彼女と出会ったその日から~なぜ俺は毎日写真や動画を撮られるのだろうか~

文字の大きさ
8 / 74
一章

8話 誘い

しおりを挟む
次の日、高校生になってから初めての授業が始まった。
始まったと言っても初回授業なのでそんな大した内容ではない。
おかげで全く疲れずに済んだ。

すでに入学三日目というのもあり、段々と仲のいいグループができてきている。
俺はまだ桜さんとしか話していない。
自分が中学生の時は家柄のせいなのかわからないが、先生含めあまり人が寄ってこなかった。
小学校の頃仲良かった友達も中学生になり、少し大人になった瞬間に俺から離れていった。
さらに、女子から告白され断っていくたびに俺と他の生徒との溝が深く広くなっていた。
そんな感じで中学校三年間を過ごしてきたせいで、邪魔者扱いされるボッチ生活には大分慣れている。

「あの…」

きっと来週には桜さんも仲のいい友達を見つけ、その子とつるむんだろう。
そして俺はまたボッチ生活がが始まる。
これは俺の考えでしかないのだが、中学生よりもさらに視野が広くなった高校生はきっと俺との距離をさらに取ることだろう。
別にそれが嫌なわけではないが、集団で何かをするときに予期せず何かの障害になってしまうと人間はなぜか八つ当たりするようにその「障害」を責める傾向にあるのでそれだけは避けたいと思っている。

「あの、すみません。聞いていますか?」
「え、あ、はい。考え事してました」
「今日この後。つまり放課後ですね。少し私に付き合ってはくれませんか?」
「え?」

それはつまり俺に寄り道をしろと?
というか、何をするのか。
そもそも俺にそんな時間はないのだが。

「すみません。他の人を誘ってください」
「そうですか…。また日を改めます」

そう言うと、一人足早に教室を出て帰っていった。

俺はやんわりと断ったが、何か用事があったと思ったらしく次の日も、また次の日も誘ってきた。

「なんでそこまで私に固執するのですか?」

しびれを切らした俺はややキレ気味に聞いた。

「なんでもいいじゃないですか。たまには息抜きもいいですよ」
「…は?」

あまりにも馬鹿らしい理由。
ありえない。
なぜ自分の時間を無駄にしなければいけない。
わからない。

「なぜ息抜きなどしなければいけない?」
「息が詰まるからですよ。蔭西くんは慣れているみたいですけどね」

息が詰まる?
そんなの言っていたらきりがないではないか。
俺にとって勉強は息抜きだ。
勉強しておけば家族に何も言われないうえに、一人の世界に入ることができる。
しかも好きで勉強をしている俺を見て、息が詰まっていると遠まわしに言った。

「私がお手本を見せてあげますよ」
「つまりその誘いに乗らないと乗るまで毎日誘ってくると、そういうことですか?」
「そうですよ」

呆れた。
どれだけ暇なんだ。
俺がいつ誘いに乗るか分からないせいで、だいぶ迷惑をかけている。
そう思うと、何故か罪悪感が生まれてきた。

「仕方ない。今日だけですよ」
「私から誘うのはですけどね」

私から誘う、というとは俺から誘う時が来るということだろうか?
それは無いだろう。
どうせ桜さんも俺から離れていく。

桜さんは満面の笑みを浮かべると、急かすように俺の手首を掴んだ。
動く度にふんわりと花のいい匂いが香る。

俺はそんな彼女を可愛いと思うと同時に、純粋な彼女に後ろめたさを感じていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様を書いたストーリーです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

処理中です...