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9話
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その日の夜、なかなか眠れずこっそり寮を抜け出した。
自然と足が向いたのはやはり、校舎裏。
深夜の学校はただでさえ静かなのに校舎裏はより静かだ。
木に登って上を見ると枝や葉の間から宝石を散りばめたような星空が見え隠れしている。
いよいよ明日はクラスが発表される。
それでどきどきして眠れないのかもしれない。
遠足前の小学生か、俺は。
ゲームの内容は知らなくて良かったのかもしれない。
だって知ってたらシナリオ通りにいかないとテンパっちゃいそうだし。
あ、でもアレンは誰を選ぶんだろうか。
兄さんとグリード様の様子を見てて思ったけど、男同士にそこまで抵抗は感じなかった。
グリード様が綺麗な人だったからだろうか?
身内のいちゃついているシーンは気まずいものがあったけどそれだけだ。
まあ、だからなんだって話ですけどね。
肌寒くなってきたし、そろそろ戻りますか。
いつものように着地した。
「またお前か」
その一言でぶわっと肌が粟立つ。
!!?
びっくりしたー!!!
叫ばなかった俺偉い!
気配消さないでくださいっ。
「ベルトレッド様、このようなお時間にいかがされましたか?」
「それはこちらの台詞でもある」
たしかに。
「失礼いたしました。私はもう戻りますので....」
「待て」
デジャヴなんですが....!
「今日のあれは風魔法だけか?」
今日のあれ、というのはテストのときのことだろうか。
「はい。そうですが....」
「それにしては威力が高い。複合魔法ではないのか?」
「いえ。風しか適性がないので」
「.....どうしたらあのような威力になるんだ」
「どう、と申されましても....」
説明がしにくいんだってー。
声に集中してしまうと内容が頭に入ってこなくなるので必死に内容に集中した。
「言いたくなければいい」
「いえっ、決してそのようなことは。ただ、説明が難しいのです」
「ならば見せてもらうことは可能か?」
「もちろんです」
「では明日、入学式が終わったらまたここで」
一方的に約束をされ、くるりと背を向けて行ってしまった。
えー!?
ちょっと待ってー!
入学式の後って出会いイベントじゃん!
いいの!?それ俺が行っていいやつ!?
もしアレン来たらどうすればいいの!?
対策を考えていたら結局あまり眠れなかった。
◇◇◇◇
「新入生の諸君、入学おめでとう」
前世でもそうだったけどなんで校長の話ってこんなに長いのかね。
あくびを噛み殺しながら目を擦る。
「随分眠そうだな」
隣のルカが小声で話しかけてきた。
「んー、昨日あんまり眠れなくて....」
できればこの後のことなんかなにも考えずに寝てしまいたい。
一応対策は考えてきたから大丈夫だとは思うんだけど....。
それでも気が重い。
長ったらしい挨拶がようやく終わり、クラスが発表される。
「みなさん、式の前に渡した玉をご覧ください」
そういえばなんか渡されたな。
ポケットに入れていた玉を取り出すが特に変わった様子はない。
渡された時と同じ透明なガラス玉だ。
「そちらが自身の入るクラスの色に染まります。まず、クラスは全部で4つ。Aクラスは赤、Bクラスは青、Cクラスは黄、Dクラスが緑です。色が染まりましたら左から順に並んでください」
手のひらにガラス玉を乗せるとぶわっと色が広がった。
色は———赤。
Aクラス!って1番上のクラスだよな?
隣を見てみるとルカの玉も赤色に変わっていた。
「ルカ!同じだね!」
「おお!やったな!」
パンッと右手を合わせて左側へ向かった。
「なんかAクラス少なくない?」
「ああ、他と比べたら少ないな。20人くらいか?」
ほとんど移動し終えているのにAクラスの人数が他より明らかに少ない。
その理由は教室に着いてから先生が説明してくれた。
「諸君、まずはAクラスおめでとう。私は魔法の授業を受け持つロウェルだ。このクラスは魔力操作が上手く、かつ一発で的に当てた者だけが集められている」
うわー。手抜かなくてよかったぁー。
それにしても100人以上居たなかでたったこれだけなのか。
全員で18人だ。
もちろん主人公含め攻略相手の5人、それからライバルっぽい人も4人いる。
ライバルの人は正直うろ覚えだ。
こんなんだったかなー、程度。
「ほとんど伯爵家以上だな」
ルカにそう言われたが俺には全然わからない。
ちなみアレンとラーフエルは男爵家だそうだ。
「それじゃあ自己紹介してもらおうか。名前だけってのも味気ないから魔法適性も一緒によろしく」
結論から言うと、全員の名前と属性を覚えるのは無理でした。
ただでさえ興味のあることしか覚えられないのに全員とか絶対無理。
主要5人の属性は覚えたのでそれで勘弁してほしい。
カイル殿下は雷と火。
レミオラ様は火と土。
ベルトレッド様はなんと風と光と聖の3つ!
ラーフエルは土。
アレンは雷だ。
3つってすごくない!?
早くみんなの魔法を使っているところを見たい!
