彼女と出会ったその日から~なぜ俺は毎日写真や動画を撮られるのだろうか~

文字の大きさ
27 / 74
一章

25話 お弁当

しおりを挟む
桜さんの作ってきてくれたお弁当はものすごく綺麗で可愛かった。
赤や緑、黄色などでとてもカラフルなうえに栄養バランスもよく考えられている。

「いただきます」
「召し上がれ」

持参した箸を持ち、まず黄色いふりかけのかかっているご飯を口に入れる。
ご飯の味はうちのと変わりはないが、少し美味しく感じる。
次に、お肉に箸をのばす。

「おいしい…」

これは、生姜焼きだろうか。
お弁当なのにお肉がまだ柔らかく、味もしっかりとしている。
思わずご飯も口に入れてしまう。
これ以上ないほどにご飯が合う…。
ゴクリと飲み込み、水を流し込む。
あと食べていないのはキュウリの漬物に卵焼き、大学芋。
そしてちくわチーズだ。

「蔭西くんって意外と真剣に食べてくれるんですね」

横で俺の食べている姿をまじまじと見ている桜さんは恥ずかしそうに言った。
その姿を見て、冷静になってしまいこちらまで恥ずかしくなってくる。

「ま、まぁ、おいしいから」
「…ありがとう」

何とも言えない空気が流れる。
俺はこの気恥ずかしい空気から気持ち的に逃げたくなり、キュウリの漬物を口に入れた。
前食べたようにとてもおいしい。
こうやってちゃんと漬物を食べるのは小学生以来なので、同時に懐かしくも感じる。

次は卵焼きだ。
桜さんの作った卵焼きはとても甘い。
自分が作る卵焼きは味が薄いので、甘い味なのは新鮮でいい。

「二人っていつの間に仲良くなったんですね」

桜さんの作ってくれたお弁当を頬張っていると、坂ノ宮さんが俺と桜さんを見ながらそう言った。
仲良く…。
確かになったかもしれない。
まだ本音で語り合うような仲ではないが、この学校内で一番仲がいい。

「そうですね、もう2ヶ月も経ちますから。坂ノ宮くんと皆月ちゃんこそいつの間に」

ニマニマとした笑顔を浮かべながら、カウンターするかのように聞き返した。
しかしそれは坂ノ宮さんには何のダメージにもならないらしく、するりとかわされてしまう。

「乗るのが同じ電車なので、次第に仲よくれましたよ」
「ふーん、皆月ちゃんも?」
「そ、そうね。電車が同じだから、一緒に帰る?ってなって」
「皆月さん、最初はカチコチでしたよねぇ」
「そんないうほどではなかったでしょう??」

二人とも、ここ二ヶ月で一気に距離が縮んだ気がする。
お互いに心を許している、そんな関係が俺には羨ましい。
いつから俺は、相手を見極めるのが癖になってしまったのか。
現に、まだ桜さんに対して「一緒にいると楽しい話し相手」という認識でしかない。
そのことに若干の負い目を感じてしまう。

「ごちそうさま」
「お粗末様です」

気づいたら食べ終わっており、明日のお昼は何にしようかと悩んでいる。

「明日も作ってくる?」
「…いいの?」
「もちろん」
「ではお言葉に甘えて」

よし、明日もこの美味しいお弁当を食べることができる。
それに明日のお昼の献立を悩む必要もなくなった。

「坂ノ宮くん、私がお弁当作ったら食べる?」
「そりゃ、食べますよ。皆月さんの料理の腕も気になりますし」
「そこは気にしなくていい」

なんだかこの二人を見ていると、とても暖かい気持ちになる。
やはり羨ましい関係だ。

パシャ

音が聞こえた右を見ると、首から下げているカメラで二人の微笑んでいる様子を撮っていた。
その写真を見て桜さんも微笑んだ。
俺は思わずその姿を一回も使ったことのない使い方だけ知っている前に買ったカメラでその姿を写真に収める。

髪がそよそよとした風になびき、後ろから差している陽光が彼女の微笑んでいる顔を際立たせるとともに
幻想的にしている。

そう、とても美しい。

「あ、今撮ったでしょ」
「…桜さんもよく勝手にし撮るでしょう?」
「そうだけど…。撮られるって恥ずかしいから」
「え、本当に?」
「本当も本当。それに、それ前買ったやつじゃないの…」

本当に恥ずかしいようで、みるみる顔が赤くなっていく。
その表情も撮りたかったが、その欲望をぎりぎりで押さえこむ。

俺の初めてのカメラで撮った初めて撮りたいと思った風景。
それはとても綺麗で美しく、この世で一枚しかない俺の宝物。
この思い出は一生の宝物になるに違いない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様を書いたストーリーです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

処理中です...