オーブ・シークレット

大地ノコ

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金充編

死の幸福

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「お前、本当にわかっていないなぁ。死っていうものが」
『なにがだ?死が幸福であるということがか?それはないな』
「やっぱシークレットだ…話通じねぇ。いいか!よく聞け!
 俺は死というものは人間に必要なものだと思うんだ。『死』それ自体が幸福だとはさらっさら思わねぇ。ただ、死には幸福があると思う。何かあったとき、この先が不安になったとき、現状に本当に絶望したとき。そんなとき、『いつか死ぬから大丈夫』。そう思えることが本当の死の幸せだ!この先絶対死ねない未来なんて想像もしたくないね!」
「いつか…死ねるから…」
「だからさ…おれぁまだ!死ねねぇんだよ!!!!!!!行くぜ翔也さん!!!!!!!!金充さん!!!!!!!!」
「わかった。鎌の援護は任せて」
『無駄というのに。我に攻撃する手段など、ないのだ』
「そうだな!でもよぉ、俺は翔也さんのおかげでよぉ…」

 そういいながら手を目一杯に開き、リーパーに向かって突き進む。「グェはハハは!!!!」
 リーパーは鎌を振りまわすが、「ヒット、ヒット」金充さんの援護もあって、そのまま足にエンジンを生成してより勢いよく、リーパーを突き抜ける。
『何をやっているというのだ?我に触れたところで無駄なのだよ』
「本当にそうか?今一度自分の体を見てみろよ?」
『そんなわけがない。我に何か起こるはずがない』
「そのまんまだと本当に消えちまうぜ?」
『消える?そんなわけがない。我に何か起こるはずがない』
「だめだ、シークレットが話せてるだけでも凄いんだ。会話通じる訳ねぇか。じゃぁそのまま消えてろ」
『どういうことだ?我に何か起こるはずがな…は?我の体が、透けて………』
「気づくのが遅かったな、もうお前は詰んでんだよ」
「本当にあなたは馬鹿なんですね」
『な、なぜだ!我に、人間の攻撃が効くはずが!』

 翔也さんを取り込んだときに新しく手に入った能力、「ソウルイート」。すべての魂を持ち主の「素体」から取り出すことができ、更にそのまま自分に取り込んだり、逆に外界に投げ出すこともできる。

「おまえの魂を一部だけ抜き取ったんだよ。どうだ?人間に殺される気分は?」
『なぜだ!?なぜだ!?我は!我はぁぁぁぁ!!!!』
「まぁ、もう二度と来んなよ」
「あなたは消えるべきですよ」
『嫌だ!嫌だァァァァァァァ!!!!!』

「あの…照黄さん…死ってなんなんでしょうね?」
「わかんねぇな。俺はシークレットと戦って、翔也さんと一緒に死ぬかもしれねぇし、金充さんと一緒に死ぬかもしれねぇ」
「そうですよね…」
「でもさ、少なくとも、生きてる人には絶対に死っていうのが付き纏うし、それは俺らだけじゃない。単に、俺らの死因がこれになるかもってだけだ。それはそれで、『生きてる』ってことじゃないか?」
「…………実は、まだ自殺しよっかなって思ってたんですよ。でも…照黄さん…あなたのお陰で、救われたんです。ありがとうございます…」
「え、あ、あぁ…。今度は、俺が、人を、救ったのか…?」
「それじゃ、とりあえず銃の手入れしないとですね」
「俺もオーブの整理しなきゃな」
「お互い頑張りましょう!」「そうだな」
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