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二章
断章①
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蔭西くんのお姉さんに会うってなった時は、私なんかが蔭西くんと一緒にいていいのだろうかと思ってしまい、正直怖かった。
しかし会ってみたらすごく親しみやすくて、まるで自分に姉ができたようだった。
流石に積極的にグイグイと距離を詰めてきすぎだとは思うが。
「節約しろよ」
そう言った蔭西くんは笑顔だった。
私に向ける笑顔とはまた違う笑顔。
蔭西くんが部屋から出ていくと、姉の蔭西叶さんは私に体を寄せてきた。
「箕六のどういうところが好きなの?」
「え、えっと…」
唐突な質問に口ごもってしまう。
「その、えっと」
「うんうん」
目をキラキラとさせながら私の目を見てくる。
私はうつむいて、思い出すようにそっと目を閉じる。
「誠実、だからですかね」
「誠実…。え、それ以外は?」
「優しいが故に自分でぐちゃぐちゃ考えちゃう所とか、親身になって話を聞いてくれるところか。なんだか、こう、漠然と、『好き』って思うんですよね」
目をつぶっているおかげで多少は耐えられているが、自分でも顔が赤くなっているのがわかるくらいに顔が熱い。
蔭西くんのことを思い出してしまうせいで余計に恥ずかしくなってしまう。
「ふーん。まさか本当にあの箕六のことを好きな人がいるなんてね」
「どういうことですか?」
蔭西くんを卑下している聞こえて、私は睨んでしまう。
「父のせいで幼少期からずっと塾とか道場とかに通っていたせいで、友達付き合いは学校内だけ。それに大人になっていけばなっていくほど世の中の汚い部分に触れるでしょ?そのせいでどんどんネガティブになって暗くなっていったの。だから、今もボッチなのかなって」
蔭西くんのお姉さんの声がだんだんと小さくなっていく。
「でも帰ってみたら友達もいるみたいだし、彼女もいるし、明るいし」
何の言葉もかけてあげられない。
「もしその暗かった頃と変わらなくてもきっと私は蔭西くんが好きですよ」、とも
「そんな、お姉さんが気にすることじゃありませんよ」、とも。
「本当に箕六を好きになってくれてありがとう。私にはあの子の横にいる資格はないから」
「…どうしてですか?」
「私はあの家にいるのが嫌になって、箕六を置いて留学したの。そのせいで余計に箕六に負担をかけちゃって。ホント、お姉さん失格だよね」
会った時のテンションからは想像できないほどに、暗い話。
本人に何も思わせないために、私だけに話してくれているのだろう。
せめて、蔭西くんを支えてくれる存在に罪滅ぼしのように。
「でも、蔭西くんはすごい会えることを楽しみにしていましたよ。タクシーの中で姉との少ない思い出を楽しそうに話してくれました。だから、別に失格ってわけではないですよ。むしろ存在してくれているだけで蔭西くんの支えの一つになっているような気もします」
「そう。そんなことを話していたの…」
「それにしても似てますね」
「え!?どこが?」
驚いた声を上げて、お姉さんの目線が上がる。
「そうやってたくさんの事を考えてしまうところとか、考え方とか」
「ま、まぁ、姉弟だからね!」
このお姉さんは弟のことが大大大好きなんだろうな、と感じる。
私も負けないぐらい大好きだが、正直お姉さんとの思い出話を楽しくしているの見せられてしまうと嫉妬してしまう。
「あ、明日さ、一緒に買い物に行かない?」
思い出したようにお姉さんはそう提案してきた。
しかし私にはお金がない。
蔭西くんに迷惑をかけるわけにもいかない。
「ついてきて欲しいなぁ…」
まるで子供が親にお菓子をねだるように、言ってくる。
本当にテンションに差がある人だな、と思う。
「わかりました。こういうの初めてですし」
「ありがとう!じゃあ連絡先交換しよ?」
「あ、はい」
このハイテンションに私が押しつぶされそうになってしまう。
しかし嫌な思いはしない。
「これが、美智ちゃんの…。写真、好きなんだ」
「はい、好きです」
「…箕六の小さい頃の写真あるけど、見る?」
蔭西くんの小さい時の写真?
