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上下のない世界 1日目
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私が初めて見た色は、真っ青な空の色でした。その景色は、白黒だった私の心に確実に色をつけてくれたのです。
そして、それ以外のものも植え付けてきたのです……
「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
異界の扉から通じたそこは、空中でした。
地上が見えないほどに高度が高い。「あ、私の人生終わった」と本気で思いました。
「とまってとまってとまってーー!!!」
止まるはずがないのにそう叫ぶほどにはパニックになっていたのです。すぐに死んでしまうかもしれないと、あれほど旅立つまえに復唱したのに。
やはり人間の生存本能は恐るべきもの……
「あ…れ…?」しかし、叫んだ瞬間、ピタッと落下が止まったのです。
時が止まったのかと錯覚しました。本当に、すんっと止まったので。
全く理解できなかったので、少しだけこの世界で遊んでみることにしました。そうしないと理性が保てなくなると察したからです。
「うわぁ!空を歩ける!」
「うわぁ!自由に空気中を移動できる!」
楽しんでいるように聞こえますが、顔は引きつっています。怖いのですよ、いやまじで。
そんな探索をしてるうちに気づいたのです。この世界では、自分が上下に180度回転しても、そこまで酔わないのです。要するに、自分の足がある方に頭を、頭のある方に足を持っていってもそこまで辛くないのです。
頭に血も登らない。なんだこの世界、ただこれだけを考えながら探索を続けていました。
この世界に来たは言いものの、景色が素晴らしい以外に感想がない。本当に、ただ空中で好きに動けるだけ。それ以上でもそれ以下でもないこの世界に、はっきり申し上げますと飽きたのです。
「初の異世界なんだから、もう少しいい所でも良かったのになー」
なんて独り言を呟きながら、異界の扉があった場所へと戻りました。
異界の扉に着いた時、とても驚愕してしまいました。そこで初めて、この異世界で家を発見したのです。
なぜ気づかなかったのか疑問なほど、普通に街が成り立っていたのです。やっぱり、パニックって恐ろしい。
それに、ものすっごくおかしな所があったのです。
建物が全て、異界の扉と上下が逆でした。
放浪者は旅人の1種。旅人はよく金を落としてくれるため、商売になる。そのため、異界の扉の回りには大きな都市が成立するものです。
必ずしもそうとは言えませんが、少なくとも、異界の扉の先には放浪者を出迎えるような何かが作られている場合が多いです。
にも関わらず、ここまで放浪者に不親切な世界というのはかなり珍しいものです。
まぁ、本で得た知識だけなんですが。
気になりましたが、郷に入っては郷に従え。
体を上下逆に回転させて、まずはレストランへ。視界がぐるりとするのが少し気持ち悪い……
店へ入ってまた驚き。店の外観と内装の上下が一致していなかったのです。
屋根を上にして建物の中に入ると、机や椅子が天井にあったのです。
よく分かりませんでした。頭がこんがらがっていました。ただ、酔っただけかもしれませんが。
ちなみに本日の昼食はカレーライス。評価は星2つ。美味しかったですがスパイスで味を誤魔化しているような、食と向き合ってない雰囲気が感じられました。大きな減点です。
探索で疲れ、上下のせいでこんがらがった脳を休ませるため、この意味のわからない世界の謎は後回しにして、ホテルで休むことにします。
「お部屋の上下は如何なさいますか?」
………
もう嫌だ
そして、それ以外のものも植え付けてきたのです……
「うわぁぁぁぁぁぁぁ」
異界の扉から通じたそこは、空中でした。
地上が見えないほどに高度が高い。「あ、私の人生終わった」と本気で思いました。
「とまってとまってとまってーー!!!」
止まるはずがないのにそう叫ぶほどにはパニックになっていたのです。すぐに死んでしまうかもしれないと、あれほど旅立つまえに復唱したのに。
やはり人間の生存本能は恐るべきもの……
「あ…れ…?」しかし、叫んだ瞬間、ピタッと落下が止まったのです。
時が止まったのかと錯覚しました。本当に、すんっと止まったので。
全く理解できなかったので、少しだけこの世界で遊んでみることにしました。そうしないと理性が保てなくなると察したからです。
「うわぁ!空を歩ける!」
「うわぁ!自由に空気中を移動できる!」
楽しんでいるように聞こえますが、顔は引きつっています。怖いのですよ、いやまじで。
そんな探索をしてるうちに気づいたのです。この世界では、自分が上下に180度回転しても、そこまで酔わないのです。要するに、自分の足がある方に頭を、頭のある方に足を持っていってもそこまで辛くないのです。
頭に血も登らない。なんだこの世界、ただこれだけを考えながら探索を続けていました。
この世界に来たは言いものの、景色が素晴らしい以外に感想がない。本当に、ただ空中で好きに動けるだけ。それ以上でもそれ以下でもないこの世界に、はっきり申し上げますと飽きたのです。
「初の異世界なんだから、もう少しいい所でも良かったのになー」
なんて独り言を呟きながら、異界の扉があった場所へと戻りました。
異界の扉に着いた時、とても驚愕してしまいました。そこで初めて、この異世界で家を発見したのです。
なぜ気づかなかったのか疑問なほど、普通に街が成り立っていたのです。やっぱり、パニックって恐ろしい。
それに、ものすっごくおかしな所があったのです。
建物が全て、異界の扉と上下が逆でした。
放浪者は旅人の1種。旅人はよく金を落としてくれるため、商売になる。そのため、異界の扉の回りには大きな都市が成立するものです。
必ずしもそうとは言えませんが、少なくとも、異界の扉の先には放浪者を出迎えるような何かが作られている場合が多いです。
にも関わらず、ここまで放浪者に不親切な世界というのはかなり珍しいものです。
まぁ、本で得た知識だけなんですが。
気になりましたが、郷に入っては郷に従え。
体を上下逆に回転させて、まずはレストランへ。視界がぐるりとするのが少し気持ち悪い……
店へ入ってまた驚き。店の外観と内装の上下が一致していなかったのです。
屋根を上にして建物の中に入ると、机や椅子が天井にあったのです。
よく分かりませんでした。頭がこんがらがっていました。ただ、酔っただけかもしれませんが。
ちなみに本日の昼食はカレーライス。評価は星2つ。美味しかったですがスパイスで味を誤魔化しているような、食と向き合ってない雰囲気が感じられました。大きな減点です。
探索で疲れ、上下のせいでこんがらがった脳を休ませるため、この意味のわからない世界の謎は後回しにして、ホテルで休むことにします。
「お部屋の上下は如何なさいますか?」
………
もう嫌だ
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