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一章
37話 葛藤②/返事
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「今日はどんな写真を撮るの?」
「えっと、特に決まってませんので行き当たりばったりで」
思わず敬語になってしまう。
微妙な空気になっていくのを肌で感じつつ、俺は撮影スポットを必死に探す。
ドキドキしすぎて嗚咽までする。
「空がオレンジ色になってきたね」
下を向いている俺に桜さんはそう言った。
顔を上げてみると、青やオレンジ、赤のグラデーションがとても綺麗な背景がそこにはあった。
とても神秘的で魅力的だ。
しかし…。
「とても、綺麗ですね」
そう言いながらも、俺は桜さんの事を見ていた。
夕焼けに照らされている彼女は、手を太陽にかざし光の直射を防いでいる。
心地のいい風が髪をなびかせ余計に神秘的になった。
部活動をしていると度々、このような場面に遭遇するが今日のその風景は違って見えた。
いつもよりもキラキラしていて、何故か初めて見た時のように感動してしまう。
「とても、とても美しい」
その美しさに思わず言葉が漏れてしまう。
「え、あ、ありがとう…」
気づくと俺は桜さんと目が合っていた。
体が内側から熱くなるのを感じる。
おもむろにカメラを取り出して、俺は空を写すようにして構える。
その姿はきっと恥ずかしさから逃げているような、みっともない姿だっただろう。
「さ、桜さんはどういうのを撮るんですか?」
どもってしまい上手く喋ることができなかった。
「こういうの、かな」
桜さんは首から下げているカメラを俺に見してくれた。
やはりどの写真も美しく、何回見ても尊敬してしまう。
色がとても鮮やかに出ていてピントもしっかりと合っている。
桜さんの撮った写真を見ていると、写真はかなり取る側の性格を表しているなぁ、と思った。
何せ桜さんの撮る写真は本当にどれも鮮やかで綺麗だ。
それは桜さんの明るく、芯の通っている性格をとても的確に表している、そんな気がした。
自分の写真を見てみるとどの写真も綺麗に撮れてなく、ぶれているものも多々ある。
しかも失敗している写真は今日が一番多い。
あぁ、この期に及んで自分はまだ悩んでいるのか。
自分が桜さんの事が「好き」だなんて明白ではないか。
考え、嫉妬し、怒り…。
なにより彼女といるのはとても楽しい。
今、返事を返してしまおう。
そう思った。
そう考えた。
「桜さん!」
意を決し、俺は桜さんを読んだ。
緊張で手が震えている。
喉が渇いている気もする。
「どう、しましたか?」
桜さんもこの緊張した空気を読み取ったのか、緊張している。
「返事を、聞いてくれますか?」
「は、はい!」
どちらの声も震えている。
「その、返事ですが…」
血の気が引いていき、手先の感覚がなくなるのがわかってしまう。
これまでに感じたことのない、どこか穏やかな部分もあるちょっと変わった緊張感。
俺は勇気を振り絞り、自分の思いを口にする。
「はい。僕と、付き合ってください」
「もちろん!喜んでっ!」
ほっ、と胸をなでおろすと同時に喜びが湧き上がってきた。
桜さんは俺に抱き着いてくる。
「本当に、嬉しい。ありがとう…」
耳元で言われるその言葉はうるうるとしていた。
「こちらこそ、ありがとう」
そう言うと、彼女は鼻をすすった。
俺から体を離すと携帯を構えて前へと突き出した。
「はい、ちーず!」
ぱしゃりと音が鳴る。
咄嗟の事で上手く笑顔になれなかった。
「ふふっ。今日の一枚」
はにかんだ笑顔を見せた。
送られてきた写真を見ると、綺麗な夕焼け空を背景に眩しいぐらいの笑みを浮かべる桜さんと
とても自然で穏やかな自分の笑顔がいた。
「改めてよろしくね。蔭西くん」
「よろしくお願いします。桜さん」
少しむずがゆく甘酸っぱいやり取りをし、二人で学校へと戻った。
その途中で送られてきた写真を保存し、ホームの壁紙にする。
「ふふっ」
思わず笑みがこぼれる。
「どうしたの?」
「どうもしないよ」
「教えてよ~」
「教えない」
そう言うと彼女はぷくっと頬を膨らました。
指で突くと、口から空気が抜けていった。
桜さんは口の空気が抜けると恥ずかしそうに笑みを見せた。
俺がホーム画面を彼女との写真にしたのは内緒だ。
それは彼女である桜さんにも言いたくない。
なぜって?