「見たいです!」
間髪入れずにそう答える。
「ふっふっふ」
お姉さんはバックからアルバムを出して、どこでどういうシチュエーションで撮ったのかを詳しく教えてくれた。
そして私に数枚、写真をくれた。
「ありがとうございます!」
「じゃあ次は高校生箕六の写真を見せて」
「もちろん!」
私は同じようにそれぞれの写真を説明した。
楽しい時間は一瞬で過ぎてしまうもので、気づいたら夜だった。
「あ、私お風呂入ってくる」
そう言ってお姉さんは部屋を出た。
うーん、と体を伸ばして横なる。
横になりながら、蔭西くんのこれまでの写真を見ていく。
「箕六。箕六くん」
恥ずかしくなって、横にある座布団で顔を覆う。
「み、みろ、…」
恥ずかしすぎて言えそうにない。
私は名前を言おうとしては恥ずかしくなり、悶える、をしばらく繰り返していた。
しかし会ってみたらすごく親しみやすくて、まるで自分に姉ができたようだった。
流石に積極的にグイグイと距離を詰めてきすぎだとは思うが。
「節約しろよ」
そう言った蔭西くんは笑顔だった。
私に向ける笑顔とはまた違う笑顔。
蔭西くんが部屋から出ていくと、姉の蔭西叶さんは私に体を寄せてきた。
「箕六のどういうところが好きなの?」
「え、えっと…」
唐突な質問に口ごもってしまう。
「その、えっと」
「うんうん」
目をキラキラとさせながら私の目を見てくる。
私はうつむいて、思い出すようにそっと目を閉じる。
「誠実、だからですかね」
「誠実…。え、それ以外は?」
「優しいが故に自分でぐちゃぐちゃ考えちゃう所とか、親身になって話を聞いてくれるところか。なんだか、こう、漠然と、『好き』って思うんですよね」
目をつぶっているおかげで多少は耐えられているが、自分でも顔が赤くなっているのがわかるくらいに顔が熱い。
蔭西くんのことを思い出してしまうせいで余計に恥ずかしくなってしまう。
「ふーん。まさか本当にあの箕六のことを好きな人がいるなんてね」
「どういうことですか?」
蔭西くんを卑下している聞こえて、私は睨んでしまう。
「父のせいで幼少期からずっと塾とか道場とかに通っていたせいで、友達付き合いは学校内だけ。それに大人になっていけばなっていくほど世の中の汚い部分に触れるでしょ?そのせいでどんどんネガティブになって暗くなっていったの。だから、今もボッチなのかなって」
蔭西くんのお姉さんの声がだんだんと小さくなっていく。
「でも帰ってみたら友達もいるみたいだし、彼女もいるし、明るいし」
何の言葉もかけてあげられない。
「もしその暗かった頃と変わらなくてもきっと私は蔭西くんが好きですよ」、とも
「そんな、お姉さんが気にすることじゃありませんよ」、とも。
「本当に箕六を好きになってくれてありがとう。私にはあの子の横にいる資格はないから」
「…どうしてですか?」
「私はあの家にいるのが嫌になって、箕六を置いて留学したの。そのせいで余計に箕六に負担をかけちゃって。ホント、お姉さん失格だよね」
会った時のテンションからは想像できないほどに、暗い話。
本人に何も思わせないために、私だけに話してくれているのだろう。
せめて、蔭西くんを支えてくれる存在に罪滅ぼしのように。
「でも、蔭西くんはすごい会えることを楽しみにしていましたよ。タクシーの中で姉との少ない思い出を楽しそうに話してくれました。だから、別に失格ってわけではないですよ。むしろ存在してくれているだけで蔭西くんの支えの一つになっているような気もします」
「そう。そんなことを話していたの…」
「それにしても似てますね」
「え!?どこが?」
驚いた声を上げて、お姉さんの目線が上がる。
「そうやってたくさんの事を考えてしまうところとか、考え方とか」
「ま、まぁ、姉弟だからね!」
このお姉さんは弟のことが大大大好きなんだろうな、と感じる。
私も負けないぐらい大好きだが、正直お姉さんとの思い出話を楽しくしているの見せられてしまうと嫉妬してしまう。
「あ、明日さ、一緒に買い物に行かない?」
思い出したようにお姉さんはそう提案してきた。
しかし私にはお金がない。
蔭西くんに迷惑をかけるわけにもいかない。
「ついてきて欲しいなぁ…」
まるで子供が親にお菓子をねだるように、言ってくる。
本当にテンションに差がある人だな、と思う。
「わかりました。こういうの初めてですし」
「ありがとう!じゃあ連絡先交換しよ?」
「あ、はい」
このハイテンションに私が押しつぶされそうになってしまう。
しかし嫌な思いはしない。
「これが、美智ちゃんの…。写真、好きなんだ」
「はい、好きです」
「…箕六の小さい頃の写真あるけど、見る?」
蔭西くんの小さい時の写真?
「見たいです!」
間髪入れずにそう答える。
「ふっふっふ」
お姉さんはバックからアルバムを出して、どこでどういうシチュエーションで撮ったのかを詳しく教えてくれた。
そして私に数枚、写真をくれた。
「ありがとうございます!」
「じゃあ次は高校生箕六の写真を見せて」
「もちろん!」
私は同じようにそれぞれの写真を説明した。
楽しい時間は一瞬で過ぎてしまうもので、気づいたら夜だった。
「あ、私お風呂入ってくる」
そう言ってお姉さんは部屋を出た。
うーん、と体を伸ばして横なる。
横になりながら、蔭西くんのこれまでの写真を見ていく。
「箕六。箕六くん」
恥ずかしくなって、横にある座布団で顔を覆う。
「み、みろ、…」
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私は名前を言おうとしては恥ずかしくなり、悶える、をしばらく繰り返していた。
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