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一章
27話 勉強会?と縁談相手
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昨日話した通り、皆でファミレスに集まった。
学生の勉強会といったら、結局は勉強をやらない、というのがおちだ。
しかし俺たちの座っているファミレスの一角だけ妙に緊張感のある空気を醸し出している。
それぞれがそれぞれの教材を広げ、手を休めることなくもくもくと作業をしていた。
その間に会話など一つも起こらない。
強いて言うなら、「質問」ぐらいだ。
「ねぇ蔭西くん。ここ解答見ても分からないのだけれど。どうやって解くの?」
「ああ、そこは…」
俺は記述をする手を止めて、桜さんの聞いてきた数学の問題を覗き見る。
一見難しいように見える図形の問題だ。
難しいのに間違いはないのだが、意外と解く手順は容易な「あ~」となる問題。
「まず、ここをxと置いて問題文に記されている式にxを代入する」
「うん。えっと、あ。あ~、簡単になった」
「それは良かった」
気づけば集まってから5時間も経っている。
そろそろ集中力が切れてくる時間だ。
「ちょっと遊ばない?」
「え、でもテスト前だよ?」
「息抜きも大事だよ。皆月ちゃんは根を詰めすぎだよ」
桜さんが提案してきた。
しかし遊ぶと言ってももう午後2時だ。
どこかに行くにしては時間がない。
「蔭西さん、ですか?」
唐突に聞いたことのない声で俺の名前が出ていた。
振り向くと、そこにはそろそろ夏になるのにも関わらず長袖長ズボンでマフラーを巻いている
見ているだけでこちらが暑くなってくる服装の女性が立っていた。
かけている丸渕眼鏡の奥の眼で俺の事をまじまじと見ている。
「誰ですか?」
「蔭西家当主であるあなたのお父様より、居場所を教えてもらい参りました」
「だから、誰なんですか?」
「…御崎家長女の御崎杏です」
どういうことだ?
父の名前が出てきたということは何かつながりが?
あの縁談相手の資料の子か?
目を通していないせいで全くわからない。
桜さんたちも突然のことにきょとんとしている。
「え、あ、御崎家…」
坂ノ宮さんが驚いたようにつぶやく。
「あら坂ノ宮さん。お久しぶりです」
ニコッと上品な笑顔を作る。
どうやら何か関係があるようだ。
しかし今は自分の事で手一杯でそっちの関係までは頭が回らない。
「では蔭西さんはこの後私と用事がありますので」
「……は?」
そういわれ、俺は強制的にファミレスをあとにした。
桜さんがとても心配そうな顔でこちらを見ていたが、何といえばいいかわからない。
後で弁解のメールを送らなければ。
「蔭西さん、今日から明日の朝にかけて私の家に来てくれません?」
「…何でですか?初対面なうえに私があなたに持っている印象は最悪ですよ」
「別に最悪でも構いません。とりあえず来てください」
「行かないと言ったらどうなります?」
「無理やりにでも連れて行きます」
あはは、冗談を。
と言おうと思ったが彼女は真剣な顔で言っている。
変に抵抗すればどうなるかわからない…。
そう考え、仕方なく彼女の用意した車に乗り込んだ。
ピロン
桜さんからのメールの着信音が鳴った。
こっそりと見ると
大丈夫?
といった一言だった。
…はたして大丈夫なのだろうか。
不安になってくるがその気持ちを無理やり潰して
俺は蔭西家の人間として堂々とした態度で接そうと決めた。
学生の勉強会といったら、結局は勉強をやらない、というのがおちだ。
しかし俺たちの座っているファミレスの一角だけ妙に緊張感のある空気を醸し出している。
それぞれがそれぞれの教材を広げ、手を休めることなくもくもくと作業をしていた。
その間に会話など一つも起こらない。
強いて言うなら、「質問」ぐらいだ。
「ねぇ蔭西くん。ここ解答見ても分からないのだけれど。どうやって解くの?」
「ああ、そこは…」
俺は記述をする手を止めて、桜さんの聞いてきた数学の問題を覗き見る。
一見難しいように見える図形の問題だ。
難しいのに間違いはないのだが、意外と解く手順は容易な「あ~」となる問題。
「まず、ここをxと置いて問題文に記されている式にxを代入する」
「うん。えっと、あ。あ~、簡単になった」
「それは良かった」
気づけば集まってから5時間も経っている。
そろそろ集中力が切れてくる時間だ。
「ちょっと遊ばない?」
「え、でもテスト前だよ?」
「息抜きも大事だよ。皆月ちゃんは根を詰めすぎだよ」
桜さんが提案してきた。
しかし遊ぶと言ってももう午後2時だ。
どこかに行くにしては時間がない。
「蔭西さん、ですか?」
唐突に聞いたことのない声で俺の名前が出ていた。
振り向くと、そこにはそろそろ夏になるのにも関わらず長袖長ズボンでマフラーを巻いている
見ているだけでこちらが暑くなってくる服装の女性が立っていた。
かけている丸渕眼鏡の奥の眼で俺の事をまじまじと見ている。
「誰ですか?」
「蔭西家当主であるあなたのお父様より、居場所を教えてもらい参りました」
「だから、誰なんですか?」
「…御崎家長女の御崎杏です」
どういうことだ?
父の名前が出てきたということは何かつながりが?
あの縁談相手の資料の子か?
目を通していないせいで全くわからない。
桜さんたちも突然のことにきょとんとしている。
「え、あ、御崎家…」
坂ノ宮さんが驚いたようにつぶやく。
「あら坂ノ宮さん。お久しぶりです」
ニコッと上品な笑顔を作る。
どうやら何か関係があるようだ。
しかし今は自分の事で手一杯でそっちの関係までは頭が回らない。
「では蔭西さんはこの後私と用事がありますので」
「……は?」
そういわれ、俺は強制的にファミレスをあとにした。
桜さんがとても心配そうな顔でこちらを見ていたが、何といえばいいかわからない。
後で弁解のメールを送らなければ。
「蔭西さん、今日から明日の朝にかけて私の家に来てくれません?」
「…何でですか?初対面なうえに私があなたに持っている印象は最悪ですよ」
「別に最悪でも構いません。とりあえず来てください」
「行かないと言ったらどうなります?」
「無理やりにでも連れて行きます」
あはは、冗談を。
と言おうと思ったが彼女は真剣な顔で言っている。
変に抵抗すればどうなるかわからない…。
そう考え、仕方なく彼女の用意した車に乗り込んだ。
ピロン
桜さんからのメールの着信音が鳴った。
こっそりと見ると
大丈夫?
といった一言だった。
…はたして大丈夫なのだろうか。
不安になってくるがその気持ちを無理やり潰して
俺は蔭西家の人間として堂々とした態度で接そうと決めた。
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