彼女と出会ったその日から~なぜ俺は毎日写真や動画を撮られるのだろうか~

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一章

17話 写真部

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桜さんに写真部に誘われてから1週間ぐらい経っただろうか。
それからというものあまり顔を合わせることがなかった。
毎日のように忙しく動き回っており、休み時間や放課後に見かけることがない。
しかし今日の朝、満足気な顔で俺の前に立ちはだかった。

「顧問の先生を獲得したわ!これで期間限定じゃなくなるかもです」
「良かったですね。部活は今日の放課後からですか?」
「はい。放課後からです」

それだけを俺に言うと他にも誘っている人がいるのか、どこかへ行ってしまった。
その姿はいつもよりも生き生きとしている。
自分の欲望に忠実だからこそだろうか。
そこが羨ましい。

「おはようございます。蔭西さん」
「おはようございます。坂ノ宮さんはどの部活に仮入部するか決まりましたか?」
「とりあえず写真部に入ることにしました」

桜さん以外に知っている人がいて良かった。
最悪、俺は名前のせいでハブられる可能性があるからな。
最近孤独が怖いということを知ったばかりだからか余計にそう思う。



放課後になり、俺と坂ノ宮さんは桜さんに指定された音楽室の隣の空き教室に向かった。
音楽室に近づくとじょじょに楽器の音が聞こえてくる。
聞いていてとても気持ちのいい音色。

「この教室です!」

言われていた教室から桜さんが頭をひょこりと出して呼んでいる。
急いで教室に入ると、そこには桜さんと顧問だと思われる先生。
そして知らない生徒が一人いた。

「今日は校内の好きなところの写真を撮ってもらいます。例えば…」

桜さんは例えとして黒板に、学校の花壇や校庭、日常風景などを映した。
どれも綺麗で本当にその世界に自分が住んでいるのかを疑ってしまう。
しかし「桜さん」らしくはない。

桜さんはもう使われなくなったと思われるカメラを俺と坂ノ宮さん、そして知らない生徒に渡すと
「1時間後にもう一度集合してください!」と言って部活動の開始を促した。

俺はとりあえず学校の花壇に向かい、校舎も入るように少し遠くからカメラを覗いた。
パシャリと1枚撮り確認してみると、写真はぶれているうえにどこか寂しい。
手振れは仕方のないことだとして、なぜ自分の撮った写真は寂しいのだろうか。
場所だろうか。角度だろうか。
考えても分からない。

「何か悩んでいるのですか?」

カメラを片手に突っ立っていると桜さんが後ろから声を掛けてきた。

「そう、ですね。手振れと景色に少し」
「景色は、まぁ撮った分だけうまくなるという感じです。手振れは…」

桜さんは俺に向き合うと手首を掴み、固定しやすい角度を教えてくれた。

「ありがとうございます」
「まだ少し…」

今度は俺の横に立つと、背伸びをしながら構え方を教えてくれる。

……。

無論、ゼロ距離だ。
体のあちこちが触れ合っており、内容など微塵も入ってこない。
横を向くと綺麗な横顔が目に入ってきて見惚れてしまう。
写真に対する真剣なまなざしがさらに、そうさせてしまうのだろう。

「どうです?わかりましたか?」
「あ、は、はい」
「それでは頑張ってください」

不覚にも天使のようだと思ってしまった俺は、一発自分の頬を殴った。
最近の自分はたるんでいる。

はぁ…

ため息をつくと同時に空を見上げると、オレンジ色と青色が混ざっておりとても綺麗だった。
俺は腰を下げ、学校の花壇と空が一緒に映るようにしてシャッターを切った。

花壇に咲いている赤や紫、青、ピンクなどの色と空の淡いオレンジや青色がとてもよくマッチしている。
まるで物語の1場面のようで美しい。
夢の世界のような幻想的な1枚。

それに満足し、後ろを振り向くと風に吹かれている桜さんがいた。
桜さんも写真を撮っているようだ。
俺はおもむろにカメラを構えてシャッターを切る。
その写真のデータをすぐに携帯に移した。


その1枚はこれまで見てきた写真の中でも1,2を争うぐらいに美しい。
風に吹かれてなびく髪とスカート。
後ろにはオレンジ色が広がっている。
周りの緑もとてもいい味を出している。

この1枚を桜さんに送ろうと思ったが、この1枚は宝物として大事にしようと俺は心に決めた。
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