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二章
断章②
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蔭西くんとお姉さんとの買い物はものすごく楽しかった。
雰囲気だけでもとても楽しかったのに、蔭西くんが色々と買ってくれた。
それがなんだか申し訳ない。
「楽しかった?」
帰りのタクシーに乗ると、そう聞かれた。
「もちろん。でも、ちょっと買いすぎたかな」
あはは、と苦笑する。
すると珍しく、いや始めただ。
蔭西くんから私に手を絡ませてきた。
胸がキュウッとなる。
ただただ幸せだ。
怖くなるぐらいに幸せ。
横を見ると、蔭西くんは見たこともないだらしのない笑顔を浮かべていた。
しばらくそんな時間が続き、家に着く。
私は荷物を持ってタクシーから降りる。
「…どうやって家の中に入ろう」
「どうしよ…」
二人とも紙袋で両手がいっぱいいっぱいで、カギを開ける余裕がない。
蔭西くんは紙袋を地面に置いてバッグからカギを取り出して開けた。
「ありがとう」
「どういたしまして~」
先に家の中に入る。
久しぶりのような気がして、とても落ち着く。
当然だが、家だなと思う。
「ふぅ。先にお風呂入ろうかな」
私は紙袋を置くと、そう言って脱衣所へと入る。
「じゃあ片付けとくよ」
リビングの方から聞こえた。
「ありがとう」
私はそう返して、服を脱ぎ始める。
楽しい時間はびっくりするぐらいはやく過ぎるんだなと思う。
お湯につかっているとなぜだか蔭西くんへ罪悪感が湧いてきた。
蔭西くんは自分には一切お金をつかわず、すべて私のために私の欲しいものを買ってくれた。
それは彼女である私が物欲しそうに商品を見ていたからだろうか。
もしそれに気づいて買ってくれていたのなら、とても申し訳ない。
ひとまずそこは謝ろうと思う。
買ってくれる人に向ける感情ではないと、自分でもいる。
「なんだかなぁ」
こじれている。
ねじれている。
それはきっと蔭西くんの元いた環境の影響だろう。
いきなり全く違う環境にきて、瞬時に対応できるほど人間はできていない。
お風呂から上がって、体をタオルで拭く。
そしてパジャマを着る。
「あがったよ~」
脱衣所の中からそう言う。
「りょうかーい」
「その、ごめんね。私だけ楽しんで、お金いっぱい使って…」
「俺も楽しかったよ」
「でも…。そんな、他人のお金を」
はっ、となり口を押える。
他人だなんて、嘘でも言ってはいけない…。
脱衣所から出てちらりと蔭西くんを見ると、少しだけ口角が上がっていた。
笑みを浮かべていた。
ぞっとする笑みを。
「他人じゃなければいいの?罪悪感は生まれない?」
「えっ?」
笑みは浮かべているのに、目が、雰囲気が、笑っていない。
だからといってどんよりしているという訳でもない。
でも、得体の知れないものが自分にまとわりついてくる。
「…ごめんね。そんな顔をさせて」
その言葉を言った瞬間、蔭西くんから笑みさえも消えた。
消えうせた。
「ならさ、結婚しない?成人してからの話だけど、そう遠い話ではない」
「え…」
な、何を蔭西くんは…?
