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一章
7話 部活見学2
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校庭に出て、まず案内されたのはサッカー部だった。
まぁ、一般的で特に特殊なものをやっているわけではない。
今は各自で任意の距離でパス練をしている。
「あー、スマン」
パスに失敗したのか、どこからかサッカーボールが転がってきて俺の足に当たり、止まった。
「蹴り返してあげてみては?」
桜さんがコソッと耳元で言ってきた。
どうやら失敗した先輩もパスされるのを待っている。
それを確認して俺は、ボールを程よく強く蹴り返してあげた。
「おー、上手いんですね」
俺が蹴り返したサッカーボールは、綺麗に先輩の足へと吸い込まれていった。
「ありがとうございます!!」
先輩のお礼の言葉が聞こえた。
俺は一礼すると、少し先に進んでいる列に追い付くために走った。
桜さんも俺と一緒に居るため遅れてしまっている。
すぐに追いついたが、桜さんの息は上がっている。
それに少し汗ばんでいる。
「どうしました?私の顔に何かついていますか?」
「あ、いえ。なんでも」
どうやら俺は桜さんの顔をまじまじと見ていたらしい。
汗のせいで余計にいい匂いがしたせいなのか。
それとも、桜さんが自身の長い髪を耳にかける姿に見とれていたのか…。
それからはつつがなく見学が終わり、教室に戻ってきた。
個人的に一番驚いたのは弓道部があるということだ。
それもしっかりとしたもので、きちんと整備されている。
終礼が終わり、一人で帰ろうとすると今日もまた桜さんが「一緒に帰りません?」とやや上目遣いで頼んできた。
俺はそれを了承した。
「蔭西くんはどの部活に興味がありますか?」
「そうですね。強いて言うならば弓道でしょうか」
「弓道ですか…。いいですね。でも私はどれにも興味は湧きませんでした」
「そうですか。ではどうするつもりですか?」
「もちろん、写真部をつくります」
学校から出たところで、凄いだろ!と言わんばかりのドヤ顔でカメラを渡してきた。
俺はそのカメラを受け取り、前回のように写真が入っているフォルダを開いた。
そこには、昨日撮ったであろう俺の姿の次に今朝の朝日が風に揺られて散っている景色が撮られていた。
その後にも草むらから青空を撮ったであろう写真もあった。
人が影として映っている写真もいいが、自然をそのまま写した写真もまたいい。
そして一番最後には、また俺の写真があった。
それは、ボールを蹴り返している自分だった。
それも自分が太陽の光で影となっている。
俺を知らない人が見たら、だれだかわからない。
そんな写真だ。
「今日の一枚」
桜さんはフフッと笑い、俺の手からカメラを取ると最寄り駅で電車を降りた。
俺は自分の顔が熱くなるのを感じた。
まぁ、一般的で特に特殊なものをやっているわけではない。
今は各自で任意の距離でパス練をしている。
「あー、スマン」
パスに失敗したのか、どこからかサッカーボールが転がってきて俺の足に当たり、止まった。
「蹴り返してあげてみては?」
桜さんがコソッと耳元で言ってきた。
どうやら失敗した先輩もパスされるのを待っている。
それを確認して俺は、ボールを程よく強く蹴り返してあげた。
「おー、上手いんですね」
俺が蹴り返したサッカーボールは、綺麗に先輩の足へと吸い込まれていった。
「ありがとうございます!!」
先輩のお礼の言葉が聞こえた。
俺は一礼すると、少し先に進んでいる列に追い付くために走った。
桜さんも俺と一緒に居るため遅れてしまっている。
すぐに追いついたが、桜さんの息は上がっている。
それに少し汗ばんでいる。
「どうしました?私の顔に何かついていますか?」
「あ、いえ。なんでも」
どうやら俺は桜さんの顔をまじまじと見ていたらしい。
汗のせいで余計にいい匂いがしたせいなのか。
それとも、桜さんが自身の長い髪を耳にかける姿に見とれていたのか…。
それからはつつがなく見学が終わり、教室に戻ってきた。
個人的に一番驚いたのは弓道部があるということだ。
それもしっかりとしたもので、きちんと整備されている。
終礼が終わり、一人で帰ろうとすると今日もまた桜さんが「一緒に帰りません?」とやや上目遣いで頼んできた。
俺はそれを了承した。
「蔭西くんはどの部活に興味がありますか?」
「そうですね。強いて言うならば弓道でしょうか」
「弓道ですか…。いいですね。でも私はどれにも興味は湧きませんでした」
「そうですか。ではどうするつもりですか?」
「もちろん、写真部をつくります」
学校から出たところで、凄いだろ!と言わんばかりのドヤ顔でカメラを渡してきた。
俺はそのカメラを受け取り、前回のように写真が入っているフォルダを開いた。
そこには、昨日撮ったであろう俺の姿の次に今朝の朝日が風に揺られて散っている景色が撮られていた。
その後にも草むらから青空を撮ったであろう写真もあった。
人が影として映っている写真もいいが、自然をそのまま写した写真もまたいい。
そして一番最後には、また俺の写真があった。
それは、ボールを蹴り返している自分だった。
それも自分が太陽の光で影となっている。
俺を知らない人が見たら、だれだかわからない。
そんな写真だ。
「今日の一枚」
桜さんはフフッと笑い、俺の手からカメラを取ると最寄り駅で電車を降りた。
俺は自分の顔が熱くなるのを感じた。
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