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一章
21話 買い物2
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「じゃあどこから回る?」
「ここかな」
いろいろとあったが、食べたり飲んだり話したりしているうちにいつもの桜さんの戻ってくれた。
今でははやく買い物をしたくてうずうずしているそう。
すでにどこをどういう風に回るのか決めているそうで、迷いなく歩いている。
「そういえば今日の服装どう?」
「どう、って」
そう言われて俺は今日初めて桜の姿をしっかりと見る。
くるりと一回転すると少し前にかがんで、上品にスカートをつまみ上げた。
とても可愛らしい。
ロングでひらひらとした紺色のスカートに白いTシャツ。
その上から黒いカーディガンを羽織っている。
その姿は可愛らしさをしっかりと残しつつ少し大人っぽさを醸し出していた。
だんだんと見ているこっちの方が恥ずかしくなってくる。
「…とても可愛らしいよ」
「ふふっ、ありがとう」
俺の一言に満足したのか、軽い足取りでデパートに入っていく。
最初に入ったお店は電気屋さんだ。
桜さんはすでにどんな構造をしているのかわかっているらしく、お目当てのカメラをすぐに見つけた。
「おすすめはこれかな。私も欲しいんだけど手が出せなくて…」
「意外と小さいんだね」
桜さんがいつも首から下げているカメラに比べてとても小さい。
デジタルカメラぐらいにコンパクトだ。
リアルタイム瞳AFに、1型の大型センサー、ファインダー搭載だそう。
さらに4K動画もとれるらしい。
自分にはよくわからないが、桜さんが絶賛するカメラだ。
買っても損はしないだろう。
値段は15万ぐらいで、これまで貯金を全く使ってこなかった俺には簡単に買える。
「じゃあこれ買うよ」
「え!?15万円だよ!?」
「あー、えっとまぁ」
桜さんは俺があの「蔭西」の息子だと知らないらしい。
憎らしいことにお金なら沢山ある。
「買うよ。桜さんがおススメしてくれたんだから」
「今度、使わせてね」
「わかった」
そういい、俺はそのカメラをカウンターに持っていった。
もろもろの手続きをした後にお金を払い、無事に購入することができた。
「もっと悩んだりして時間かかると思ってた」
「俺も思ってた。せっかくだからいろいろなところ見ていく?」
「うん。見ていく。蔭西くんの一人称って『俺』なんだね」
「……え」
気づくと俺は敬語ではなく常語で喋っていた。
とても恥ずかしいが、ちゃんと友達ができたようで嬉しい。
「やっと蔭西くんと友達になれた気がするよ」
「…そうだね」
そういうと桜さんははにかんだ笑顔を向けた。
ちゃんと友達になれたからか、その姿は前とは違うように見えた。
いつも感じていた引け目がなく、どこか懐かしい感じ。
久しぶりの感情に思わず頬が緩んでしまう。
「次は服が見たいなぁ。そろそろ夏だし」
「いいよ。時間はまだまだあるから」
そう答えてあげると、俺の手を掴んで無邪気な子供のようにいろいろな店を回った。
服だけでも4店舗は、巡ったと思う。
「じゃあもう一回試着するかな」
「いいよ」
桜さんが着替えている間に俺は近くのヘアピンやピアスが売っているお店に入る。
このお店には一回だけ入ったが、少し値段が高いので諦めて何も買わずに出たお店だ。
そこで桜さんが手に取って欲しそうに見ていた、小さい青い蝶が一匹だけあしらわれたヘアピンを手に取った。
それをお会計に持っていくと女性の店員さんが「さっきの女性へ、ですか?」と尋ねてくる。
「はい。今日一日付き合ってくれたので」
「では可愛く包装していただきます」
「ありがとうございます」
そういうと、店員さんはルンルンで可愛く包装してくれた。
開けるところはお店のマークである青い鳥のシールで止められている。
「お買い上げありがとうございます」
「こちらこそ、ありがとうございます」
服のお店に戻ると、まだ着替えているようで桜さんのいる試着室は閉じていた。
しかし、すぐにカーテンが開いた。
「どう?」
デニムパンツに半袖の白Tシャツを試着した桜さんが姿を現した。
今日のコーデからは一変し、「夏を楽しむ!」といった感じでとても可愛らしい。
「可愛いよ。とても似合ってる」
