35 / 74
一章
32話 デート②
しおりを挟む
「今日はどこに行くの?」
「水族館です」
「水族館…」
あまりにも聞きなじみのない言葉だったので思わず復唱してしまった。
水族館に行くなんて何年ぶりだろうか。
俺の記憶が正しければ、小学校低学年以来だ。
「最近リニューアルされて、それで」
「どこのですか?」
「…まぁとりあえず行きましょう!」
あはは、と失笑気味の笑顔で歩き出す。
「そういえば、今日はカメラ持ってきてないんだね」
電車に乗り、ふと思ったことを口にする。
桜さんがカメラを下げていないなんて、見るのは初めてだ。
「その、今日を目一杯楽しみたいから…」
「水族館をそんなに」
「そんなにって。まぁ、それもあるかな」
「それもって?他にもあるのか?」
うーんまぁ、と歯切れの悪い言葉を口にして桜さんはお茶を濁した。
それにしても今日の桜さんにはいつもの明るさがあまり見られない。
楽しみにしていた水族館に行けるから力んでいるのか、それとも…。
それはないか。
「ここだよ。降りよ」
「意外と近いな」
実際30分ほどしか電車に揺られていなかった。
こんなに近くにあるのになぜ自分は知らなかったのだろうか。
水族館に行くということで水族館に着くまでいろいろな魚の話をした。
桜さんは意外にも魚の種類や習性について詳しく、魚の面白い話をしてくれる。
「あ、ほら着いたよ!チケット買ってくるね!」
「ああ、ありがとう」
返事をする前に買いに行ってしまった。
それにしても大きい水族館だ。
確かこの水族館は世界規模で大きかったっけ?
よく覚えてはいないが、有名な水族館というのは知っている。
「早く入ろう!」
「ちょ、落ち着いて」
俺の手を掴み、強引に俺を引っ張る。
しかし不思議と嫌な気はしなかった。
キラキラとしていてワクワクしている彼女を見ているとなぜだかこちらもワクワクしてくる。
「えっと、2時間後にイルカショーがあるからそれまでにショーをする手前の魚たちを見ようかな」
「そう、だね。詳しいこととかいろいろ教えてね」
「もちろん!」
そう言い、魚たちのいる薄暗く青明るい世界に踏み込む。
「…すごい」
その世界はとても幻想的で、夢の中のようだ。
「わぁぁぁぁ」
桜さんは早速目の前にある水槽に張り付いている。
俺もその水槽を覗き込む。
「この魚はどういう魚なの?」
「えあっ…。すみません、自分の世界に入ってしまって」
「別に気にしないよ。というか、全然入ってもらって構わない」
「ありがとうございます!えっと、この魚は…」
ワイワイと話しながら、自分はどんどんと魚について詳しくなっていく。
桜さんの魚への知識は底が知れず、質問をすればなんでも帰ってくる。
しかもその表情はとてもキラキラしていてなんだか質問したくなってしまう。
「あ、ショーの時間!はやく行こう!」
「もうそんな時間か」
俺はいつの間にか水族館を純粋に楽しんでいて、お互いに水族館に入る前の謎に緊張している雰囲気はもうどこにもない。
この時だけは子供に戻ったように無邪気に慣れている。
少し気恥ずかしいことだが、たまにはこういうのもいいと思った。
そんなことを考えながら俺は桜さんとショーをする場所へと急いだ。
「水族館です」
「水族館…」
あまりにも聞きなじみのない言葉だったので思わず復唱してしまった。
水族館に行くなんて何年ぶりだろうか。
俺の記憶が正しければ、小学校低学年以来だ。
「最近リニューアルされて、それで」
「どこのですか?」
「…まぁとりあえず行きましょう!」
あはは、と失笑気味の笑顔で歩き出す。
「そういえば、今日はカメラ持ってきてないんだね」
電車に乗り、ふと思ったことを口にする。
桜さんがカメラを下げていないなんて、見るのは初めてだ。
「その、今日を目一杯楽しみたいから…」
「水族館をそんなに」
「そんなにって。まぁ、それもあるかな」
「それもって?他にもあるのか?」
うーんまぁ、と歯切れの悪い言葉を口にして桜さんはお茶を濁した。
それにしても今日の桜さんにはいつもの明るさがあまり見られない。
楽しみにしていた水族館に行けるから力んでいるのか、それとも…。
それはないか。
「ここだよ。降りよ」
「意外と近いな」
実際30分ほどしか電車に揺られていなかった。
こんなに近くにあるのになぜ自分は知らなかったのだろうか。
水族館に行くということで水族館に着くまでいろいろな魚の話をした。
桜さんは意外にも魚の種類や習性について詳しく、魚の面白い話をしてくれる。
「あ、ほら着いたよ!チケット買ってくるね!」
「ああ、ありがとう」
返事をする前に買いに行ってしまった。
それにしても大きい水族館だ。
確かこの水族館は世界規模で大きかったっけ?
よく覚えてはいないが、有名な水族館というのは知っている。
「早く入ろう!」
「ちょ、落ち着いて」
俺の手を掴み、強引に俺を引っ張る。
しかし不思議と嫌な気はしなかった。
キラキラとしていてワクワクしている彼女を見ているとなぜだかこちらもワクワクしてくる。
「えっと、2時間後にイルカショーがあるからそれまでにショーをする手前の魚たちを見ようかな」
「そう、だね。詳しいこととかいろいろ教えてね」
「もちろん!」
そう言い、魚たちのいる薄暗く青明るい世界に踏み込む。
「…すごい」
その世界はとても幻想的で、夢の中のようだ。
「わぁぁぁぁ」
桜さんは早速目の前にある水槽に張り付いている。
俺もその水槽を覗き込む。
「この魚はどういう魚なの?」
「えあっ…。すみません、自分の世界に入ってしまって」
「別に気にしないよ。というか、全然入ってもらって構わない」
「ありがとうございます!えっと、この魚は…」
ワイワイと話しながら、自分はどんどんと魚について詳しくなっていく。
桜さんの魚への知識は底が知れず、質問をすればなんでも帰ってくる。
しかもその表情はとてもキラキラしていてなんだか質問したくなってしまう。
「あ、ショーの時間!はやく行こう!」
「もうそんな時間か」
俺はいつの間にか水族館を純粋に楽しんでいて、お互いに水族館に入る前の謎に緊張している雰囲気はもうどこにもない。
この時だけは子供に戻ったように無邪気に慣れている。
少し気恥ずかしいことだが、たまにはこういうのもいいと思った。
そんなことを考えながら俺は桜さんとショーをする場所へと急いだ。
0
あなたにおすすめの小説
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様を書いたストーリーです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる