彼女と出会ったその日から~なぜ俺は毎日写真や動画を撮られるのだろうか~

文字の大きさ
26 / 74
一章

24話 身近な恋

しおりを挟む
昨日の夜、桜さんのことを「好きすきかもしれない」と思ったが残念ながら俺にはわからない。
ドラマやアニメで見たことはあるが、実際に経験したことはない。


「蔭西さん、これは…」

現在俺は坂ノ宮さんと校舎裏を盗み見るかのようにこっそりと覗いている。
なぜそんなことになったかというと、皆島さんが告白されるといった情報を坂ノ宮さんが手に入れたからだ。
どうやら今朝皆島さんの机にラブレターが入っていたようで、場所はこの校舎裏だと教えてくれたらしい。

「坂ノ宮さんは、その、相手がだれか知っていましたか?」
「…いえ、知りませんでした」

ここまでの情報を持っておいて、俺たちは目が飛び出るのかと思うほどに驚いてしまった。
個人的には生きてきた中で一番驚いたのかもしれない。

「付き合ってください!」

さっきまで顔を赤らめ、皆月さんを前にしてもじもじとしていたが
腹を決めたのか大きな声で何のひねりもない一言が聞こえてきた。
俺がこういう場を見るのが初めてだからか、なぜかこちらまで恥ずかしくなる。
ドキドキする。

「…ありがとうございます。でも私には好きな人がいるので、すみません」
「えあっ…。そ、その聞いてくれてありがとうございますっ」

早口にそう言うと、逃げるようにしてその場から去っていった。
それにしてもとても優しい断り方だったな。
「すみません」と断っていながら、泣きそうな相手の頭を「ありがとうございます」の気持ちで撫でてあげる。
そんなことをしたらもっと好きになってしまうだろう。

「見てないで出てきてよ」
「バレていましたか」
「バレバレだったよ。盗み見なんてダメな事じゃない?」
「すみませんね」

…俺の存在に気付いているのか。
最近は毎朝のように一緒に登校しているのだから、打ち解けてもいるだろうとは思っていたが
軽くいちゃつくぐらいまで仲が良くなっているとは思っていなかった。
坂ノ宮さんの方は敬語だが、意識して使ってはいない。

「さっき告白してきた子、女子ですよね?」
「そうだよ」

どうやら同性から告白されるのは慣れっこのようだ。
確かに皆月さんはカッコイイよりの美人だ。
男装したら男子の心を折るレベルでイケメンになってしまうかもしれない。

「蔭西さんって、告白とかされるんですか?」

突然、皆月さんから質問が飛んできた。

「ありませんね」
「意外です。背も高くてイケメンで性格もいいじゃないですか」
「それは、ありがとうございます」

自分の容姿について褒められるのは初めてだ。
俺は周りから見ると、背が高くイケメンで性格がいいのか…。
性格については何とも言えないが、容姿はいい方なのかもしれない。

「ちゃんと男性らしいです」
「皆月さんだって美人じゃないですか」

恥ずかしくなってきたので無理やり話題を変えた。

「美人、らしいのですが告白してくるのは同性ばかりで…。私も可愛くなりたいです」

確かに、同性ばかりからだとそのような悩みも生まれてくるのか。

女子なのに女子から告白される。
もしかしてら自分は女子なのに女子っぽくないのか…。
と思い、自信を失ってしまうかもしれない。

フォローを入れようとするが、言葉がうまく出てこない。

「何を言ってるんですか?皆月さんは十分可愛いじゃないですか」
「…ありがとう」

坂ノ宮さんが間髪入れずにそう言った。
どうやらこういうことを言うのに抵抗がないらしい。
そしてその言葉はちゃんと届いたらしく、笑顔になった。
少しだけ顔を赤らめて。

「坂ノ宮はかっこよくならいとね」
「そういうこと言わないでくださいよ!」

あはは、と笑い合っている。
坂ノ宮さんは困った顔をしているが、皆月さんはとても満足そうだ。

「はやく可愛くならなくちゃ…」

皆月さんが小さい声でボソッと言った。

「……」

皆月さんは坂ノ宮さんが好きなのだろうか?
自分に振り向いて欲しいから、頑張って可愛くなりたい。
そういうことだろうか。

ドラマやアニメでは片思いをして、相手に振り向いて欲しく頑張っている姿が一番魅力的だ、
と言われたりするが、まさにその通りだと思う。

可愛くならなくちゃ、と言った彼女の顔はとても輝いて見えた。
誰かのために何かを頑張れる、きっとそれが恋なのだろう。


「あ、蔭西くん!お弁当作ってきたよ」
「桜さん、ありがとうございます。今日はここで食べる?」

見たところ、坂ノ宮さんも皆月さんもお弁当を持っていたので丁度いい。

「いいね、皆でご飯食べると楽しいからね」

そう言いながら、合流しお弁当を受け取った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様を書いたストーリーです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

処理中です...