彼女と出会ったその日から~なぜ俺は毎日写真や動画を撮られるのだろうか~

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二章

断章④

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「なんか蔭西くん思い詰めてる?みたいだったから。元気出してほしくて」
「………」

蔭西くんは何も言わずに、私を抱きしめた。

「ありがとう。ごめん」

震える声で言う。
私は慰めるようにして、蔭西くんの腰に手を回す。

「いいよ、全然」

とても暖かい。
私も泣きそうになってしまう。
なんだか胸が苦しくなる。

「本当に…。好きだよ、美智」
「好き。箕六くん」

今度は恥ずかしくなかった。
お互いに好き同士で、愛していて、名前で呼び合うのが普通だと感じた。

とてもこの空間が幸せで、好きだ。

しばらくしてから私たちは座り、夜ご飯を食べ始めた。

「すごい美味しい」
「そう?ありがと」

夢中になって食べている箕六くんを見てると、私は本当にこの人と付き合うことができて良かった、と思う。
こんなにも私の事を考えてくれて、私の欲しいものをくれて…。
それに、こんなに美味しそうに食べてくれるなんて…。

私は目に溜まった涙を拭う。

「そうだ、見る?気づいてないかもだけど私は結構箕六くんの写真撮ってるんだよ?」

箕六くんとデートした時などにたくさん撮った写真の入っている、お気に入りのカメラを手に取る。

「あ、ああ」

箕六くんは家のPCを開くと、

「せっかくだし二人でPCで見ようか」

自分の隣をポンポンとしながらそう提案してきた。

「うん!」

その中にはたくさんの表情の「蔭西箕六」が映っていた。
箕六くんとのツーショットもある、

「入学当時の箕六くんとは大違いだよねぇ」
「そうだね。ありがとう」
「こちらこそ、毎日箕六くんといれて楽しいよ」

お互いに微笑み合い、美智の撮ってくれた写真を見ていく。
授業中の俺の横顔や、ゆるんだ表情、不愉快そうな表情…。

「そうだ。今度、どこかに写真撮りにいかない?」

そう提案される。

「山でも海でも公園でも、どこか写真の撮りたいところ」
「そうだなー。ここの川、とか?」

私は写真を少し戻して、美しい風景だけがそのまま撮られている写真を拡大した。

「私がモデルになるから、箕六くん撮ってよ」
「…わかった」

初めてモデルとして撮ってもらえる。
ちゃんとした職業でプロとして活動されている方の写真を見ていると、私もこんな風に撮られたいと思ってしまう。
美しく、可憐に。

「ふああっ」

思わず欠伸が出てしまう。
すぐに手で覆うが、箕六くんにばっちり見られてしまった。

「もう寝るか」
「そうだね」

お互いに寝る準備を済ませて、私は部屋に向かう。
1人で…。

「どうかした?」
「その、えっと…」

恋人だし、これくらいいいのではないかと思う。
ただのわがままだけれど、わがままでいいじゃないか。

「一緒に寝ませんか?」

恥ずかしすぎて敬語になってしまった。

「…い、いいよ。美智がそうしたいなら」
「あ、えっと、じゃあ部屋にいるね」
「う、うん」

なんとなくぎこちなくなってしまう。
私は先に布団に入った。
ばさりと、布団を敷く音が聞こえて息が詰まりそうなぐらい緊張する。

「お、おやすみ」
「…おやすみ」

お互いに少し緊張感のある声。
なんだか急に箕六くんが愛おしくなってしまう。
横にいるのに、どこかにいってしまうような気がした。
今日の朝見た夢のせいだろうか。

「…手」

気づいたらそう言って布団から手を出していた。
箕六くんは無言でその手を握ってくれた。

私は安心して、深い眠りへと落ちた。
とてもとても幸せな気持ちのまま。
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