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第一章 原作前
第23話 思わぬところで
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「あれ? 討伐済みか? すまない、扉がしまっていたから」
閉めてあった扉が開き始め緊張が高まる。
みんなが身構えたところで、部屋に入ってきた四人組の冒険者から発せられた言葉で緊張が和らいだ。
モンスターハウスに挑戦しに来た人たち……でも警戒はしておこう。
「うむ。いましがた倒し終わったところでな、しばらくは待たねばならんが場所はゆずっても良いぞ」
「いや、俺たちも帰る前にちょっと寄っただけだからな、終わったあとなら諦めるよ。邪魔して悪かったな」
そういってあっさりと扉を閉めて去っていった。
「邪魔が入ったが……ミラ、どうであるか?」
「離れていっておりますので、先程言ったとおり、たまたま寄っただけと言うとは本当のことのようです」
「うむ。では先程の続きであるが、父上が私を暗殺させるように依頼書を兄上の名で書き、兄上がその依頼書を暗殺者へ渡したことになるのだな」
「ややこしいけど、そうとしか考えられないよ。だとするなら、バレたときアイン兄さんに罪を着せようってことだよね」
「そのようでございます。ですので早急に確認すべきことは、アイン様が洗脳されているのかどうか」
「そうですわね。そこがわかれば……あれ? だとすると……あの、ツヴァイ様は暗殺されかけたところを、撃退した。ですわよね?」
「うむ。エリザベス嬢。ミラがやったことではあるが、そのとおりである」
「でしたら、その、お屋敷には帰れないのでは?」
「……あっ! そうだよ! 暗殺されかけたんだったらツヴァイ兄さんはお屋敷に帰れないじゃん!」
「うぬっ! た、確かにそうである! こ、困ったのだ」
「そ、そうでした……なぜそんな簡単なことを気づかなかったのでしょう……」
二人ともそこに気づいてなかったのか……。顔を見合わせなんとも言えない表情をしてる。
そうなんだよな、失敗したとはいえ、暗殺を企てた犯人がいる家には帰れない。……ん? 失敗した?
「そうだ! 失敗してるじゃないか! 失敗したってことを知らせる人もいない!」
「……ふむ。そのとおりであるな。そして……依頼書には期限が十日後であるからまだ帰れる猶予はありそうだ」
十日か、それまでにアイン兄さんが洗脳されているかどうか調べて、なんとか正気に戻せれば、なんとか……ならないか?
アイン兄さんが正気に戻ったとしても、誰が洗脳したのか分からないと、またかけられるかもしれない。
ほぼ間違いなく父親が犯人だ。だけど洗脳か。いや、ミステリーだと、その父親も洗脳されている可能性も捨てちゃ駄目だよな。
どちらにしても順番的にはアイン兄さんの様子を見ないことには先には進めなさそうだ。だったら――
「ツヴァイ兄さん、明日、アイン兄さんを連れて行動できますか?」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
『あら? また来たの』
狩猟小屋の切り株広場には、イスがいた。当然切り株の一つに覆い被さりジワジワと溶かしながらだ。
「おはようイス。今日もいるんだ」
「ごきげんようイス様。いい天気ですわね」
『おはよう、もちろんいるわよ。切り株を食べるには最高の天気……あれ? ドライ、言ってたわよね? ここの切り株は全部食べてもいいって? だ、駄目だった?』
覆い被さっていた切り株から身体を持ち上げてる。
「いや、食べてもいいんだけどね、ゆっくり食べるんだなって思ってね」
「ですわね。見たところ一昨日から無くなった切り株が二つ。今が三個目ですから一日一株ですの?」
『よ、よかったぁー。切り株はそのとおりよ。ゆっくり楽しみながらいただいてるの。ところで今日はダンジョンに行かないの?』
まだツヴァイ兄さんが来るまで時間があるので、なぜここに来たのかイスにも話しておく。
兄さんたちが来たらまた隠れてもらわないと駄目だろうし、慌てさせることもないからな。
『人間っていつまでたってもめんどうなことやってるのね。でも洗脳ね~そんなの鑑定すれば状態異常で出ちゃうから一目瞭然なのに』
「え? 鑑定でわかる……あっ、そういえば俺も『微毒』って状態異常が出てたよ! そうか鑑定すればいいのか!」
「でもドライ、その状態異常がわかったとして、どうやって洗脳を治せるのでしょうか」
そうなんだよな。ツヴァイ兄さんはミラのおかげと言ってたけど、なぜ治ったかわかってないんだよな。
『そんなのリズもドライも持ってる浄化をかければ一発じゃない。洗脳は一種の呪いのようなものだしね。聖属性魔法は貴重だから中々いないけど、ここに二人もいるんだから余裕でしょ』
「……そ、そうなんだ。浄化で治せるんだ」
「答えがこんなに近くにあるなんて驚きですわ」
『それに聖属性魔法を持ってると洗脳は効かないし。だから難しく考えなくても大丈夫なんじゃない?』
「え? 洗脳もきかないですの!」
あ……そうか、リズが聖騎士となって、王女の付きになることにも繋がっているのかもしれない。
王族が、それも王様に直接会えるような王女や王子、側近たちが洗脳とかされたら、暗殺とかもやりたい放題だ。
そこへ聖属性魔法に覚醒したリズと知り合い、友達になって側近に抜擢されたんだもんな。
……いや、知り合わなくても持っているとわかれば、俺が王様ならなんとしても大切な娘のために側に起きたくなるか。
と、いうことは、俺もリズも洗脳は警戒しなくても大丈夫ってことだ。