そりゃ、恥ずかしいから。
「えっと、特に決まってませんので行き当たりばったりで」
思わず敬語になってしまう。
微妙な空気になっていくのを肌で感じつつ、俺は撮影スポットを必死に探す。
ドキドキしすぎて嗚咽までする。
「空がオレンジ色になってきたね」
下を向いている俺に桜さんはそう言った。
顔を上げてみると、青やオレンジ、赤のグラデーションがとても綺麗な背景がそこにはあった。
とても神秘的で魅力的だ。
しかし…。
「とても、綺麗ですね」
そう言いながらも、俺は桜さんの事を見ていた。
夕焼けに照らされている彼女は、手を太陽にかざし光の直射を防いでいる。
心地のいい風が髪をなびかせ余計に神秘的になった。
部活動をしていると度々、このような場面に遭遇するが今日のその風景は違って見えた。
いつもよりもキラキラしていて、何故か初めて見た時のように感動してしまう。
「とても、とても美しい」
その美しさに思わず言葉が漏れてしまう。
「え、あ、ありがとう…」
気づくと俺は桜さんと目が合っていた。
体が内側から熱くなるのを感じる。
おもむろにカメラを取り出して、俺は空を写すようにして構える。
その姿はきっと恥ずかしさから逃げているような、みっともない姿だっただろう。
「さ、桜さんはどういうのを撮るんですか?」
どもってしまい上手く喋ることができなかった。
「こういうの、かな」
桜さんは首から下げているカメラを俺に見してくれた。
やはりどの写真も美しく、何回見ても尊敬してしまう。
色がとても鮮やかに出ていてピントもしっかりと合っている。
桜さんの撮った写真を見ていると、写真はかなり取る側の性格を表しているなぁ、と思った。
何せ桜さんの撮る写真は本当にどれも鮮やかで綺麗だ。
それは桜さんの明るく、芯の通っている性格をとても的確に表している、そんな気がした。
自分の写真を見てみるとどの写真も綺麗に撮れてなく、ぶれているものも多々ある。
しかも失敗している写真は今日が一番多い。
あぁ、この期に及んで自分はまだ悩んでいるのか。
自分が桜さんの事が「好き」だなんて明白ではないか。
考え、嫉妬し、怒り…。
なにより彼女といるのはとても楽しい。
今、返事を返してしまおう。
そう思った。
そう考えた。
「桜さん!」
意を決し、俺は桜さんを読んだ。
緊張で手が震えている。
喉が渇いている気もする。
「どう、しましたか?」
桜さんもこの緊張した空気を読み取ったのか、緊張している。
「返事を、聞いてくれますか?」
「は、はい!」
どちらの声も震えている。
「その、返事ですが…」
血の気が引いていき、手先の感覚がなくなるのがわかってしまう。
これまでに感じたことのない、どこか穏やかな部分もあるちょっと変わった緊張感。
俺は勇気を振り絞り、自分の思いを口にする。
「はい。僕と、付き合ってください」
「もちろん!喜んでっ!」
ほっ、と胸をなでおろすと同時に喜びが湧き上がってきた。
桜さんは俺に抱き着いてくる。
「本当に、嬉しい。ありがとう…」
耳元で言われるその言葉はうるうるとしていた。
「こちらこそ、ありがとう」
そう言うと、彼女は鼻をすすった。
俺から体を離すと携帯を構えて前へと突き出した。
「はい、ちーず!」
ぱしゃりと音が鳴る。
咄嗟の事で上手く笑顔になれなかった。
「ふふっ。今日の一枚」
はにかんだ笑顔を見せた。
送られてきた写真を見ると、綺麗な夕焼け空を背景に眩しいぐらいの笑みを浮かべる桜さんと
とても自然で穏やかな自分の笑顔がいた。
「改めてよろしくね。蔭西くん」
「よろしくお願いします。桜さん」
少しむずがゆく甘酸っぱいやり取りをし、二人で学校へと戻った。
その途中で送られてきた写真を保存し、ホームの壁紙にする。
「ふふっ」
思わず笑みがこぼれる。
「どうしたの?」
「どうもしないよ」
「教えてよ~」
「教えない」
そう言うと彼女はぷくっと頬を膨らました。
指で突くと、口から空気が抜けていった。
桜さんは口の空気が抜けると恥ずかしそうに笑みを見せた。
俺がホーム画面を彼女との写真にしたのは内緒だ。
それは彼女である桜さんにも言いたくない。
なぜって?
そりゃ、恥ずかしいから。
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