。
混乱している間もなんとか脱がそうと、服を引きちぎる勢いだ。

「ま、まってください!わかりました!脱ぎますから!」

根負けして脱ぎ始めると、まるでストリップでもしているような気分になってくる。
もたもたと上を全て脱ぎ終えた時、腕を思いっきり引かれた。

「わっ、危なっ...、っ、姫崎、さん....?」

上に倒れ込むような形になり、慌てて起こそうとした背中に姫崎さんの腕が回される。
何を、と口にする前に、顔を擦り寄せてきた。

「なっ!ちょ...えっ!?」

「んん.....。やっぱりきもちい....」

は!?なになになになに!?かわいいいいいいい!もしかして甘えてる!?やっぱりってどういうこと!?

突然のデレに、脳内の処理が全く追いつかない。
あまりの可愛さにフリーズしていると、胸に顔を埋めていた姫崎さんが顔を上げた。

「....かたいのあたってる」

「へっ!?っあ、すみません...。でも、こんなことされたら勃つに決まってるじゃないですか」

まあ、その前から勃ってましたけどね。
だとしても、そんな責めるような視線を向けられるのは心外だ。普段ツンしか見せない恋人がデレたら、誰だってこうなる。むしろ、ここまで耐えていることを褒めてほしいくらいだ。
姫崎さんはそんなことはどうでもいい、とでも言うかのようにベルトへと手をかけた。

「...これ以上煽るつもりなら、もう我慢はしませんよ」

ベルトにかけた手を掴み、精一杯の理性をかき集めてそう告げる。
だが、これで大人しく寝てくれるだろう、という俺の予想は見事に打ち砕かれた。

「べつにがまんしろなんていってねーし」

「..........................は?」

言葉の意味を理解するのに、数分を要した。
その間に姫崎さんがベルトを外し、前を寛げているのも目に入ってはいたが、映像として映っているだけだ。先程の言葉の意味す理解できていない内からさらに混乱させる様なことをされればもはやショート寸前だ。

「んっ!?」

だが、突然訪れた強い刺激によって意識がはっきりとそちらへ向いた。
あろうことか、ずらされた下着からはみ出ている陰茎を掴んでいたのだ。それも、なにやら不服そうな顔で。
その光景が目に入った瞬間、自分の中でブツッ、と何かが切れる音がした。

「....寝れるなんて、思わないでくださいね」

「それはい、んむっ、ん...」

当然のように拒否しようとする口を強引に塞ぐ。
いつもは逃げたり、所在なさげに戸惑う舌も今日は大人しい。
いつもこれくらい素直だったらいいのに、と思いながら舌を絡めた。とはいえ、逃げる舌を絡めとるのも好きなので常にとは言わないが。

「んっ..はなしは、っん、は...さいごまでっ...んんっ、きけっ...」

「....酔っ払いの話なんて聞くだけ無駄です」

「.....よってねーよ」

「タチの悪い酔っ払いほどそう言うんですよ」

むう、と不満そうに尖らせる唇へ啄むようにキスをした。
そのままの顔で睨まれるがまったく怖くない。むしろかわいいと眺めていれば、顔を背けてしまった。

「もーねる」

「寝かさない、って言ったでしょう?」

「んっ、ぅ...ぁ....ふっ、ははっ」

首筋に吸い付き、赤い跡をつけながら手入れなど全くしていないだろうに、滑らかな肌をさらりと撫でる。そうすれば敏感な身体はすぐに熱を持つ。荒れの知らない唇からはすぐに艶のある声が漏れるが、なぜか途中から笑い声に変わった。

「姫崎さん....?」

顔を隠している髪を掬って耳へかけるとやはり笑っている。なぜ。しかも、普段より無邪気だ。かわいい。もしかして笑上戸?

「何笑ってるんですか」

かわいいとはいえ、面白くはない。

「ふっ、だって、くくっ、おれの、たってない。ははっ!」

たってない。
その言葉に思わず下を見れば、確かに姫崎さんのものは勃っていなかった。
とはいえ何がそんなに面白いのか。きっと飲み過ぎて勃ちが悪いだけだろうに。
この酔っ払いめ、と深くため息をついた。

とてもそういった雰囲気ではなくなってしまい、諦めてごろんと横になる。だからといって萎えたわけではないのだが、休ませた方がいいだろう。

もう一度ため息をついてから姫崎さんを抱えて布団をかけた。その間もなにがツボに入ったのかずっと笑っている。

「ほら、もう寝てください」

「んー、きす」

「はい?」

「きーすー」

いつの間にか笑いを収め、潤んだ瞳でこちらを見上げている。.....これで拒める男はいるのだろうか。いや、女性でも無理だろう。
まったくこの酔っ払いは、と何度目かわからないため息をついた。

軽く重ねるだけに留めておいたが、どうやら満足したらしい。嬉しそうに目を細めると、頬を擦り寄せてそのまますやすやと寝息を立て始めた。

直接肌に伝わる温もりに、かかる寝息に眠れる気がしない。
早々に寝るのを諦めて、腕の中にある温もりを堪能する。
それでも、次からは飲ませすぎないようにしよう、と心に決めた。
可愛い姿が拝め、大満足ではあるがこれでは心臓がいくつあっても足りやしない。
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