「よし、じゃあ買ってくる」
そういうと、またカーテンを閉めてて着替え始める。
しばらくして出てくると、さっき試着していたものを抱えてお会計をした。
「今日は楽しかったね」
「初めてこんな楽しい買い物をしたなぁ」
「本当に?ありがとう」
「こちらこそ」
もう一日が終わってしまうのか…。
ずっとこの楽しい時間にいたかった。
電車に乗り、いよいよ今日という時間が終わってしまう。
俺は電車に揺られながら今日の事を思い返す。
いろいろとあったが、とても楽しい一日だった。
喫茶店でお昼ご飯を食べ、いろいろと雑談しながら買い物をする。
こんなに楽しい一日は買い物に限らず初めてだ。
そんな一日が終わってしまうのがたまらなく悲しい。
「そうだ。これ」
俺は忘れていた、ということを装いバックからさっき買ったヘアピンを取り出した。
「帰ったら開けてみて」
「え?プレゼント?」
「…うん」
「ありがとう」
それを大切に受け取ると、暖かい笑顔を浮かべた。
少し照れているようにも見える。
「じゃあ、また明日」
「また明日」
そういい、電車から降りるとはにかんだ笑顔でこちらを向いて手を振ってくる。
それに答えるように手を振り返すと扉が閉まった。
それでもまだ降り続けている。
見えなくなると、俺は急に現実に戻された感覚に落ちいる。
家に帰り、ご飯を食べ、お風呂に入り勉強をする。
そんないつも通りの夜を過ごし、布団の中に入るとピロンと桜さんからメールの着信があった。
今日は楽しかったね!
またこうやって買い物できたらいいなぁ。
それとヘアピンありがとう!
よく私が欲しかったものがわかったね。
そんな文と一緒に、いつ撮ってるんだよ、と思うほど沢山の写真が送られてきた。
ご飯を食べていたり、笑っていたり、照れていたりといろいろな感情の俺がいる。
それらの写真は今日という夢のような時間があったことを証明してくれている。
写真を見ていると、突然頭の中が真っ白になり、
「…可愛いな」
という一言が零れた。
そこには、俺がプレゼントしたヘアピンを付けた笑顔の桜さんの自撮り写真があった。
しかし頬は少し赤く、少し硬い笑顔。
そんな表情をされると、こっちまで、こっちまで
「恥ずかしくなってくるじゃないか」
「ここかな」
いろいろとあったが、食べたり飲んだり話したりしているうちにいつもの桜さんの戻ってくれた。
今でははやく買い物をしたくてうずうずしているそう。
すでにどこをどういう風に回るのか決めているそうで、迷いなく歩いている。
「そういえば今日の服装どう?」
「どう、って」
そう言われて俺は今日初めて桜の姿をしっかりと見る。
くるりと一回転すると少し前にかがんで、上品にスカートをつまみ上げた。
とても可愛らしい。
ロングでひらひらとした紺色のスカートに白いTシャツ。
その上から黒いカーディガンを羽織っている。
その姿は可愛らしさをしっかりと残しつつ少し大人っぽさを醸し出していた。
だんだんと見ているこっちの方が恥ずかしくなってくる。
「…とても可愛らしいよ」
「ふふっ、ありがとう」
俺の一言に満足したのか、軽い足取りでデパートに入っていく。
最初に入ったお店は電気屋さんだ。
桜さんはすでにどんな構造をしているのかわかっているらしく、お目当てのカメラをすぐに見つけた。
「おすすめはこれかな。私も欲しいんだけど手が出せなくて…」
「意外と小さいんだね」
桜さんがいつも首から下げているカメラに比べてとても小さい。
デジタルカメラぐらいにコンパクトだ。
リアルタイム瞳AFに、1型の大型センサー、ファインダー搭載だそう。
さらに4K動画もとれるらしい。
自分にはよくわからないが、桜さんが絶賛するカメラだ。
買っても損はしないだろう。
値段は15万ぐらいで、これまで貯金を全く使ってこなかった俺には簡単に買える。
「じゃあこれ買うよ」
「え!?15万円だよ!?」
「あー、えっとまぁ」
桜さんは俺があの「蔭西」の息子だと知らないらしい。
憎らしいことにお金なら沢山ある。
「買うよ。桜さんがおススメしてくれたんだから」
「今度、使わせてね」
「わかった」
そういい、俺はそのカメラをカウンターに持っていった。
もろもろの手続きをした後にお金を払い、無事に購入することができた。
「もっと悩んだりして時間かかると思ってた」