『だからこれから来るっていう……なんだっけ、アイン? ソイツを浄化しちゃえば問題解決ね』
うん。解決しちゃいそうだ……。
閉めてあった扉が開き始め緊張が高まる。
みんなが身構えたところで、部屋に入ってきた四人組の冒険者から発せられた言葉で緊張が和らいだ。
モンスターハウスに挑戦しに来た人たち……でも警戒はしておこう。
「うむ。いましがた倒し終わったところでな、しばらくは待たねばならんが場所はゆずっても良いぞ」
「いや、俺たちも帰る前にちょっと寄っただけだからな、終わったあとなら諦めるよ。邪魔して悪かったな」
そういってあっさりと扉を閉めて去っていった。
「邪魔が入ったが……ミラ、どうであるか?」
「離れていっておりますので、先程言ったとおり、たまたま寄っただけと言うとは本当のことのようです」
「うむ。では先程の続きであるが、父上が私を暗殺させるように依頼書を兄上の名で書き、兄上がその依頼書を暗殺者へ渡したことになるのだな」
「ややこしいけど、そうとしか考えられないよ。だとするなら、バレたときアイン兄さんに罪を着せようってことだよね」
「そのようでございます。ですので早急に確認すべきことは、アイン様が洗脳されているのかどうか」
「そうですわね。そこがわかれば……あれ? だとすると……あの、ツヴァイ様は暗殺されかけたところを、撃退した。ですわよね?」
「うむ。エリザベス嬢。ミラがやったことではあるが、そのとおりである」
「でしたら、その、お屋敷には帰れないのでは?」
「……あっ! そうだよ! 暗殺されかけたんだったらツヴァイ兄さんはお屋敷に帰れないじゃん!」
「うぬっ! た、確かにそうである! こ、困ったのだ」
「そ、そうでした……なぜそんな簡単なことを気づかなかったのでしょう……」
二人ともそこに気づいてなかったのか……。顔を見合わせなんとも言えない表情をしてる。
そうなんだよな、失敗したとはいえ、暗殺を企てた犯人がいる家には帰れない。……ん? 失敗した?
「そうだ! 失敗してるじゃないか! 失敗したってことを知らせる人もいない!」
「……ふむ。そのとおりであるな。そして……依頼書には期限が十日後であるからまだ帰れる猶予はありそうだ」
十日か、それまでにアイン兄さんが洗脳されているかどうか調べて、なんとか正気に戻せれば、なんとか……ならないか?
アイン兄さんが正気に戻ったとしても、誰が洗脳したのか分からないと、またかけられるかもしれない。
ほぼ間違いなく父親が犯人だ。だけど洗脳か。いや、ミステリーだと、その父親も洗脳されている可能性も捨てちゃ駄目だよな。
どちらにしても順番的にはアイン兄さんの様子を見ないことには先には進めなさそうだ。だったら――
「ツヴァイ兄さん、明日、アイン兄さんを連れて行動できますか?」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
『あら? また来たの』
狩猟小屋の切り株広場には、イスがいた。当然切り株の一つに覆い被さりジワジワと溶かしながらだ。
「おはようイス。今日もいるんだ」
「ごきげんようイス様。いい天気ですわね」
『おはよう、もちろんいるわよ。切り株を食べるには最高の天気……あれ? ドライ、言ってたわよね? ここの切り株は全部食べてもいいって? だ、駄目だった?』
覆い被さっていた切り株から身体を持ち上げてる。
「いや、食べてもいいんだけどね、ゆっくり食べるんだなって思ってね」
「ですわね。見たところ一昨日から無くなった切り株が二つ。今が三個目ですから一日一株ですの?」
『よ、よかったぁー。切り株はそのとおりよ。ゆっくり楽しみながらいただいてるの。ところで今日はダンジョンに行かないの?』
まだツヴァイ兄さんが来るまで時間があるので、なぜここに来たのかイスにも話しておく。
兄さんたちが来たらまた隠れてもらわないと駄目だろうし、慌てさせることもないからな。
『人間っていつまでたってもめんどうなことやってるのね。でも洗脳ね~そんなの鑑定すれば状態異常で出ちゃうから一目瞭然なのに』
「え? 鑑定でわかる……あっ、そういえば俺も『微毒』って状態異常が出てたよ! そうか鑑定すればいいのか!」
「でもドライ、その状態異常がわかったとして、どうやって洗脳を治せるのでしょうか」
そうなんだよな。ツヴァイ兄さんはミラのおかげと言ってたけど、なぜ治ったかわかってないんだよな。
『そんなのリズもドライも持ってる浄化をかければ一発じゃない。洗脳は一種の呪いのようなものだしね。聖属性魔法は貴重だから中々いないけど、ここに二人もいるんだから余裕でしょ』
「……そ、そうなんだ。浄化で治せるんだ」
「答えがこんなに近くにあるなんて驚きですわ」
『それに聖属性魔法を持ってると洗脳は効かないし。だから難しく考えなくても大丈夫なんじゃない?』
「え? 洗脳もきかないですの!」
あ……そうか、リズが聖騎士となって、王女の付きになることにも繋がっているのかもしれない。
王族が、それも王様に直接会えるような王女や王子、側近たちが洗脳とかされたら、暗殺とかもやりたい放題だ。
そこへ聖属性魔法に覚醒したリズと知り合い、友達になって側近に抜擢されたんだもんな。
……いや、知り合わなくても持っているとわかれば、俺が王様ならなんとしても大切な娘のために側に起きたくなるか。
と、いうことは、俺もリズも洗脳は警戒しなくても大丈夫ってことだ。
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うん。解決しちゃいそうだ……。
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