【死に役転生】悪役貴族の冤罪処刑エンドは嫌なので、ストーリーが始まる前に鍛えまくったら、やりすぎたようです。

いな@

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第一章 原作前

第46話 教会前の騒ぎを納めよう

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 孤児院の子供たちは凄かった。鑑定でわかっていた子はもちろんなんだけど、スキルがなかった子たちまでポンポンと剣術や槍術、生活魔法を覚え始めたのだ。

 その現象は俺とリズのことを『師匠』と呼び始めてからなんだよな。おかしいなと思っていたら超越者の仕業のようだ。

 これまではパーティー内に限定されている思っていたけど、弟子にも超越者の恩恵を与えていたらしい。

 なんにせよ、覚えられるのは悪いことじゃないからいいことにした。

 それに生活魔法のストレージは、普段の生活でも、ダンジョン探索でもすごく役に立つ。

 そこでみんなには石でもいいから出し入れして鍛えるように言っておいた。

 俺は魔力の減りが最初からないみたいだけど、普通なら持っている魔力の多さで容量が決まる。その魔力を増やすために使いまくるといいのだ。

 午後の三時間ほど教えたあと、剣や槍に見立てた木の棒を持つ弟子たちに見送られながら、俺たちは城に……教会に寄ることにした。

 教会は冒険者ギルドの近くにあることが多い。逆か? 教会があるから近くに冒険者ギルドがある。まあそれは回復魔法目当てだろうけどね。

「ここですわね? 人だかりができていますけど、何かあったのかしら?」

「浄化ポーション、って聞こえるね、熱病じゃないかもしれないけど病気の人の家族かな」

「ドライ、もう少し近づいてみましょう」

「うん」

 何気ないふりをして教会へ少し近づき、騒ぎの人垣に加わると、はっきりと言い争いの内容が聞こえてきた。

「――金は後から払うって言ってるだろ! だからポーションを売ってくれ!」

「困ります。浄化ポーションは教会でも数少ない聖魔法を使えるものが不休で作っているものですが、日に作れる本数はそう多くないのです」

「多くないってことはあるんだろ!」

「ありますが、それはすでにお金を支払ってくれた方々のものです。現在もその材料が不足しておりまして、その方たちにも待ってもらっています。ですからお金をお持ちいただき、お待ちしてもらうしかないのです」

 うん。言ってることは凄く当然のことだ。材料、低級の回復ポーションはポートマンさんが断っていたからな、手に入れるとすれば他の街から持ってこなきゃ駄目だし。

「くそ! どうすりゃいいんだよ! 家族が熱で今このときも苦しんでるって言うのに!」

 この場ではなにもできないのが悔しい。浄化ポーションの作成をもっと急がなきゃ駄目だ。

『リズ、教会本体の呪いの触媒を見つけて浄化したらすぐに帰ってポーション作りをしよう』

『ですわね。この方にはあと少し我慢してもらうか……私たちが行って浄化するか……ですわよね』

『行く、のはできれば止めておきたいな……そうだ、低級ポーションは売ってないのかな?』

『低級ポーションでしたら冒険者ギルドか、ポートマンさんが売りに出してるお店でしょうか? あとは、そこの冒険者向けの武具が売ってるお店でもあると思いますわよ』

 教会の隣にギルドも冒険者向けの店がある。なら話は早い。

 さっそく二本の低級ポーションを購入して教会前に戻ると、よかった、まだもめてる。

 こっそり手の中のポーションを浄化して浄化ポーションに変えてストレージにしまっておく。

『行こうか』

『行きましょう』

 さっさと人だかりを避けて教会に入り、呪いの触媒を探すけど、当然のことながらアザゼルの石像がそれだった。

 ここもやはり小さな子供には届かない位置にある。元々の作りや様式がそうなんだと思うけど、その点だけは良かったな。

 そうじゃなきゃ孤児院の子供たちは全員呪われていただろうし。

 さっさと石像に触れ、お祈りのふりをしながら浄化してしまう。それを見ていた教会の人が近づいてきたけどさっさと出てしまうことにした。

 今はポーションも買ったし金欠なんです。寄付は違うところの浄化しに行く時に持っていくから許してね。

 あ、許してもらわなくてもいいのか? ……いいな。うん、次からは寄付は止めておこう。

 教会から出て、騒ぎの中心に進み、人垣を越えたところで必死な顔のおじさんに声をかけた。

「あの、ポーションが必要なんですか?」

「なんだ!? 今は子供の相手をしている場合じゃないんだ! なんとしてでも浄化ポーションを持って帰らないと嫁と腹の子が死んじまうんだよ!」

 妊娠中の奥さんがいたのか……それならここまで必死になるのも無理はないと思う。

「あの、俺たちは冒険者で、ダンジョンで見つけたポーションならありますけど」

 浄化ポーションはダンジョンで手に入れたことにしておく。自分たちの見た目が完全に冒険者の格好だから怪しまれることはないだろう。

「なに! ほ、本当か! 頼む! 金なら絶対に後から払う! どうか譲ってくれないか!」

「わかりました。じゃあさっそく奥さんのところに行きましょう」

「あ、ああ、ありがとう! こっちだ、ついてきてくれ、すぐそこだから!」

 チッ――

 ついてきていた教会の人の舌打ちしたのを聞いた。まあ良いけどね。寄付はもうしませんので。

 孤児院になら多少はしてもいいけどね。

 何度も俺たちがついてきているか確かめながら足早に進むこと数分で男の人の家に到着した。
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