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本編
第5話 奴隷の話
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カチュカン・ブリス戦争、通称「奴隷戦争」が始まった。
始まってしまった。正確にはまだ移動中なのだが、友樹からすれば、もう戦争が始まったのと同じなのだ。
戦争なんてしないほうがいいと、改めて思っていた友樹だった。
戦場についた。友樹は震えた。戦争の恐怖ではない。奴隷の住む街のおぞましさに震えたのだ。ここで人間が暮らしているなんて信じられなかった。
家は崩壊が始まり、何なら一階しか残ってないのもある。道端にゴミが落ちてるのは当たり前、血や、動物の死骸、何なら、人の死体まで。しかも、腹減りからか少し人の歯型がついている。
異臭によって、体調を崩した奴もいた。俺も少し吐いた。この地獄みてぇな環境で、なおかつ仕事の量が半端ない。それでいて、貴族は素晴らしい環境でタダ飯食ってる。
友樹は、始めて戦争に力を入れる決意をした。
「こんな国、ぶっ潰してやる」
それは他の奴らも同じようで、人間兵器の指揮をも務めているステル隊長が少しニヤけたのもわかった。
ふいに、友樹はある違和感を感じた。人の死体は何十人分見てきたが、生きてる奴をまだ見てない。
いくら人が死にまくると言っても、ブリエシタンの奴隷の数は想像を絶すると聞いた。すぐに消えるようなわけがない。
誰かにこのことを伝えたかったが、義務に違反する可能性があったため、モヤモヤとして心にとじこめることにした。
貴族の住む街までの道のりでも、恐ろしいものが見れた。仕事場だ。
人間兵器が隠れてないか探すため、全員で突撃したが、最後には皆、精神的に疲れ切っていた。
ここもまた、人の血や死体はあった。しかし、さらに恐ろしいものを見てしまったのだ。
臓器だけ抜き取るための部屋だ。
高齢者になり、仕事をしても稼げなくなると、最終手段として、臓器を抜き取り売って、最後の最後まで、奴隷を使った金儲けをするための部屋だ。と、日記で書いてあった。
やっぱりこの国はクソだ。反吐が出る。
やっと貴族街へついた。戦争が始まっているため、少し殺風景だったが、それでも凄く素敵で美しく、これが奴隷の上で成り立っていることを考えると、全て破壊してやりたくなるような、そんな街だった。
そして、人間兵器が見付からない。それどころか、人間が誰一人として見付からない。これは何か裏がある。
ステル隊長も流石に、
「これから作戦会議を始める」
と、した。
普通、この世界線での戦争は、正面から正々堂々と戦うもので、卑怯な手はあまり使わない。なぜなら、すべての国は、自国の技術に誇りを持っているからだ。
しかし、ここはブリエシタンだ。そんな常識、あんなクソ貴族たちが守るはずもない。現に、隠れているのか違うのか。少なくとも正々堂々とは戦おうとしてない。
話し合ったが、手がかりが一ミリも見つからなかったため、そのまま城へ向かうことになった。城を占領すれば、とりあえず、戦争には勝てるだろうという話からだ。そして、我らカチュカン軍は、貴族街を堂々と歩いていった。
城について、誰もいなかった理由がわかった。城門を、奴隷と思わしき人物が全力で守っていた、、、とはいっても、もちろん乗り気ではなさそう。
当たり前だ。ただでさえ、裕福ではなくてもなにげに楽しいカチュカンでも、人間兵器になるのは嫌だった。それが、自分たちを利用しまくるだけの国となると、嫌になるに決まってる。
しかし、これは逆にチャンスかもしれない。俺はステル隊長に、あることを耳打ちした。
始まってしまった。正確にはまだ移動中なのだが、友樹からすれば、もう戦争が始まったのと同じなのだ。
戦争なんてしないほうがいいと、改めて思っていた友樹だった。
戦場についた。友樹は震えた。戦争の恐怖ではない。奴隷の住む街のおぞましさに震えたのだ。ここで人間が暮らしているなんて信じられなかった。
家は崩壊が始まり、何なら一階しか残ってないのもある。道端にゴミが落ちてるのは当たり前、血や、動物の死骸、何なら、人の死体まで。しかも、腹減りからか少し人の歯型がついている。
異臭によって、体調を崩した奴もいた。俺も少し吐いた。この地獄みてぇな環境で、なおかつ仕事の量が半端ない。それでいて、貴族は素晴らしい環境でタダ飯食ってる。
友樹は、始めて戦争に力を入れる決意をした。
「こんな国、ぶっ潰してやる」
それは他の奴らも同じようで、人間兵器の指揮をも務めているステル隊長が少しニヤけたのもわかった。
ふいに、友樹はある違和感を感じた。人の死体は何十人分見てきたが、生きてる奴をまだ見てない。
いくら人が死にまくると言っても、ブリエシタンの奴隷の数は想像を絶すると聞いた。すぐに消えるようなわけがない。
誰かにこのことを伝えたかったが、義務に違反する可能性があったため、モヤモヤとして心にとじこめることにした。
貴族の住む街までの道のりでも、恐ろしいものが見れた。仕事場だ。
人間兵器が隠れてないか探すため、全員で突撃したが、最後には皆、精神的に疲れ切っていた。
ここもまた、人の血や死体はあった。しかし、さらに恐ろしいものを見てしまったのだ。
臓器だけ抜き取るための部屋だ。
高齢者になり、仕事をしても稼げなくなると、最終手段として、臓器を抜き取り売って、最後の最後まで、奴隷を使った金儲けをするための部屋だ。と、日記で書いてあった。
やっぱりこの国はクソだ。反吐が出る。
やっと貴族街へついた。戦争が始まっているため、少し殺風景だったが、それでも凄く素敵で美しく、これが奴隷の上で成り立っていることを考えると、全て破壊してやりたくなるような、そんな街だった。
そして、人間兵器が見付からない。それどころか、人間が誰一人として見付からない。これは何か裏がある。
ステル隊長も流石に、
「これから作戦会議を始める」
と、した。
普通、この世界線での戦争は、正面から正々堂々と戦うもので、卑怯な手はあまり使わない。なぜなら、すべての国は、自国の技術に誇りを持っているからだ。
しかし、ここはブリエシタンだ。そんな常識、あんなクソ貴族たちが守るはずもない。現に、隠れているのか違うのか。少なくとも正々堂々とは戦おうとしてない。
話し合ったが、手がかりが一ミリも見つからなかったため、そのまま城へ向かうことになった。城を占領すれば、とりあえず、戦争には勝てるだろうという話からだ。そして、我らカチュカン軍は、貴族街を堂々と歩いていった。
城について、誰もいなかった理由がわかった。城門を、奴隷と思わしき人物が全力で守っていた、、、とはいっても、もちろん乗り気ではなさそう。
当たり前だ。ただでさえ、裕福ではなくてもなにげに楽しいカチュカンでも、人間兵器になるのは嫌だった。それが、自分たちを利用しまくるだけの国となると、嫌になるに決まってる。
しかし、これは逆にチャンスかもしれない。俺はステル隊長に、あることを耳打ちした。
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