彼女と出会ったその日から~なぜ俺は毎日写真や動画を撮られるのだろうか~

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一章

35話 家柄

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次の日、頭がフワフワとしたままリビングへ降りると珍しく父がいた。
難しい顔をしながら腕を組んでいる。

「箕六、そこに座りなさい」
「…はい」

何か物々しい雰囲気だ。
緊張感さえある。

「最近、桜のお嬢さんと仲良くやってるそうじゃないか」
「……」
「で?別に仲良くするのはいいが、結婚相手をまとめた資料には目を通したのか?」
「…………」

俺は無言で首を横に振る。
途端、机を思いきり叩く破裂音が家じゅうに響き渡った。
思わずひるみ、萎縮していまう。

「どうしてお前はそうなんだ!お前には蔭西という自覚が足りん!」
「……」
「お前があの資料に載っている女性と結婚すればこの先は安泰なんだ!裕福に暮らせているんだ!なのになぜそれを棒に振るようなことをしている!」

なぜ朝からこんな説教をされているのだろうか。
別に俺はこの面倒で嫌いな家がどうなろうが知ったことではない。
それなりに暮らせていければそれでいい。

「………」
「おい、なんとか言ったらどうだ」
「…時間なので学校に行きます」
「おいっ!」

俺は足元に置いておいたバックを手に取り、逃げるようにして家を出た。
後ろからの怒鳴り声を無視して。

「朝からうっせえなぁ」

発散するように口にし、少しだけスッキリする。
が、まだ謎の不安感とモヤモヤが残っている。
そのせいで息が詰まりそうになり、呼吸が荒くなっていく。

「ちっ」

頭を振り、強引に忘れようとするがなかなか頭から離れない。
なかなかモヤモヤが晴れない。

電車に乗り、いつものように学校へ行く。

「わっ。おはよう、蔭西くん」
「…おはよう、ございます」

変に緊張してしまい、敬語になってしまう。
顔を見ることができない。
何とも言えない空気が流れる。

「今日、部活あるから。よろしくね」
「わかった」

とても淡泊で味気のない会話。
しかし、これでも俺は精一杯だった。

「放課後、か」

得体のしれない不安をかかえたまま、今日という一日が開始する。
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