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一章
12話 自己紹介と趣味
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終礼が終わり、俺と桜さん、坂ノ宮さんは学校近くの駅にあるカラオケボックスに入った。
最初は拒否したが、いつも通り桜さんに強引に連れていかれた。
「終わったら帰りますよ」
「終わったらそりゃ、帰りますよ」
俺と坂ノ宮さんの考え方は同だったが、桜さんは違うようだ。
ええっ、という顔をして
「歌わないんですか?」
とやや上目遣いでせがむようにお願いしてくる。
しかし、俺は歌が好きではないので意思が変わることは絶対にない。
「ま、まぁ、一曲くらいなら」
坂ノ宮さんの意思が揺らいだ。
もし歌が好きではないのなら、断固として拒否するはず。
ということはそれなりに好き、ということは上手いのか?
好きで上手は全くの別物だが、少しだけ期待していまう。
「では私が部屋取っています」
俺はそういい、部屋を取りその部屋番号に二人と一緒にむかった。
カラオケボックスというのは意外と薄暗くて眠くなりそうな空間だ。
ソファーもなかなかに柔らかく、勉強などの作業をするのには向いていない。
そのソファーに全員が座ったのを確認すると、俺はまず自分の自己紹介を始めた。
「ではまず初めに私の自己紹介から。
名前は蔭西箕六。趣味や得意なことはとくにありません。苦手なものも特にありません。」
「蔭西くんのは後でまた聞くとして、私の名前は桜美智です」
俺の自己紹介が軽く流されるかのようにないことになった。
流石に内容がなさ過ぎたのか。
「趣味、得意なことは写真を撮ることです。特に自然を撮るのが好きですね。逆に嫌いなものは、撮影禁止エリアとかですね」
おお、自分の聞いても聞かなくても変わらない自己紹介とは全く違う。
抽象的に自分の情報を出すことで相手に関心を持たすことができる。
「僕の名前は坂ノ宮望です。趣味はその、地味なんですけど動画制作です。有名なところでいうと現在人気No1アイドルユニットのMVとかですかね…」
「「…え?」」
それはとてもすごいことではないのか?
なのになぜそんなに自信がないような性格をしているのだろうか。
二人ともずば抜けてできることがあるのか。
対して俺はまだ熱中できる何かに出会っていない。
「坂ノ宮さんは、なぜ動画をつくろうと思ったのですか?」
気づけば俺はそんなこと聞いていた。
きっと二人のことが羨ましかったのだろう。
実際、自分も何かに夢中になれるような事を見つけたいと思っている。
「そうですね。中学生の頃に文化祭で作った動画の編集をしている時にあれこれ調べていると気づいたらはまってしまって…」
「羨ましいです。私にはまだそういった熱中できるものと出会ったことがなくて」
「ありがとうございます。はやく見つかるといいですね」
坂ノ宮さんへの第一印象は女子っぽい男子だなぁ、といったものだったが
内面の印象はとてもしっかりしていて気が合いそうだな、といったものだ。
こう思ったのは小学生の頃以来かもしれない。
それに加えて、高校生にしてお金を稼いでいる点からして「蔭西」の苗字を狙っているとも考えにくい。
もしかしたら信頼できる相手になるかもしれない。
「次、蔭西くんですよ」
「はい。えっと、蔭西箕六です。趣味はまだありません。でも気になっているのは…」
「「気になっているのは?」」
「気になっているのは写真です」
自分でもこれを言うのは大分考えた。
単純に名言するのが恥ずかしいと思っていたが、そうでもしないと自分の好きなことを見つけることができないような気がした。
これが第一歩なら、悪くない。むしろ良い。
「…教えましょうか?」
「まだ気になってくるぐらいですので」
「即答で断らなくても…」
俺はあはは、と力のない笑い声を漏らした。
途端、なんだか急に恥ずかしくなり俺はおもむろにマイクを手に取り、曲を入れた。
「歌うんですか!?」
「イエーイ!」
それからは2時間ぐらい3人で食べたり歌ったりした。
こんな学生らしく、人間らしく時間を過ごしたのはいつぶりだろうか。
なんだか胸が温かい。
家に帰るとピコンとメールの音がした。
桜さんからのメールだ。
開くと「今日の一枚」という一文と一緒に携帯で撮ったであろう写真が一枚送られてきていた。
そこには3人で仲良く歌う姿が映っていた。
最初は拒否したが、いつも通り桜さんに強引に連れていかれた。
「終わったら帰りますよ」
「終わったらそりゃ、帰りますよ」
俺と坂ノ宮さんの考え方は同だったが、桜さんは違うようだ。
ええっ、という顔をして
「歌わないんですか?」
とやや上目遣いでせがむようにお願いしてくる。
しかし、俺は歌が好きではないので意思が変わることは絶対にない。
「ま、まぁ、一曲くらいなら」
坂ノ宮さんの意思が揺らいだ。
もし歌が好きではないのなら、断固として拒否するはず。
ということはそれなりに好き、ということは上手いのか?
