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二章
42話 空前甲斐(くうまえかい)
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次の日の朝、学校の最寄り駅の改札の前で桜さんは待っていた。
「あ、おはよう。蔭西くん」
眠そうに目をこすりながら言う。
「おはよう。桜さん」
俺も挨拶をすると桜さんはふわぁと欠伸をした。
それを隠そうと手で口をふさぐ。
「…見た?」
「み、見た」
そう答えると桜さんの顔がみるみると赤くなっていった。
照れを隠すように、あはは、と笑いながら。
「おはよう!桜!」
後ろから大声で桜さんを呼んだのはいつかの一軍男子だった。
確か名前は…。
覚えてないや。
「あの、本当にもう関わらないでください」
「えー、いいじゃん」
何かあったのだろうか。
何かされたのだろうか。
一軍男子は桜さんに腕を回し、肩をかけようとする。
俺は反射的にその手を払いのけ、桜さんを自分の方へ寄せる。
「嫌がってるでしょう?」
「俺にはそう見えないけど?」
別にお前がどう見えているかなんてどうでもいい。
「桜さん。嫌だ?」
「いや。もう関わらないで」
桜さんも言っているではないか。
「そんなこと言って、本当は俺の事好きなんだろ?」
「「…は?」」
予期せず俺と桜さんの声が重なった。
なんなんだこいつは、ときっとお互いに思っている。
「蔭西くん早く生きましょ」
「ああ」
俺と桜さんは一軍男子から逃げるように足早にその場を後にした。
どちらにしろ教室で見つかってしまうが今ここで変な事を繰り広げられるよりはましだ。
ガラガラと教室の扉を開け、席に座る。
すでに坂ノ宮さんが登校していた。
交友の広い彼ならあの一軍男子のことを知っているかもしれない。
「坂ノ宮さん、あの男のこと知ってる?」
丁度クラス前で友達らしき人と仲良く喋っていた一軍男子を指さす。
「空前さん?知ってるよ」
「どう人か教えてくれない?」
「いいけど…」
物珍しそうな目でこちらを見てくる。
「簡単に言えば単純な人だよ。良くも悪くも単純。そして明るい人」
「単純…」
坂ノ宮さんは素直に教えてくれたものの、依然として訝しがっている。
「じ、実はな…」
俺は坂ノ宮さんを納得させるために事の顛末を話した。
すると抑えたような笑い声をあげ始めた。
「そんなに面白いか?」
「いや、まぁ、そうだね。面白い」
「どこらへんが?」
「全部だよ全部。空前さんはあまりにも真っ直ぐすぎる馬鹿だし、蔭西さんは嫉妬深いし。というか、桜さんと付き合い始めたの?」
「…え」
しまった、喋りすぎた…。
別に隠すつもりはなかったが、もう少し自分の中で整理がついてからだと決めていたのに。
「でもそっか。あんなに死んだ目をして、不穏な空気を醸し出していた蔭西くんが」
「別に、そこまでじゃないだろ」
「だいぶやばい奴だったよ」
誰目線だよ、と突っ込みたくなったがそれを抑えて
「それもこれも桜さんのおかげだよ」
と返した。
「羨ましいな。でもあまり依存しないようにね」
「依存?まぁありがとう」
チャイムが鳴り担任が教室に入ってくると皆席に座り、長くも短い学生の一日が始まった。
「あ、おはよう。蔭西くん」
眠そうに目をこすりながら言う。
「おはよう。桜さん」
俺も挨拶をすると桜さんはふわぁと欠伸をした。
それを隠そうと手で口をふさぐ。
「…見た?」
「み、見た」
そう答えると桜さんの顔がみるみると赤くなっていった。
照れを隠すように、あはは、と笑いながら。
「おはよう!桜!」
後ろから大声で桜さんを呼んだのはいつかの一軍男子だった。
確か名前は…。
覚えてないや。
「あの、本当にもう関わらないでください」
「えー、いいじゃん」
何かあったのだろうか。
何かされたのだろうか。
一軍男子は桜さんに腕を回し、肩をかけようとする。
俺は反射的にその手を払いのけ、桜さんを自分の方へ寄せる。
「嫌がってるでしょう?」
「俺にはそう見えないけど?」
別にお前がどう見えているかなんてどうでもいい。
「桜さん。嫌だ?」
「いや。もう関わらないで」
桜さんも言っているではないか。
「そんなこと言って、本当は俺の事好きなんだろ?」
「「…は?」」
予期せず俺と桜さんの声が重なった。
なんなんだこいつは、ときっとお互いに思っている。
「蔭西くん早く生きましょ」
「ああ」
俺と桜さんは一軍男子から逃げるように足早にその場を後にした。
どちらにしろ教室で見つかってしまうが今ここで変な事を繰り広げられるよりはましだ。
ガラガラと教室の扉を開け、席に座る。
すでに坂ノ宮さんが登校していた。
交友の広い彼ならあの一軍男子のことを知っているかもしれない。
「坂ノ宮さん、あの男のこと知ってる?」
丁度クラス前で友達らしき人と仲良く喋っていた一軍男子を指さす。
「空前さん?知ってるよ」
「どう人か教えてくれない?」
「いいけど…」
物珍しそうな目でこちらを見てくる。
「簡単に言えば単純な人だよ。良くも悪くも単純。そして明るい人」
「単純…」
坂ノ宮さんは素直に教えてくれたものの、依然として訝しがっている。
「じ、実はな…」
俺は坂ノ宮さんを納得させるために事の顛末を話した。
すると抑えたような笑い声をあげ始めた。
「そんなに面白いか?」
「いや、まぁ、そうだね。面白い」
「どこらへんが?」
「全部だよ全部。空前さんはあまりにも真っ直ぐすぎる馬鹿だし、蔭西さんは嫉妬深いし。というか、桜さんと付き合い始めたの?」
「…え」
しまった、喋りすぎた…。
別に隠すつもりはなかったが、もう少し自分の中で整理がついてからだと決めていたのに。
「でもそっか。あんなに死んだ目をして、不穏な空気を醸し出していた蔭西くんが」
「別に、そこまでじゃないだろ」
「だいぶやばい奴だったよ」
誰目線だよ、と突っ込みたくなったがそれを抑えて
「それもこれも桜さんのおかげだよ」
と返した。
「羨ましいな。でもあまり依存しないようにね」
「依存?まぁありがとう」
チャイムが鳴り担任が教室に入ってくると皆席に座り、長くも短い学生の一日が始まった。
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