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本編
第2話 兵器の義務の話
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口がヒリヒリする。
謎のパウダーのイガイガが残る。オイルにも喉が焼けるそうな程の味が付いていた。これを毎日食べないといけないのは、想像を絶する苦痛だった。少なくとも、朝飯で一日の生活が決まる友樹にとっては。
今日友樹は、皇帝からの招集を喰らっていた。理由は、人間兵器として、絶対に守るべきことをみっちり叩き込むためらしい。
なんとなく友樹は、自分の身体能力の上がり具合を確かめるために、走って皇居へと向かっていくことにした。ちなみに友樹の家から皇居までは普通に走って30分位。結構遠い。
少し速めに走ってみた。
凄かった。速かったし、体力が全然減らなかった。ここまで変わるとは思わなかった。流石の人間兵器だ。
皇居までは約10分程で着いた。
部屋には、大きな机が1つ置かれ、そこにキトランス皇帝が座っていた。
座っていたのは皇帝だけではなかった。知らない人が何百人も座っていた。しかも、友樹が席についたあとも、何人か部屋に入ってきた。戦争っていうのは、こんなに人員が必要なものなのか。などと思いながら、何かが始まるのを待った。
ついに、皇帝が口を開いた。
「お集まりいただき感謝する。ここには人間兵器が集っているかと思うが、そんな人間兵器の義務についての講義、及び実践演習をこれから開始する。なお、実践演習にて、優秀な成績を収めたもののみ一度、自宅に戻ることを許可する。戦争が始まるまでに、成績を収められなければ処分することとする。理解できただろうか?」
わかるかよ。なんだよ最後の一文。処分?確かに敵が俺らを拾う可能性を考えたらそれが一番かもしれないが、俺らも好きでここに来てるわけじゃないんだぞ!
とも、皇帝相手に言えないので、しぶしぶ頷く。
まず、伝えきれていなかったという、人間兵器として働いた者への報酬の話からだった。
報酬は2つ。1つは、賠償金の5割を人間兵器で分け合うことが許されているらしい。ただ、人数が人数ということで、額に期待はできないだろう。しかし、もう一つの報酬には期待できそうだった。
第2貴族への配置だ。
第2貴族とは、ここで言う自衛隊だ。国を守るために働き続けるもののことだ。しかし、自衛隊と違うことは扱いの良さだ。第2貴族は、時期や仕事の難易度によっては、皇帝よりも給料が高くなることがある、カチュカン帝国民誰もが憧れる職業だ。
そんなの、嬉しくないわけがない!なぜなら、第2貴族には、人数制限があるのだ。そんな頻繁に面接が行われないこともあり、少し部屋がざわついた。人間兵器になれてよかった、とか言うやつもいた。
こっからの義務の話を聴いて、これでも報酬が少なすぎることに気づくまでは。
義務には色々ある。
怪我しただけでは撤退は許されない。気絶するまでは無傷だと思え、とか言う頭おかしい理論を聞いた。
相手を殺すことを躊躇するな、相手は人だと思うな、とか言うこともいわれた。
正直言って、泣きそうになった。こんな生活が始まるのかと、何なら吹っ切れもした。途中からは意識がない。義務だけ覚えてるけど、周りの反応なんか気にしてられなかった。
講義は終了した。やっと終わった、と思ったのも束の間、演習のために、グループが作られ、それぞれ部屋へと案内された。
グループが作られると、気まずい雰囲気を耐える必要があった。義務の1つ、「人と話していいのは、戦略を考えるとき、戦況報告のとき、話すよう言われたとき、この3つのときだけ。」の通り。
入るとそこには各国からやってきた死刑囚と、電気椅子が1つ置かれていた。
「死刑を執行しろ」
恐ろしい話だ。こんな試験が何十個位あるのか?と、言うことを考えていた。死刑囚のことは考えないようにした。辛くなるだけだから。そう自分に言い聞かせた。
電気椅子の作動レバーを前にすると、謎の緊張が襲ってくる。
何を躊躇している?戦場では、善人も殺すんだ。極悪人を殺す位、簡単じゃないか。
レバーに手をかけた。ゆっくりと手に力がかかっていくのが分かる。死刑囚のうめき声と、レバーが下がっていく音だけが部屋に響いた。
最後まで降ろしきったあとは、電気椅子をとても見ることはできなかった。自分が殺した、というだけでこれほどまでに人間は気分が悪くなるのか。
なんと、そのテストではグループで一番の成績を取ることができた。ただ、その成績というものも、気持ち悪くなっていた。死というもので得点をつけていいのか?などといった考えが頭をよぎった。吐きそうになった。というか、もう少し口が開いていたら漏れていただろう。
他のテストも順調に進んでいき、一周目で合格をもらい、帰宅を許可された。
気持ち悪い。家でどんだけ休んでも一生この心が癒えぬことはないだろう。それなのに、このあと、人間兵器として戦うなど、ありえない話だ。
しかし、せっかく帰ってきたのだから、早く寝るようにしよう。考えるのは起きてからだ。そう独り言をつぶやき、寝室へと潜った。
