彼女と出会ったその日から~なぜ俺は毎日写真や動画を撮られるのだろうか~

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二章

46話 三連休一日目

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「…しくじった」

気づけば三連休の一日目。
何の約束もしていない。
いや、いつも通り勉強すればいいのだがどこか空しい。
むくりと起き上がり、机に向かう。

「はぁ」

思わずため息が漏れる。
感覚としては昔に戻ったようなものだが、自分自身が変わってしまっているので
どうも落ち着かない。

「あー、そうだ」

俺は思い出したように、お見合い相手をまとめたファイルを取り出す。
そこには「御崎杏」の他に「三井西紗枝」「国司愛」の名前があった。
いずれも超有名企業のご令嬢だ。
名前に加えて、顔写真と趣味などが掲載されていた。
パラパラと眺めるように見ていると、最後のページには黒いファイルが挟まっていた。
俺はそのファイルを抜き、中を見る。
そこには、書類が4,5枚入っていた。
なんだ?と思い、その書類を机の上に並べる。

「…は?」

そこには「桜美智」と「皆島ロゼ」とあった。
恐る恐る他の書類に目をやる。
そこには生い立ちやら友好関係が載っていた。
他の書類よりも深く、書かれていた。

「は?」

呼吸を忘れてしまったかのように、息が詰まる。
いけないことだとはわかっているのに、思わず見てしまう。

桜さんは、自分と同じ小学校で両親を失い軽度の認知症を持つ叔母と同棲。

意味が分からない。
桜さんと自分が同じ小学校だった?
あの冷たい視線の一人が桜さんだったのか?
それに両親がいない?
なんだ、どういうことだ?

頭の中がぐちゃぐちゃになる。

さらに読み進めていくと、今は両親の保険金で生活していて残りの額はたったの約100万円でアイドルなどの写真を撮ったりしてどうにか稼いでる、とまで書いてある。

「最悪だ…」

俺は胸が苦しくなり、途中で書類を破り、ゴミ箱に捨てた。
皆島さんのもだ。
絶対に踏み入れてはいけないところまで、この書類には載っていた。

俺は携帯を手に取り、桜さんにメールを送った。

明日、会えるか?

すぐに、会えるよ!と返信が来たので
俺は、××駅前で待ち合わせ、と送る。
スタンプで「了解」と送られ、明日の予定が埋まる。

俺はランニングウエアに着替えて外に出た。
このモヤモヤとした気持ちをどうにかしたくて、走りたくなった。
近くの川へ行き、土手を走り出す。

時間が経つにつれ、息が苦しくなるのと同時に頭の中がクリアになっていく。
しかしまだ気持ち悪さが残っている。
自分は半ば自分に八つ当たりするようにスピードを上げる。

もう何周したかわからない。
息が苦しいどころか、肺が痛くなってきて胸が苦しい。
モヤモヤとした気持ちとぐちゃぐちゃになり、もう自分でもよくわからなくなっていた。
しかし、はっきりとした罪悪感は残っている。

「はぁ、はぁ」

すっかり日が暮れて、あたりは真っ暗になっていた。
足がパンパンになっている。
もう動きたくないと思いながらも、家へと帰りシャワーを浴びる。
未だに晴れないこのモヤモヤとしたものは何をしても流せなかった。

昨日の夜の余り物である今日の夜ご飯も喉を通らない。

「あはは」

乾いた笑いが出た。
自分にこんな汚い血が流れているなんて…。
自分がこんなに惨めに思えるなんて…。

俺は明日の準備をして布団に入った。
気持ちが沈んだままで、うまく寝付けない。
あんなものを見なければよかったと今さらながら後悔する。
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