好きで上手は全くの別物だが、少しだけ期待していまう。
「では私が部屋取っています」
俺はそういい、部屋を取りその部屋番号に二人と一緒にむかった。
カラオケボックスというのは意外と薄暗くて眠くなりそうな空間だ。
ソファーもなかなかに柔らかく、勉強などの作業をするのには向いていない。
そのソファーに全員が座ったのを確認すると、俺はまず自分の自己紹介を始めた。
「ではまず初めに私の自己紹介から。
名前は蔭西箕六。趣味や得意なことはとくにありません。苦手なものも特にありません。」
「蔭西くんのは後でまた聞くとして、私の名前は桜美智です」
俺の自己紹介が軽く流されるかのようにないことになった。
流石に内容がなさ過ぎたのか。
「趣味、得意なことは写真を撮ることです。特に自然を撮るのが好きですね。逆に嫌いなものは、撮影禁止エリアとかですね」
おお、自分の聞いても聞かなくても変わらない自己紹介とは全く違う。
抽象的に自分の情報を出すことで相手に関心を持たすことができる。
「僕の名前は坂ノ宮望です。趣味はその、地味なんですけど動画制作です。有名なところでいうと現在人気No1アイドルユニットのMVとかですかね…」
「「…え?」」
それはとてもすごいことではないのか?
なのになぜそんなに自信がないような性格をしているのだろうか。
二人ともずば抜けてできることがあるのか。
対して俺はまだ熱中できる何かに出会っていない。
「坂ノ宮さんは、なぜ動画をつくろうと思ったのですか?」
気づけば俺はそんなこと聞いていた。
きっと二人のことが羨ましかったのだろう。
実際、自分も何かに夢中になれるような事を見つけたいと思っている。
「そうですね。中学生の頃に文化祭で作った動画の編集をしている時にあれこれ調べていると気づいたらはまってしまって…」
「羨ましいです。私にはまだそういった熱中できるものと出会ったことがなくて」
「ありがとうございます。はやく見つかるといいですね」
坂ノ宮さんへの第一印象は女子っぽい男子だなぁ、といったものだったが
内面の印象はとてもしっかりしていて気が合いそうだな、といったものだ。
こう思ったのは小学生の頃以来かもしれない。
それに加えて、高校生にしてお金を稼いでいる点からして「蔭西」の苗字を狙っているとも考えにくい。
もしかしたら信頼できる相手になるかもしれない。
「次、蔭西くんですよ」
「はい。えっと、蔭西箕六です。趣味はまだありません。でも気になっているのは…」
「「気になっているのは?」」
「気になっているのは写真です」
自分でもこれを言うのは大分考えた。
単純に名言するのが恥ずかしいと思っていたが、そうでもしないと自分の好きなことを見つけることができないような気がした。
これが第一歩なら、悪くない。むしろ良い。
「…教えましょうか?」
「まだ気になってくるぐらいですので」
「即答で断らなくても…」
俺はあはは、と力のない笑い声を漏らした。
途端、なんだか急に恥ずかしくなり俺はおもむろにマイクを手に取り、曲を入れた。
「歌うんですか!?」
「イエーイ!」
それからは2時間ぐらい3人で食べたり歌ったりした。
こんな学生らしく、人間らしく時間を過ごしたのはいつぶりだろうか。
なんだか胸が温かい。
家に帰るとピコンとメールの音がした。
桜さんからのメールだ。
開くと「今日の一枚」という一文と一緒に携帯で撮ったであろう写真が一枚送られてきていた。
そこには3人で仲良く歌う姿が映っていた。
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