勇者失格

墨汁らぼ

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10… 売られたアスカ

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「かっ・・・ボクを買ったって、どういうことですか?」

アスカは青ざめて聞いた。

「お前の母親が、私のところに交渉に来たのだ。
世にも珍しい”人魚の村の女”。しかも”変化”したばかりの女を、高く買ってくれと。」

「・・・・そんな・・・」

そんな予感はしていた。継母に女になったことがばれて、遠くに売り飛ばされてしまう予感。

「あの・・・ごめんなさい、ボク・・・知らなくて・・・。でも、どうにか取り消すことはできませんか?!」

「取り消す?お前を買ったことをか?」
ジェイドは鼻で笑った。

「お前の母親とは契約書を交わしている。違約金として私が払ったお金の3倍、12万オーロを払えたらな。」

「12万オーロ!?」

アスカはびっくりした。12万オーロあれば、この村が人間ごと買える。
自分がその3分の1の値段を出されたということにも驚いた。

「そんなお金、ありません・・・。」
「では、あきらめろ。」

ジェイドはうつむいたアスカの顔を間近で覗き込んだ。

「美しい顔だな・・・」
「・・・」

「確かめさせてもらおう。もう私のものだ。」
「えっ・・・」

ジェイドはアスカの服をはぎ取った。
女になってしまった体があらわになる。

アスカは抵抗しようとしたが、後ろから騎士たちに掴まれているので身動きが出来ない。

隣の部屋に寝ている父親に聞こえてはいけないと、大声も出せなかった。

ジェイドはアスカの服をすべて剥ぎ取ると、体のあちこちを触り、くまなく調べる。

アスカは震えながら小声で「やめてください・・・」ということしかできなかった。

瞳からは大粒の涙が零れ落ちる。心の中で、

(レオン、助けて!レオン!)
と叫んでいた。


「やめろ!!」

扉を開けて入ってきたのは双子の兄たちだった。
急いで走って来たのか、ハアハアと息がひどく切れている。

「ドゥーガ兄さん・・・リューガ兄さん・・・」

兄の姿を見てアスカは喜んだが、2人はすぐに騎士たちによって取り押さえられた。

「母から聞いた・・・アスカを離せ!アスカを売るとかいう契約は、あの女が勝手にやったこと!」
顔に傷のあるドゥーガは暴れた。

「そうなると違約金が必要だ。払えなければ命が必要になる。」
ジェイドは冷たく言い放った。

「命?!」

「おや、契約書を最後まで見なかったのか?払えなければ、一家全員皆殺しだというところを。それに・・・私の機嫌によっては、この村をどうとでもできるということを忘れないでほしい。」


なすすべはなかった。
アスカは、青のジェイドに売られたのだ。

もう、夢も自由もアスカにはない。

双子の兄たちは悔しそうにジェイドを睨みつける。

「兄さんたち・・・。ボクのことはもういいんだ。大丈夫だから・・・心配しないで。
それより、父さんのことが心配なんだ。どうか、良いお医者さんを見つけて、治してあげて。
お願いだから父さんを見捨てないで。」

「アスカ・・・。分かった・・・すまない、ほんとうにすまない。」
と言ったのはリューガ。

ドゥーガは、自分を押さえてけていた騎士の手を振りほどき、裸のアスカに自分のマントを掛けてやった。

「父さんのことは任せろ。」とだけ言って。

アスカはその言葉に嘘はない気がしたので、心が少し軽くなった。

「では、行くぞ」
ジェイドはアスカの腕を乱暴に引っ張っる。

入口を出る時、アスカは振り向いて、

「あの、兄さん、レオンにも伝えて!今まで仲良くしてくれてありがとうって!!」

と言った。



レオンがアスカの家にやって来たのはそれから数時間後、夕方過ぎて暗くなってからだった。

双子から事の真相を聞いたレオンが、大急ぎでジェイドが滞在している屋敷に帰ろうと道を走っていた時、村の中央に大きな火柱が上がったのが見えた。
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