だけど今日はこれでおしまい。
本格的な授業は明日からだ。
解散となってから殿下たち3人は他の生徒に囲まれていた。
「この後どうする?」
「あ、ごめん。この後はちょっと用事あるんだ」
ついにこの時が来てしまった。
「ルカはいいの?あそこに参加しなくて」
人だかりへ視線をやる。
「ああ、騎士団には実力で入ってやろうと思ってな」
「ふふ、そっか。応援する」
「おう!じゃあまた明日な!」
「うん。お疲れ様」
ベルトレッド様を待たせるわけにもいかないし、もしかしたら先にアレンが来てしまう可能性もある。
他の生徒がのんびりと教室で過ごすなか、足早に校舎裏へと向かった。
自然と足が向いたのはやはり、校舎裏。
深夜の学校はただでさえ静かなのに校舎裏はより静かだ。
木に登って上を見ると枝や葉の間から宝石を散りばめたような星空が見え隠れしている。
いよいよ明日はクラスが発表される。
それでどきどきして眠れないのかもしれない。
遠足前の小学生か、俺は。
ゲームの内容は知らなくて良かったのかもしれない。
だって知ってたらシナリオ通りにいかないとテンパっちゃいそうだし。
あ、でもアレンは誰を選ぶんだろうか。
兄さんとグリード様の様子を見てて思ったけど、男同士にそこまで抵抗は感じなかった。
グリード様が綺麗な人だったからだろうか?
身内のいちゃついているシーンは気まずいものがあったけどそれだけだ。
まあ、だからなんだって話ですけどね。
肌寒くなってきたし、そろそろ戻りますか。
いつものように着地した。
「またお前か」
その一言でぶわっと肌が粟立つ。
!!?
びっくりしたー!!!
叫ばなかった俺偉い!
気配消さないでくださいっ。
「ベルトレッド様、このようなお時間にいかがされましたか?」
「それはこちらの台詞でもある」
たしかに。
「失礼いたしました。私はもう戻りますので....」
「待て」
デジャヴなんですが....!
「今日のあれは風魔法だけか?」
今日のあれ、というのはテストのときのことだろうか。
「はい。そうですが....」
「それにしては威力が高い。複合魔法ではないのか?」
「いえ。風しか適性がないので」
「.....どうしたらあのような威力になるんだ」
「どう、と申されましても....」
説明がしにくいんだってー。
声に集中してしまうと内容が頭に入ってこなくなるので必死に内容に集中した。
「言いたくなければいい」
「いえっ、決してそのようなことは。ただ、説明が難しいのです」
「ならば見せてもらうことは可能か?」
「もちろんです」
「では明日、入学式が終わったらまたここで」
一方的に約束をされ、くるりと背を向けて行ってしまった。
えー!?
ちょっと待ってー!
入学式の後って出会いイベントじゃん!
いいの!?それ俺が行っていいやつ!?
もしアレン来たらどうすればいいの!?
対策を考えていたら結局あまり眠れなかった。
◇◇◇◇
「新入生の諸君、入学おめでとう」
前世でもそうだったけどなんで校長の話ってこんなに長いのかね。
あくびを噛み殺しながら目を擦る。
「随分眠そうだな」
隣のルカが小声で話しかけてきた。
「んー、昨日あんまり眠れなくて....」
できればこの後のことなんかなにも考えずに寝てしまいたい。
一応対策は考えてきたから大丈夫だとは思うんだけど....。
それでも気が重い。
長ったらしい挨拶がようやく終わり、クラスが発表される。
「みなさん、式の前に渡した玉をご覧ください」
そういえばなんか渡されたな。
ポケットに入れていた玉を取り出すが特に変わった様子はない。
渡された時と同じ透明なガラス玉だ。
「そちらが自身の入るクラスの色に染まります。まず、クラスは全部で4つ。Aクラスは赤、Bクラスは青、Cクラスは黄、Dクラスが緑です。色が染まりましたら左から順に並んでください」
手のひらにガラス玉を乗せるとぶわっと色が広がった。
色は———赤。
Aクラス!って1番上のクラスだよな?
隣を見てみるとルカの玉も赤色に変わっていた。
「ルカ!同じだね!」
「おお!やったな!」
パンッと右手を合わせて左側へ向かった。
「なんかAクラス少なくない?」
「ああ、他と比べたら少ないな。20人くらいか?」
ほとんど移動し終えているのにAクラスの人数が他より明らかに少ない。
その理由は教室に着いてから先生が説明してくれた。
「諸君、まずはAクラスおめでとう。私は魔法の授業を受け持つロウェルだ。このクラスは魔力操作が上手く、かつ一発で的に当てた者だけが集められている」
うわー。手抜かなくてよかったぁー。
それにしても100人以上居たなかでたったこれだけなのか。
全員で18人だ。
もちろん主人公含め攻略相手の5人、それからライバルっぽい人も4人いる。
ライバルの人は正直うろ覚えだ。
こんなんだったかなー、程度。
「ほとんど伯爵家以上だな」
ルカにそう言われたが俺には全然わからない。
ちなみアレンとラーフエルは男爵家だそうだ。
「それじゃあ自己紹介してもらおうか。名前だけってのも味気ないから魔法適性も一緒によろしく」
結論から言うと、全員の名前と属性を覚えるのは無理でした。
ただでさえ興味のあることしか覚えられないのに全員とか絶対無理。
主要5人の属性は覚えたのでそれで勘弁してほしい。
カイル殿下は雷と火。
レミオラ様は火と土。
ベルトレッド様はなんと風と光と聖の3つ!
ラーフエルは土。
アレンは雷だ。
3つってすごくない!?
早くみんなの魔法を使っているところを見たい!
だけど今日はこれでおしまい。
本格的な授業は明日からだ。
解散となってから殿下たち3人は他の生徒に囲まれていた。
「この後どうする?」
「あ、ごめん。この後はちょっと用事あるんだ」
ついにこの時が来てしまった。
「ルカはいいの?あそこに参加しなくて」
人だかりへ視線をやる。
「ああ、騎士団には実力で入ってやろうと思ってな」
「ふふ、そっか。応援する」
「おう!じゃあまた明日な!」
「うん。お疲れ様」
ベルトレッド様を待たせるわけにもいかないし、もしかしたら先にアレンが来てしまう可能性もある。
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