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不思議な壺
しおりを挟む「あっおじっそうこれほそばそどっ!!!!」
慌てすぎて、リーフの口からは意味のない言葉しか出ない。
自分をこんな目に合わせた、小さいおじさんが今ここに立っている!
逃がすもんかとばかりに、リーフは小さいおじさんを両手で引っ掴んだ。
「おっ・・おじさんのせいでひっどいめにあったんだぞーーーーーー!!」
やっとの思いでちゃんと文句を言うリーフ。
「さあ早く今すぐ直ちにぼくをもとの姿に戻してっ!元の世界に返してっ!
なんでもいいから
たすけて~~~~~~っ!」
リーフの手の中の 神様おじさんは、ぽりぽり鼻の頭を掻いた。
「なんでもいいから、か。はいはい」
「あっ・・・またそういうとこだけ叶えようとする・・・」しまったと思う間もなく、リーフが握っていた神様はツボに変わった。
そしていつの間にか神様おじさんはリーフの肩に立っている。
「それはな、すごく便利な壺じゃ。いいものが次々に出てくる魔法の壺じゃ」
「ほんとっ?!」リーフは 喜んだ。ドラえ〇んの4次元ポ〇ットあたりを想像したのだろう。
壺は30センチくらいの高さで丸っこく紫色、真ん中に真っ赤なハート模様が一つあって、見るからに怪しいが・・・。
「おまけに、ほいっ!」
小さなおじさんは、すっかり壊れかけたリーフのメガネに何か魔法をかけた。
メガネを治してくれたのかな?と思ったが、かえって視界がかすんできた。
「あれっ・・・」
もの凄い違和感を感じてメガネを取ると、なんと視界がクリアーになっている。
裸眼でここまで見えるのは数年ぶりだ。
「やった!視力を回復してくれたんだね!おじさんの魔法で初めて感謝したよ!」
「ちょっと気になる物言いだが、まあ良い。ほれほれ」
小さいおじさんは壺の方をアゴでクイクイと指した。
「あ、そうか。これこれ・・・えっとじゃあ、さっそく、元の世界に帰ることができる何かでも出そうかな~」
リーフが壺の中に手を突っ込むと
バターが出てきた。
「?ちょっと失敗?気を取り直してもう一度~」
小麦粉が出てきた。
「…もう一度・・・」
砂糖が、卵が・・・・・
「こ、これって・・・、まさか、、、、」
「そうそう、お前さんさっきお菓子が焼きたいってつぶやいてたじゃろ。この壺は焼きたいお菓子の材料が出てくる超便利な壺じゃ~~~~」
「じゃ~~~~、じゃねぇっ!!!」
リーフは思わずおじさん(神様)を殴りそうになる。おじさんはヒョイとよけた。
「最後に混ぜた材料をツボに入れると、焼きあがるんだぞい」
「ぞい」でもない。
「さあ早くつくておくれ~」
あくまでのんきな神様。
「作る…作りますから、ボクをもとの世界に返してくださいね!」
はいはい、と適当に返事するおじさん。
リーフは今出てきた材料を混ぜ始めた。
こんな状況だけど、リーフはお菓子を作っていると落ち着く。
チョコチップクッキーにしたいな、と思ったら壺からちゃんとチョコチップが出てきた。
「これはお前さん専用、お前さんしか材料を取り出せない壺なんじゃ!」威張る神様。
完成したクッキーのタネをツボに入れると、1分もたたないうちにこんがり焼けたクッキーがポンポンポーンと
飛び出してきた。
そこいらじゅうにいい香りが広がる。
神様は一つ焼きたてを空中キャッチして、美味しそうに食べた。
「やはりお前は」お菓子の天才じゃ!この壺を使いこなせるとは!」
「そ、そうかな・・・てへへ」褒められて悪い気はしないリーフ。というか、褒められることが滅多にないのでかなり嬉しい。
「じゃあ、ごちそうさま!」
神様が手を振った。
「おそまつさまでした」
手を振り返すリーフ。
「あっいやいやまてまて・・・!」
遅かった。神様は上機嫌でどこかに消え去ってしまった!
残されたのは趣味の悪い壺のみ・・・・。
「うそ~~~!」
もう、すでに夜になっていた・・・・・・・。
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