彼女と出会ったその日から~なぜ俺は毎日写真や動画を撮られるのだろうか~

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一章

22話 お昼

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次の日、俺が最悪の事態に気づいたのはお昼ご飯の時間だ。

「…お弁当忘れた」

一人絶望しながら、流れるように財布を手に取り学食へと向かう。
いつもは自分で作るのだが昨日は生憎その時間がなく、そして今日の朝も寝すぎてしまう。
いろいろな事が重なった結果お弁当を忘れることになってしまった。

学食に着き、目線を上げるとそこには満員電車以上の人混みがあった。
今からではお昼が終わってしまうと思うほどに混んでいる。

ぐぅ~

美味しそうな匂いと写真のせいでいよいよ限界が近づいてきた。
俺は歯を食いしばり、自分の教室へと戻ろうとする。

「わぁっ」

誰かにぶつかり、間の抜けた声がした。
目線を下げてみるとお弁当を手にしている桜さんがいる。
その横には皆島さんもおり、これからお昼を食べるのだろうということが容易に想像できてしまう。

「どうしたの?蔭西くん、こんなところまできて」
「…お弁当を忘れた」
「それは、残念」

あははぁ、と苦笑いした桜さんを尻目に皆島さんは頭の上に?が浮かんだような顔をしていた。
そしてそのままの顔で衝撃的な事実を口にする。

「蔭西さんは知らないんですか?この学校には購買部があってそこでおにぎりとかパンとか買えるんですよ」
「…え、そうなんですか?」
「はい。桜さん案内してあげては?私は学食を買っているのでその間に」
「えっ!じゃあお言葉に甘えて案内するよ。ほらこっち!」

ふふふ、と何かを企んでいる皆月さんを後にして桜さんは学食のある方とは反対方向へと急いだ。
あっちは確か部活棟でいろいろな部室や音楽などの特殊クラスがあるはず。
そこにあるなんて不便だが、学食の近くに置けなかった理由がきっとあるのだろう。

部活棟をしばらく進んでいると、ぽつぽつと生徒とすれ違った。
それぞれがおにぎりやパンを手にしていて、今にもかぶりつきそうな勢いで見ている。

「ほら、ここだよ。学食と違って人が少ないからいいかもね」
「ありがとう、桜さん」

俺はお礼を言ってすぐに購買で品選びを始めた。
そこには鮭おにぎりや昆布おにぎり、焼きそばパンにクリームパンなど多くの種類の炭水化物が売っている。
少し悩んでから鮭おにぎりとチーズパンを手に取り、買った。
値段もお手ごろで2品で200円しないくらいだ。

「…今日のお昼は一緒に食べない?」
「…え」
「いやほら、野菜とか足りないでしょ?」
「ああ、わかった」

確かこの時間は坂ノ宮さんも食堂で昼食をとっている。

「なら食堂に急ごう!」

俺と桜さんは急ぎ歩きで食堂へ急いだ。
食堂につき、俺は坂ノ宮さん、桜さんは皆月さんを探していたがどちらも隣に座っていたので
誘う必要がなくなった。

「蔭西さんが忘れ物なんて意外です」
「私も忘れるとは思いませんでした」

俺はパンの封を開け、口にした。
お腹が空いているのもあるのかとても美味しく感じる。

「私のおかず食べる?」

桜さんのお弁当にはいろいろな野菜が敷き詰められておりとてヘルシーだった。
マカロニサラダや漬物など種類も豊富。
俺は食堂に常備されている箸を持ち「お言葉に甘えて失礼します。いただきます」と言い、マカロニサラダを一口と
漬物を二口ほど食べさせてもらった。
どちらもとても美味しい。
特に漬物に関してはこれまで食べたことがないぐらいに美味しい。

「美味しい。ありがとうございます」
「そう言ってもらえて嬉しいです」


食事を済ませ、教室に戻り椅子に座ると桜さんが俺の目線までかがみ話し掛けてきた。

「あの、お弁当作ってあげましょうか?」

周りの生徒には聞こえないぐらい小さな声で、しかし俺には確かに聞こえる声でそう言う。

「いいんですか?」

俺は少し嬉しくなり、逆に聞き返してしまう。

「もちろん、いいですよ。明日を楽しみにしておいてくださいね」

そう言い、桜さんは自分の席へと戻った。
対して俺は席を立って嬉しがりたいほど気分が高揚している。
それは多分、自分で作らなくていいというのと桜さんのお弁当が食べれるというという理由のせいだろう。

あぁ、早く明日にならないかな。

そう思うのは何年ぶりだろうか。
俺は桜さんから多くのものを貰っている。
桜さんと出会ってから俺の人生は明るくなってきている。
いつか桜さんに返さないとな…。
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