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三章
坂ノ宮の過去①
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坂ノ宮さんはいつも笑顔だ。
自分がどんなに不幸に落とされようとも、笑顔は崩さない。
感情がないと思わせるぐらい笑顔ばかりで他の感情を表にださない。
「坂ノ宮さんは、笑顔を崩さないよね」
「さん、はいいよ。もう結構経つんだし」
「じゃあ、坂ノ宮。なんでいつもそんなに笑顔なんだ?」
俺は昼休みにお弁当を食べながらそう聞く。
「そうだねー、なんでだろう?」
いつもこうやってお茶を濁す。
「何かあるんだったら相談してくれよ。別に俺じゃなくても皆月や美智もいるし。坂ノ宮とどういう関係かよくわからないが御崎さんもいる」
「相談ね~。まぁ、その時がきたらするよ」
いつ切り込もうか。
「恋」を題材にした話をするときはいつも会話に入ってこないうえに、どこか暗い顔をする。
俺の思い込みかもしれないが、そうでないとしたら力になってあげないと思う。
人間らしく、そう思う。
「そういえば、今日の部活は何をするんだろう」
「多分だが文化祭に向けてだと思うぞ。美智のことだからみんなで撮りたいと思ってるだろうし」
「確かに。流石だね」
「何が」
「何でもー」
坂ノ宮はたまにわからないことを言う。
なんか見据えられているというか、大人びいているというか。
「桜さんと、上手くいって良かったね」
「ありがとう。坂ノ宮はなんか、そういうのないの?」
自然に、聞く。
「ない、かな。まぁ自分の場合はなくなったの方が正しいかもしれないけど」
「それはどういう?」
「そうだな、簡単に言えば恋愛が怖いんだよね。僕は」
恋愛が怖い。
それはトラウマのせいなのだろうか。
それとも家のせいなのだろうか。
「話してくれることはできるか?それで少しでも変わるのなら」
「別にいいけど、面白くないし。なんなら結構暗い話だよ」
「構わない」
「ならいいけど」
そう言い、坂ノ宮は重たそうに口を動かす。
「話すとしたら中学校から、かな。僕には好きな人がいたんだよ。小学校から仲の良かった子なんだけど」
トーンを低くして話始める。
感情のない声が俺の耳に入ってくる。
「でも好きになった人が、そういうのをあまり良しとしなかったんだよ。なんていうか、感情を人と共有しようとしない静かな人だった。そんな性格だったからか、女子の間では気持ちが悪いだの言われていじめられていたんだよ」
「……」
思わず黙ってしまう。
なんて言えばいいかわからない。
「そこから、女子に毒されて男子も一緒になっていじめるようになって…。受験期だからストレスのはけ口にされていたんだろうね。どんどん過激になっていったんだ。で、小学校の頃はあんなに仲良かったのにだんだんと距離が離れていったんだよ」
なんだか聞いたことのある話だ、と思った。
小学校の頃は仲が良く、今は距離が離れてしまった友達。
俺はその話を知っている。
聞いてことがある
「僕はそんな女子たちを見て勝手に女という生き物が怖くなったんだよ。別に関わるのは構わないけど、自分の話をすることはないし、できない」
「そう、なのか」
「それに助けてあげられなかった自分が惨めでね。もう、ぐちゃぐちゃだよ」
あはは、と感情のない乾いた笑い声をあげて坂ノ宮は窓の外を見る。
チャイムが鳴り、先生が入ってくる。
俺は御崎さんと話をするために、こっそりとメールを打った。
自分がどんなに不幸に落とされようとも、笑顔は崩さない。
感情がないと思わせるぐらい笑顔ばかりで他の感情を表にださない。
「坂ノ宮さんは、笑顔を崩さないよね」
「さん、はいいよ。もう結構経つんだし」
「じゃあ、坂ノ宮。なんでいつもそんなに笑顔なんだ?」
俺は昼休みにお弁当を食べながらそう聞く。
「そうだねー、なんでだろう?」
いつもこうやってお茶を濁す。
「何かあるんだったら相談してくれよ。別に俺じゃなくても皆月や美智もいるし。坂ノ宮とどういう関係かよくわからないが御崎さんもいる」
「相談ね~。まぁ、その時がきたらするよ」
いつ切り込もうか。
「恋」を題材にした話をするときはいつも会話に入ってこないうえに、どこか暗い顔をする。
俺の思い込みかもしれないが、そうでないとしたら力になってあげないと思う。
人間らしく、そう思う。
「そういえば、今日の部活は何をするんだろう」
「多分だが文化祭に向けてだと思うぞ。美智のことだからみんなで撮りたいと思ってるだろうし」
「確かに。流石だね」
「何が」
「何でもー」
坂ノ宮はたまにわからないことを言う。
なんか見据えられているというか、大人びいているというか。
「桜さんと、上手くいって良かったね」
「ありがとう。坂ノ宮はなんか、そういうのないの?」
自然に、聞く。
「ない、かな。まぁ自分の場合はなくなったの方が正しいかもしれないけど」
「それはどういう?」
「そうだな、簡単に言えば恋愛が怖いんだよね。僕は」
恋愛が怖い。
それはトラウマのせいなのだろうか。
それとも家のせいなのだろうか。
「話してくれることはできるか?それで少しでも変わるのなら」
「別にいいけど、面白くないし。なんなら結構暗い話だよ」
「構わない」
「ならいいけど」
そう言い、坂ノ宮は重たそうに口を動かす。
「話すとしたら中学校から、かな。僕には好きな人がいたんだよ。小学校から仲の良かった子なんだけど」
トーンを低くして話始める。
感情のない声が俺の耳に入ってくる。
「でも好きになった人が、そういうのをあまり良しとしなかったんだよ。なんていうか、感情を人と共有しようとしない静かな人だった。そんな性格だったからか、女子の間では気持ちが悪いだの言われていじめられていたんだよ」
「……」
思わず黙ってしまう。
なんて言えばいいかわからない。
「そこから、女子に毒されて男子も一緒になっていじめるようになって…。受験期だからストレスのはけ口にされていたんだろうね。どんどん過激になっていったんだ。で、小学校の頃はあんなに仲良かったのにだんだんと距離が離れていったんだよ」
なんだか聞いたことのある話だ、と思った。
小学校の頃は仲が良く、今は距離が離れてしまった友達。
俺はその話を知っている。
聞いてことがある
「僕はそんな女子たちを見て勝手に女という生き物が怖くなったんだよ。別に関わるのは構わないけど、自分の話をすることはないし、できない」
「そう、なのか」
「それに助けてあげられなかった自分が惨めでね。もう、ぐちゃぐちゃだよ」
あはは、と感情のない乾いた笑い声をあげて坂ノ宮は窓の外を見る。
チャイムが鳴り、先生が入ってくる。
俺は御崎さんと話をするために、こっそりとメールを打った。
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