一ヶ月ぶりのベットだった。
謎のパウダーのイガイガが残る。オイルにも喉が焼けるそうな程の味が付いていた。これを毎日食べないといけないのは、想像を絶する苦痛だった。少なくとも、朝飯で一日の生活が決まる友樹にとっては。
今日友樹は、皇帝からの招集を喰らっていた。理由は、人間兵器として、絶対に守るべきことをみっちり叩き込むためらしい。
なんとなく友樹は、自分の身体能力の上がり具合を確かめるために、走って皇居へと向かっていくことにした。ちなみに友樹の家から皇居までは普通に走って30分位。結構遠い。
少し速めに走ってみた。
凄かった。速かったし、体力が全然減らなかった。ここまで変わるとは思わなかった。流石の人間兵器だ。
皇居までは約10分程で着いた。
部屋には、大きな机が1つ置かれ、そこにキトランス皇帝が座っていた。
座っていたのは皇帝だけではなかった。知らない人が何百人も座っていた。しかも、友樹が席についたあとも、何人か部屋に入ってきた。戦争っていうのは、こんなに人員が必要なものなのか。などと思いながら、何かが始まるのを待った。
ついに、皇帝が口を開いた。
「お集まりいただき感謝する。ここには人間兵器が集っているかと思うが、そんな人間兵器の義務についての講義、及び実践演習をこれから開始する。なお、実践演習にて、優秀な成績を収めたもののみ一度、自宅に戻ることを許可する。戦争が始まるまでに、成績を収められなければ処分することとする。理解できただろうか?」
わかるかよ。なんだよ最後の一文。処分?確かに敵が俺らを拾う可能性を考えたらそれが一番かもしれないが、俺らも好きでここに来てるわけじゃないんだぞ!
とも、皇帝相手に言えないので、しぶしぶ頷く。
まず、伝えきれていなかったという、人間兵器として働いた者への報酬の話からだった。
報酬は2つ。1つは、賠償金の5割を人間兵器で分け合うことが許されているらしい。ただ、人数が人数ということで、額に期待はできないだろう。しかし、もう一つの報酬には期待できそうだった。
第2貴族への配置だ。
第2貴族とは、ここで言う自衛隊だ。国を守るために働き続けるもののことだ。しかし、自衛隊と違うことは扱いの良さだ。第2貴族は、時期や仕事の難易度によっては、皇帝よりも給料が高くなることがある、カチュカン帝国民誰もが憧れる職業だ。
そんなの、嬉しくないわけがない!なぜなら、第2貴族には、人数制限があるのだ。そんな頻繁に面接が行われないこともあり、少し部屋がざわついた。人間兵器になれてよかった、とか言うやつもいた。
こっからの義務の話を聴いて、これでも報酬が少なすぎることに気づくまでは。
義務には色々ある。
怪我しただけでは撤退は許されない。気絶するまでは無傷だと思え、とか言う頭おかしい理論を聞いた。
相手を殺すことを躊躇するな、相手は人だと思うな、とか言うこともいわれた。
正直言って、泣きそうになった。こんな生活が始まるのかと、何なら吹っ切れもした。途中からは意識がない。義務だけ覚えてるけど、周りの反応なんか気にしてられなかった。
講義は終了した。やっと終わった、と思ったのも束の間、演習のために、グループが作られ、それぞれ部屋へと案内された。
グループが作られると、気まずい雰囲気を耐える必要があった。義務の1つ、「人と話していいのは、戦略を考えるとき、戦況報告のとき、話すよう言われたとき、この3つのときだけ。」の通り。
入るとそこには各国からやってきた死刑囚と、電気椅子が1つ置かれていた。
「死刑を執行しろ」
恐ろしい話だ。こんな試験が何十個位あるのか?と、言うことを考えていた。死刑囚のことは考えないようにした。辛くなるだけだから。そう自分に言い聞かせた。
電気椅子の作動レバーを前にすると、謎の緊張が襲ってくる。
何を躊躇している?戦場では、善人も殺すんだ。極悪人を殺す位、簡単じゃないか。
レバーに手をかけた。ゆっくりと手に力がかかっていくのが分かる。死刑囚のうめき声と、レバーが下がっていく音だけが部屋に響いた。
最後まで降ろしきったあとは、電気椅子をとても見ることはできなかった。自分が殺した、というだけでこれほどまでに人間は気分が悪くなるのか。
なんと、そのテストではグループで一番の成績を取ることができた。ただ、その成績というものも、気持ち悪くなっていた。死というもので得点をつけていいのか?などといった考えが頭をよぎった。吐きそうになった。というか、もう少し口が開いていたら漏れていただろう。
他のテストも順調に進んでいき、一周目で合格をもらい、帰宅を許可された。
気持ち悪い。家でどんだけ休んでも一生この心が癒えぬことはないだろう。それなのに、このあと、人間兵器として戦うなど、ありえない話だ。
しかし、せっかく帰ってきたのだから、早く寝るようにしよう。考えるのは起きてからだ。そう独り言をつぶやき、寝室へと潜った。
一ヶ月ぶりのベットだった。
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