「俺も思ってた。せっかくだからいろいろなところ見ていく?」
「うん。見ていく。蔭西くんの一人称って『俺』なんだね」
「……え」
気づくと俺は敬語ではなく常語で喋っていた。
とても恥ずかしいが、ちゃんと友達ができたようで嬉しい。
「やっと蔭西くんと友達になれた気がするよ」
「…そうだね」
そういうと桜さんははにかんだ笑顔を向けた。
ちゃんと友達になれたからか、その姿は前とは違うように見えた。
いつも感じていた引け目がなく、どこか懐かしい感じ。
久しぶりの感情に思わず頬が緩んでしまう。
「次は服が見たいなぁ。そろそろ夏だし」
「いいよ。時間はまだまだあるから」
そう答えてあげると、俺の手を掴んで無邪気な子供のようにいろいろな店を回った。
服だけでも4店舗は、巡ったと思う。
「じゃあもう一回試着するかな」
「いいよ」
桜さんが着替えている間に俺は近くのヘアピンやピアスが売っているお店に入る。
このお店には一回だけ入ったが、少し値段が高いので諦めて何も買わずに出たお店だ。
そこで桜さんが手に取って欲しそうに見ていた、小さい青い蝶が一匹だけあしらわれたヘアピンを手に取った。
それをお会計に持っていくと女性の店員さんが「さっきの女性へ、ですか?」と尋ねてくる。
「はい。今日一日付き合ってくれたので」
「では可愛く包装していただきます」
「ありがとうございます」
そういうと、店員さんはルンルンで可愛く包装してくれた。
開けるところはお店のマークである青い鳥のシールで止められている。
「お買い上げありがとうございます」
「こちらこそ、ありがとうございます」
服のお店に戻ると、まだ着替えているようで桜さんのいる試着室は閉じていた。
しかし、すぐにカーテンが開いた。
「どう?」
デニムパンツに半袖の白Tシャツを試着した桜さんが姿を現した。
今日のコーデからは一変し、「夏を楽しむ!」といった感じでとても可愛らしい。
「可愛いよ。とても似合ってる」
「よし、じゃあ買ってくる」
そういうと、またカーテンを閉めてて着替え始める。
しばらくして出てくると、さっき試着していたものを抱えてお会計をした。
「今日は楽しかったね」
「初めてこんな楽しい買い物をしたなぁ」
「本当に?ありがとう」
「こちらこそ」
もう一日が終わってしまうのか…。
ずっとこの楽しい時間にいたかった。
電車に乗り、いよいよ今日という時間が終わってしまう。
俺は電車に揺られながら今日の事を思い返す。
いろいろとあったが、とても楽しい一日だった。
喫茶店でお昼ご飯を食べ、いろいろと雑談しながら買い物をする。
こんなに楽しい一日は買い物に限らず初めてだ。
そんな一日が終わってしまうのがたまらなく悲しい。
「そうだ。これ」
俺は忘れていた、ということを装いバックからさっき買ったヘアピンを取り出した。
「帰ったら開けてみて」
「え?プレゼント?」
「…うん」
「ありがとう」
それを大切に受け取ると、暖かい笑顔を浮かべた。
少し照れているようにも見える。
「じゃあ、また明日」
「また明日」
そういい、電車から降りるとはにかんだ笑顔でこちらを向いて手を振ってくる。
それに答えるように手を振り返すと扉が閉まった。
それでもまだ降り続けている。
見えなくなると、俺は急に現実に戻された感覚に落ちいる。
家に帰り、ご飯を食べ、お風呂に入り勉強をする。
そんないつも通りの夜を過ごし、布団の中に入るとピロンと桜さんからメールの着信があった。
今日は楽しかったね!
またこうやって買い物できたらいいなぁ。
それとヘアピンありがとう!
よく私が欲しかったものがわかったね。
そんな文と一緒に、いつ撮ってるんだよ、と思うほど沢山の写真が送られてきた。
ご飯を食べていたり、笑っていたり、照れていたりといろいろな感情の俺がいる。
それらの写真は今日という夢のような時間があったことを証明してくれている。
写真を見ていると、突然頭の中が真っ白になり、
「…可愛いな」
という一言が零れた。
そこには、俺がプレゼントしたヘアピンを付けた笑顔の桜さんの自撮り写真があった。
しかし頬は少し赤く、少し硬い笑顔。
そんな表情をされると、こっちまで、こっちまで
「恥ずかしくなってくるじゃないか」
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