魔王とスライム悠々自適スローライフ

いな@

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第1章

第3話 召喚されたらスライムなんだけど! ①

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「成功したぞ! おい! 王様に報告せよ! 勇者召喚が成功したと! 急ぐのだ!」

「はっ! ただちに!」

 ん? んん? 落ちたと思ったけど、大丈夫そう? 誰か喋ってるみたいだし、えっと、石畳で石の壁、石の天井ときて目の前に何か……猫柄おぱんちゅ?

 ……マジで誰この子、そんなにおっぴろげちゃ駄目だよ、とりあえずスカートを引っ張って……あれ? 手が……あ、ああああああああー!

 手を伸ばしたはずなのに、手じゃないじゃないか!

 視界には半透明の突起のような何かが見えた。

 え? まさか!? マジ? マジなの!?

 おいロリっ子! ってかそれどころじゃない! まわりは――うわっ、見たことある学生服だらけじゃん! いったい何人いるの!?

 ってか、人数もそうだけど見たことある顔なのに、獣耳っ子君や、髭もじゃゴツゴツ筋肉のおじさん……誰だコイツ? それに耳がとんがった絶世の美少女……俺はメニュー画面にあった通りスライムって事じゃ。

 あたりを見渡していると、さっきまで聞いていた懐かしくもない声が聞こえてきた。

『うんうん。無事にみんな到着したみたいだね~』

 あっ! その声はロリっ子! どうしてくれんだよ! 俺スライムになっちゃってるじゃん!

『え? 僕の声が聞こえてる?』

 聞こえてるよ! それよりどういう事だよ! 普通は召喚されたらちやほやされて、王様に魔王を倒して欲しいとか言われて訓練が始まったりするんじゃないのか!

『ん~、本当に聞こえてるみたいだね、どこで繋がったのかな……まっ、良いか』

 良くなーい! スライムなんだぞ!

『ああ、それは他のみんなには数個、言語理解と望んだスキルを一つ二つ付けただけなんだ。でも東雲友里君にはいっぱい付けたからさ、スライムとかドラゴンくらいしか体が持たないし、ヒト形のままじゃ召喚された瞬間にパーンって弾けてたはずだよ』

 え? どういう事?

『それはね、あっ、部屋を移動するみたいだよ、隠れておかなきゃプチって、スライムなら……潰れる事はないけど~、そうだね、例えるなら元の世界の扱いだから気をつけてね』

 へえ、スライムは扱いなんだぁ……うおいっ! 新聞紙や雑誌でパーンって叩かれてプチってされちゃうじゃん!

『あははは♪ 大丈夫、この世界の紙は高級品だからそんな事にはならないよ』

 そういう問題じゃない! 害虫と一緒の扱いだからヤヴァイんだろ! ってロリっ子に文句も言いたいけど今は隠れなきゃ。

 えっと、どうやって動けば……こ、こうかな?

 ハイハイする気持ちで前に進むと――おお! 動ける! とりあえず、あそこの木箱の影に! うりゃりゃりゃ!

『あははは♪ 速い速い♪ ほらほら見付かるよ~、また暇な時に見に来るから頑張ってね~』

 木箱の影に到着した俺は、ロリっ子の遠ざかる声に向かって――。

 もっとちゃんと説明してから行けやぁぁぁぁぁー!

 心の声を張り上げた後、現状の把握をしなきゃと木箱の影からだけど、そ~っと様子を覗いてみる――おい、やっぱりクラスメイトじゃん……クラス召喚なのか?

 おっさんが説明していたけどもう終わったみたいで、誰も文句も言わず、魔法使いみたいな黒いローブを着た爺ちゃんに続いて、銀色の鎧を着たおっさん達にまわりを囲まれながら部屋を出ていく。

 おかしくない? 普通は騒ぐよね? 騒がなくてもこの状況で大人しくしてるし、内容は分からないが、中には笑って雑談してる子もいるし……まさかロリっ子にこうなる事を聞いてたとか?

 最後の鎧のおっさんが出ていった後――。

 ヤヴァイ! 扉を閉められる!

 俺は木箱の影から飛び出し、閉まり出した扉に向かってダッシュ!

 だけど目の前で、ってか目があるかどうかは分かんないけど、ガシャンと扉が閉まってしまった……。

 のおぉぉぉぉぉぉー! 閉じ込められちゃったじゃん!

 くそっ、どこか別の出口はないのか……。

 まわりを見渡してみると、この部屋は窓もない。
 目に入るのは磨かれた石造りの部屋、その中央に祭壇みたいなのと、俺が隠れた木箱には何か剣が沢山突き刺さってる。
 そして壁には色んな美人さんの芸術的すぽぽんの絵が等間隔で飾られてあり、一つだけ絵じゃなく、金ピカで縁取ふちどられた鏡があるだけ……。

 ん~と、深呼吸……息してないみたいだけどとりあえずなぜか落ち着いた。

 落ち着いたついでにふと目線の低さに気付いたんだけどさ、みんなが歩いて出ていった扉なんだけど……デカくない? そ~れ~で~、俺の目線は高層ビルを見上げてる気分なんだよだよね~。

 ちっこくない俺? 何か大きさを測れるような物は······おっ、誰かの靴が片方落ちてるね、あれなら――。

 ――ぽよよよんと床を滑るように誰かの靴に近付く。
 そして目の前には父ちゃん自慢のワンボックスカーほどの靴がドンと鎮座している。

 待て待て! とりあえずこれはハイカットスニーカーだよね!? ならば横は大きくても三十センチほどでしょ!

 ……た、高さは十センチくらいかな?

 この靴が、巨人が履いていたハイカットスニーカーではないとするならば、俺の大きさは十センチあるかなしか……。

 ちいせえよ! ちんまりしてるよ! ソフトボールよりちょっとデカいくらいしかないじゃん!
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