ケーキなボクの冒険

墨汁らぼ

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ララとの出会い

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また部屋に閉じ込められるリーフ。

部屋の外、城内がバタバタしているのが分かる。

「マーリン王子もスカーレットさんも随分慌てていたみたいだけど・・・。何かあったのかな?」

暇になったので唯一の遊び道具、紫の壺でお菓子を作り始める。

「ホットケーキが食べたい気分。」

とか言いつつ材料をまぜまぜ・・・。
ハチミツやバニラビーンズを混ぜてみたので辺りにはすごくいい香りが漂う。

さて、リーフ、焼き上がりを待ちながら考えた。

「ここから逃げよう」

今しかない気がする。このままここにいたら、済し崩し的に王子と結婚させられるだろう。
王子はいい人だし、嫌いじゃないけど「結婚は無理」なのだ。
なんたって中身は15歳高校生男子チェリー(くどい)なのだから!

今ならみんな忙しそうで、王子がリーフに付けると言っていた護衛さんもまだ来ないみたいである。
鉄格子のない窓は庭に面していて、外に出てしまえば何とかなる気がする。
「ホットケーキをお弁当代わりにして、行けるとこまでいってみよう!」
リーフは焼きあがったホットケーキをそのへんにあった布で包んだ。

「ララさんとやらには申し訳ないけど・・・、ボクに助けてあげる力なんてないんだ・・。
マーリン王子の呪いが解けたのだってきっと偶然だし。」

窓はあっけないほどあっさり開いた。
よっこいしょと乗り越えて外に出る。
「あーなんだか久しぶりの自由かも」

庭には幸い人影もなく、リーフは城の壁沿いを隠れるように進む。
しかし城の敷地は思ったより広く、あっさり迷子になってしまった。

あっちにうろちょろこっちにうろちょろ、ほとほと困っていると、一本の細い川が見えた。

「すごい!川まで通っているんだ!」

魚はいないか、近寄って川を覗き込むリーフ。
深さは30センチぐらい、横幅が2メートルくらいの小さな川だが、水面がキラキラしていてとてもきれいで、よく見るとメダカのような小さな魚が泳いでいる。

その魚を目で追うように川の先のほうを見ると、川の中で誰かが倒れていた。
急いで駆け寄るリーフ。「人間?!」

「だ、大丈夫?!」
倒れている人を抱き起す。

折れそうな細い手足、長くうねる銀髪、透き通るような肌、紅い唇の目を見張るほど美しい少女だった。
リーフより年下だろうか・・・。着ている白いドレスの布が薄くて、濡れているために少女のきゃしゃな体の線があらわになっている。
一瞬見惚れるリーフ。
抱き起した感触が軽い。人間を持っているのではないような・・・。まるで天使が腕の中にいるみたいだ。

天使が少し目を開けた。ヒスイ色の瞳で、ニッコリ笑う。
マーリンと同じ色。

「もしかして、ララ?」

「そう。わたしはララ。あなたは・・・・」
小鳥がさえずるような可憐な声。

「ぼ、ボクはリーフ・・・。あの、大丈夫?」

「・・・だいじょうぶ、ちょっと倒れてしまっただけなの・・・。それよりも、お願い、みんなに見つからないうちにここから連れて逃げて欲しいの・・・」


ララはすがるような瞳でリーフを見つめた。
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