なんていうか、こう、らしくない。
「きっとお金に困ることもないし、それに…」
違う、違う。
私の知っている蔭西くんはこんなじゃない。
もっと現実的で、段階を踏んで、頼りになる存在なのに…。
今の蔭西くんはまるで悪魔に憑かれてるようだ。
見るだけで不安定だと、壊れているとわかる。
「ちょっと考えさせて」
「…ごめん。お風呂入ってくる」
蔭西くんがお風呂に入ったのを確認してから自分の部屋へと逃げるようにして入る。
そして流れるようにしてベッドに倒れ込む。
「こっちこそごめん」
蔭西くんがため込む人だと、人に頼るのが苦手だと知っていたのに
私は話を聞いてあげられなかった。
無理やりにでも聞けばよかった。
なんて私は馬鹿なんだ…。
後悔するぐらいなら、嫌われてでも聞いておけばよかった。
「ふっ…。う…」
自然と涙がこぼれてくる。
そして私はそのまま寝てしまった。
雰囲気だけでもとても楽しかったのに、蔭西くんが色々と買ってくれた。
それがなんだか申し訳ない。
「楽しかった?」
帰りのタクシーに乗ると、そう聞かれた。
「もちろん。でも、ちょっと買いすぎたかな」
あはは、と苦笑する。
すると珍しく、いや始めただ。
蔭西くんから私に手を絡ませてきた。
胸がキュウッとなる。
ただただ幸せだ。
怖くなるぐらいに幸せ。
横を見ると、蔭西くんは見たこともないだらしのない笑顔を浮かべていた。
しばらくそんな時間が続き、家に着く。
私は荷物を持ってタクシーから降りる。
「…どうやって家の中に入ろう」
「どうしよ…」
二人とも紙袋で両手がいっぱいいっぱいで、カギを開ける余裕がない。
蔭西くんは紙袋を地面に置いてバッグからカギを取り出して開けた。
「ありがとう」
「どういたしまして~」
先に家の中に入る。
久しぶりのような気がして、とても落ち着く。
当然だが、家だなと思う。
「ふぅ。先にお風呂入ろうかな」
私は紙袋を置くと、そう言って脱衣所へと入る。
「じゃあ片付けとくよ」
リビングの方から聞こえた。
「ありがとう」
私はそう返して、服を脱ぎ始める。
楽しい時間はびっくりするぐらいはやく過ぎるんだなと思う。
お湯につかっているとなぜだか蔭西くんへ罪悪感が湧いてきた。
蔭西くんは自分には一切お金をつかわず、すべて私のために私の欲しいものを買ってくれた。
それは彼女である私が物欲しそうに商品を見ていたからだろうか。
もしそれに気づいて買ってくれていたのなら、とても申し訳ない。
ひとまずそこは謝ろうと思う。
買ってくれる人に向ける感情ではないと、自分でもいる。
「なんだかなぁ」
こじれている。
ねじれている。
それはきっと蔭西くんの元いた環境の影響だろう。
いきなり全く違う環境にきて、瞬時に対応できるほど人間はできていない。
お風呂から上がって、体をタオルで拭く。
そしてパジャマを着る。
「あがったよ~」
脱衣所の中からそう言う。
「りょうかーい」
「その、ごめんね。私だけ楽しんで、お金いっぱい使って…」
「俺も楽しかったよ」
「でも…。そんな、他人のお金を」
はっ、となり口を押える。
他人だなんて、嘘でも言ってはいけない…。
脱衣所から出てちらりと蔭西くんを見ると、少しだけ口角が上がっていた。
笑みを浮かべていた。
ぞっとする笑みを。
「他人じゃなければいいの?罪悪感は生まれない?」
「えっ?」
笑みは浮かべているのに、目が、雰囲気が、笑っていない。
だからといってどんよりしているという訳でもない。
でも、得体の知れないものが自分にまとわりついてくる。
「…ごめんね。そんな顔をさせて」
その言葉を言った瞬間、蔭西くんから笑みさえも消えた。
消えうせた。
「ならさ、結婚しない?成人してからの話だけど、そう遠い話ではない」
「え…」
な、何を蔭西くんは…?
なんていうか、こう、らしくない。
「きっとお金に困ることもないし、それに…」
違う、違う。
私の知っている蔭西くんはこんなじゃない。
もっと現実的で、段階を踏んで、頼りになる存在なのに…。
今の蔭西くんはまるで悪魔に憑かれてるようだ。
見るだけで不安定だと、壊れているとわかる。
「ちょっと考えさせて」
「…ごめん。お風呂入ってくる」
蔭西くんがお風呂に入ったのを確認してから自分の部屋へと逃げるようにして入る。
そして流れるようにしてベッドに倒れ込む。
「こっちこそごめん」
蔭西くんがため込む人だと、人に頼るのが苦手だと知っていたのに
私は話を聞いてあげられなかった。
無理やりにでも聞けばよかった。
なんて私は馬鹿なんだ…。
後悔するぐらいなら、嫌われてでも聞いておけばよかった。
「ふっ…。う…」
自然と涙がこぼれてくる。
そして私はそのまま寝てしまった。
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