【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@

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第一章 原作前

第5話 二人の秘密

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「リズ、その言い方だと、ストレージを使うと魔力が減るように聞こえるんだけど」

「当たり前ですわ。誰にでも使える生活魔法ですが、魔法は魔法ですもの、使えば使うだけ減りますわよ」

「う~ん。俺のストレージだけど、減らないんだよな」

「おかしいですわね。魔力の回復が凄く早い人もいると聞きますが、減らないということは聞いたことありませんわよ」

「そうなんだ。他のも試さなきゃわからないけど、ストレージはステータスを見ながら試したから減らないのは確かだと思うんだけどな」

「……そう言えばあなた鑑定も持っていましたものね。羨ましいですわ、ですが鑑定のスキルも持っていますのに、なぜクリーク家はあなたをないがしろに、って、武術系のスキルがありませんでしたものね……」

「剣術は今日覚えたけどね。あ、剣術はリズもだよ」

「…………」

 パクパクと金魚のように口を開け閉めするリズ。

「リズ? なにかおかしなこと言ったかな? 剣術も生活魔法と一緒で誰でも覚えられるんだろ?」

 リズはパクパクを止め、こめかみを押さえて苦いものを口に入れたような顔になる。そして、キッと俺を睨み付けてきた。

「そんなことありませんわ! 生活魔法! ですわ! 剣術、槍術、杖術、盾術はもちろん、属性魔法は生まれもっての才能が無ければ五歳の洗礼で発現するしかありませんの!」

 胸ぐらを付かんで前後に俺を揺らしながらそう言うけど……。

「いや、でも、な、リズ。実際、に、覚え、て、るぞ?」

「それがおかしいと言ってますの! 剣術を覚えた? ドライもわたくしも?」

 胸ぐらからは手を離してくれたが、ふるふると横に首を振ったかと思えば、深く息を吸うリズ。

 これ、大声だしそうだよね……。

「あ り え ま せ ん わ!」

 と、やっぱり大きな声で否定した。

 でもそこまでなのか? だが実際にステータスと鑑定で、スキルが増えているのは事実だ。

 ステータスをリズにも見せられるといいんだけど、なにか実感できる――あ、あれだ。

「リズ、リズは感じなかった? 木剣で修行しているときに突然剣を振りやすくなったり」

 俺はハッキリとわかった。ほぼ確定であの時剣術を覚えたんだと。

 だったら最後の方で、連擊をしたあたりで動きの変わっていたリズも感じているはず。

「……うっ。あ、ありましたわね」

 スッと目をそらすリズ。横顔も、幼さは仕方がないとして、美人の片鱗が見てとれる。

「たぶんそれ、連擊を出したときくらいだよね?」

「う、うん。その通りですわ」

「それに聖魔法だって、もとは無かったんだろ?」

「……五歳の洗礼でも無かったですわ。……そうでしたわね、先に疑問に思わなくてはいけなかった聖魔法。お母様を治してさしあげるための魔法。その嬉しさに忘れていましたわ」

「だからさ。剣だけじゃなくて、槍や、さっきリズが言ってた杖も盾も、ついでに弓ももしかしたら才能が覚醒するかもしれないじゃないか」

「……まったくその通りですわ。前例がどうとか関係ありませんものね」

「そうだよ。リズはお母様を治したいし、強くなれば守ることだってできる」

「そうですわ」

「俺も強くなりたいんだ。自分のためにも……リズを守れるように」

「ドライ……わかりましたわ。強くなりますわよ。わたくしもドライとお母様をお守りいたしますから――」

「ああ。誰が敵にまわろうが、リズには髪の毛一筋さえ触れさせないくらい強くなるよ」

「ふふ。聞きましたからね」

 ゾク――なにか蛇に睨まれたカエルの心境なんだけど、目の前には満面の笑みを浮かべるリズしかいない。

 あたりを見渡してみても、人影すら見当たらなかった。

 気のせいか。というか、それよりステータスだよな。どうにかしてお互いに見れたり自分で確認できればいいんだけど……。

「ねえリズ。ステータスって唱えてみてくれない?」

「何を言ってますの? そのスキルは神官様がお使いになるスキルですわよ? わたくしが『ステータス』と、唱え………………なぜですの!」

 うん。見れたようだ。

「どう? 剣術あるでしょ?」

「……なぜ、ですの……突然現れましたわ……どういうことですの……」

 神官がって言ってるということは、普通は見れないってことか?

「聖魔法も……ドライ、この事は誰にも言わないことにした方が良いと思いますの」

「どうして?」

「わたくしもドライも、まわりの者にないがしろにされています。わよね?」

 俺としては実際に経験はないが、あのメイドの態度を見ると、そうなんだと認識するしかない。

 最初に会ったメイドと、食事を持ってきたメイドは、水を持ってきてくれたメイドとは少し態度が違う気もするけど……。

「そうだね」

「でしたらこの力が知れ渡りますと、確実に利用するとは思いませんか?」

 いきなり力を持つことに成功した、虐げていたものたちを、もろ手をあげて歓迎したりは……想像ができないな。

 無能で使うこともできなかった駒が便利に使えるようになるんだ。使わない手はない。

「……なるだろうな。というか、今まで以上に苦労しそうだぞ」

「その通りですわね。ですから私たち二人の秘密にしますの。心苦しいですが、わたくしはお母様にも黙っておきますわよ? 強くなるまでは、ですが」

「それが良いな。うん、聖魔法でお母さんの病気が治せるようになるまでは黙っていた方が良いと思うがどうだ?」

「賛成ですわ。あ、あとは学園に上がるまでが最長としておきましょう」

 お互いにうなずき合い、その後も当面の予定と目標を決めていたのだが、誰かと言うか、兄たちが来たようだ。
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