俺は神剣に選ばれ最強になる! 封印されてたツンデレ悪魔を引き連れ修行旅~ところで外れスキルの『努力』ってどういう事だよ!~【俺と悪魔】

いな@

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第一章

第35話 潜入成功

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 ギルマスと衛兵長がリチウムを捕らえる準備をするため、それぞれギルドと詰所に分かれ、ギルマスは単身で、衛兵は黒ずくめ達を連れて出ていった。

 見送った後、俺は装備を整え管理監邸に向かう。

「本当に良いのかプリム。一応こないだまで住んでたんだろ?」

 プリムは俺の横で力強く頷く。

 頷いたまま自分の手のひらを見て、そしてギュッと握りしめ、俺の方を見上げた。

「もちろんですよ! 悪い事はしちゃ駄目ってお母さんから教わりましたから」

 やる気満々の顔だが、力強く見開いていた目が急に弱々しく、泣きそうな顔に変わる。

「突然何も言わずに居なくなっちゃいましたけど、それでも、教わった事は失くしたくありませんから」

「おう。その通りだな。まあ俺は父ちゃんも母ちゃんも知らねえからよ、クソ爺から教わった中で良いものだけはちゃんと守るぜ」

 プリムの手を取り、そこそこ夜も遅い時間なのに行き交う者達。ぶつかりそうになる人達を避け、手を引きながら大通りの端から管理監邸の裏手に続く路地裏に入り、そんな話をしていた。

「ねえねえ、ちゃんと聞いてなかったけど、拷問部屋があるんでしょ?」

路地裏に入り、アンラがそんな事を聞いてきた。

そういやギルマスが売りに出したのってそうだよな。

「私は入った事はないですけど、地下にあるそうです、管理監邸に勤めていて悪さをした人を捕まえておくって言ってたよ」

それぜってえ悪い事にも使ってるだろうな。

「じゃあ、その人達は良い人の可能性があるわよね」

 アンラはそんな事を言いながらまた両手にモヤモヤを鷲掴みにして何匹も捕まえている。

 そして掴みきれなくなると切り裂いて浄化。

 そして路地裏から大きな通りに出た。

 アンラはまた、管理監邸に向かいながらモヤモヤを見付け、行き交う人達を避けながら走りより捕まえてる。

 暇があればあれやってるな、まあ良いけどよ。

(やっぱりまだ本調子じゃないわね、ケントの魔力だけじゃ、本気出したらすぐに魔力が枯渇しちゃうわ。魔物達とコイツらからだけでも魔力吸収で、吸い取っておかなきゃね)

一瞬アンラの顔がくもった気がしたんだが気のせいか、滅茶苦茶楽しそうに次のレイスを捕まえに走ってる。

 ちと気になるがそれより地下に捕まっている奴の中には、本当に悪い奴もいるかもしんねえからな、判別はギルマスや衛兵長に任せるしかねえか。

「おう、アンラの言う通りだな、これは助けるしかねえ。っと言ってる間にこの壁がそうだろ?」

「はい。こっちです。少し行くと木の陰で見えませんが、こっそり出入りできる扉があるんです」

 俺の前に小走りで出て、手を引き壁際に生えている木の裏にまわる。

 そこには大人なら腰を屈めないと通ることは無理な小さな扉があった。

「鍵がかかっているのですが、ここを――っ!」

(あ~面倒だし、プリムのいた部屋まで飛じゃうよ~、ほいっと、もひとつ、ぴょ~ん!)

 プリムが扉の取手に触ろうとしていたのに俺達の真後ろに来ていたアンラは俺とプリムの襟首を掴んで塀に飛び乗り――っ!

「「ぬおっ!きゃ!」」

(喋らないでね~、見付かっちゃうよ~。っとお――――は~い到着! 窓開けてくれる?)

 塀の上から一気に屋敷の屋根の上に到着した……。

 お前な! いまプリムが潜入のために扉を開けようとしてだろ!

 プリムは声を出さないように左手で口を押さえながらプルプル震える手で屋根裏部屋に入る窓を引き開けた。

(えへへ~、そうだけどさ~、あそこ見てよ、ちょうど通っていくところじゃん)

 浮いてるアンラに掴まれたままぷら~んとぶら下がってる俺達は、首をひねり、俺達が入ろうとしていた扉前を通る見廻りだろう兵士の姿が見えた。

 あのままプリムが扉を開け、中に入っていたなら見付かっていただろうな。

「マジかよ、ありがとうなアンラ。それとすまねえ、悪かったな」

「あ、危なかったです。巡回の事を完全に忘れてました」

「ぬふふふ。感謝したまえよ! んじゃ入っちゃおう」

 ぷら~んとされたまま屋根裏部屋に入った。

 部屋の中は聞いてた通り、本棚と寝台が一つしかない、その本棚に俺達をおろしたアンラはとととっと走りより『本棚ごともらって良いよね?』と言う······。

 俺も近寄って見てみたがボロボロで傾きかけの本棚に、背表紙も革がひび割れ、触るとポロポロと破片が落ちるような古い物がほとんどだ、こんだけボロボロなら良いとしか言えねえ気がする。

 プリムに聞くと、この屋敷の図書室の棚に入らない物が置かれてるそうだし、重要な物じゃねえって事だ。

 それを聞いたアンラは嬉々として本を収納してしまった。

「よし、二階からやっつけて、最後は地下だな、ってかよ、この屋敷って人少なくねえか?」

 覚醒してるから気配を感じる力があるんだが、一階に数人。二階に二人だ。

 そのかわり地下に数十人の気配がある。

『おそらく地下以外はメイドや屋敷に雇われた者達だけと推測されます。それに、二階一番奥の部屋から移動している二人が今ここにいる者で一番強いかと』

「そいつらのどっちかがリチウムってことか?」

「たぶんそれであってます。二階はほとんど人を入れないので、もう一人は家令さんかな」

 夜は特にそうだと言う。気配を探るとどこかの部屋に入って動かなくなったから俺達はとりあえず屋根裏から二階に降りることにした。

「夜は梯子が外されて下りれなかったのです。まあ、普段からほとんど下りてくるなと言われていたのですけどね」

 二階に下りるための床板をずらして開く。

 二階でも離れたところに二人の気配があるから開いた時のギギギって音も聞こえてないだろ。

(じゃあ大人しくしててね、ぴょ~ん♪)

 今度はアンラを真ん中に手を繋ぎ、ふわりと少し浮き上がって、足元に開いた穴からす~っと、浮遊感があるまま簡単に下りる事ができた。

「すごいです、私の背の高さの五倍くらいはあるのに」

(あまり大きな声は出さない方がいいよ~。気付いてはいないようだけどね~)

「そうだな。奴らは動かないみたいだから先に下をやっちまうか」

 繋いでいた手を離し、二人のいる部屋に向かう。

 赤い絨毯が敷かれた通路を慎重に進み、角を曲がった先にある扉の中に二人はいるようだ。
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