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第一章
第40話 護衛依頼
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正門にぞろぞろと引き連れながら向かっていると、門番と衛兵長、ギルマスが揉めている声が聞こえてきた。
「駄目だ! リチウム男爵様の許しがなければお通しできません!」
おうおう、外に集中していてこっちには気付いてないようだな。
「さらに夜です、来られた事はリチウム男爵様にお伝えしておきます、明日の朝においで下さい」
四人の門番は侵入させねえように槍を横に寝かせ、門番の詰所からも四人の交代要員が顔を覗かせ様子を伺っている。
だが、ギルマス達が俺達に気付いたようだ。
「あれはケントとプリムじゃないか、アイツらまたやりやがったのか? だがあの後ろの者達は知らないな……ん?」
「ははは、立つ瀬がなさそうですね。ですが……いやギルマス、あの者達、どこかで見たような」
「なっ! プリム、入っては駄目だと言っていただろ! 早く出なさい!」
ギルマス達の動きで見つかったようだが、残りはコイツらくらいか?
『正門はそのようですね、裏門にも同数がいるようですが、どうしますか?』
見回りと門番で三十人ほどしかいないんだな。屋敷を守るにしては思ったより少ないが……。
よし、面倒だが眠らすのが一番簡単だな、だがアンラはまだ――っ!
(私が眠らせてこようか?)
言ってる側からアンラは俺の横にトスっと着地してきた。
「それに後ろの奴らは誰だ! すぐに敷地内から出ていくのだ!」
詰所にいた四人が俺達に慌てて詰めより、敷地から出るように、武器は手に持っていないが追いたててきやがる。
だがアンラはするするっと俺の横から離れ、門番達が持っていた魔道具を、今度はそっと八人分気付かれないように取ってしまうと『眠り』をかけ、眠らせてしまった。
「おっ、また無詠唱の眠りだな、それも八人同時か」
「君達が出てきたという事はもしかして……」
あきれ顔のギルマスに俺達の後ろからついてくる八人を見ている。
「おう、ここの地下に捕まってた人達だな、後は裏門に八人門番がいるはずだ。まあ、コイツらが暗殺ギルドかどうか分かんねえけどな」
「ああ、それは後で調べるから大丈夫だ」
俺は門にたどり着き、閂を外しながらどうなったか話しておく。
ギィと音を立て鉄格子の門が開き、まずは衛兵長に女達を任せる。
その後ゾロソロと敷地に入ってくる衛兵達と冒険者達は、二頭引きの荷台に倒れている門番達を乗せていく。
「はぁ、ケント、俺達の仕事は積んでいくだけか? 暗殺ギルドだったんだろ? これでも対人に強い者達を連れてきたんだが……」
荷台に積まれていく者達を俺の隣で見つめながらボソっとギルマスが頭をかきながら聞いてくる。
「おう。その通りだ、リチウムがギルマスで、壁を壊して下りた地下室の一番奥にサブマスがいたぞ」
「リチウム街の暗殺ギルドのギルマスにサブマスまで生け捕りか……」
頭をかいていた手を顎に下ろし、無精髭をチャリチャリと音を立てて撫でながら俺の耳に口を寄せてきた。
「おいケント、村に帰るんだったな、村行きの商隊なんか車列の護衛依頼を請けていけ」
俺にしか聞こえねえ小さい声でボソっとそんな事を言ってきた。
どういう事だ? あっ、ランクアップのやつか!
「構わねえぞ、その商隊はいつ出るんだ? まさか何日も後って事はないだろうな」
俺も声をおとし、積み終わった者達が屋敷に進んでいくのを見ながら聞くと。
「明日の朝だ、別のパーティーもいるがそこに入ってもらおうか」
「俺は構わねえが、そのパーティーは嫌がらねえのか? 取り分減るんだろ?」
村に行く馬車ならそんな多くねえはずだから、一つのパーティーで良いはずだしよ、護衛が増えるだけ依頼報酬をふやすわけねえ。
なら一人がもらえる報酬が減るだけだもんな。
「その通りだが、まあ、任せておけ、今回はいつもの小さい商隊じゃないからな」
ニヤリと笑うギルマスは、俺達に早く宿に帰り、明日の朝一番に冒険者ギルドに来いと言って、裏門の方へ冒険者を連れて走っていった。
助けた八人は、衛兵が二人付き、衛兵の詰所に案内していった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「護衛依頼を請けたケントだ、こっちは――」
「プ、プリムです、よろしくお願いします」
昨晩はリチウムのお屋敷から帰った後、流石に疲れたのかすぐに寝てしまった。
まあアンラは酒飲んで本を読んでたみたいだが朝、明るくなる前に起こしてくれた。
まだ薄暗い内に冒険者ギルドに行き、依頼を登録した後、門前に急ぎ護衛する商隊のところまで来た。
その中で、ちょうど積み荷のロープの緩みがないかや、車輪、車軸の点検を指示していたおっさんに、俺はこの商隊のリーダーと目星をつけて挨拶した。
「おお、間に合ったようで良かったです、私はこの商隊のリーダーでカルパと言います。今日からしばらくよろしくお願いしますね」
「カルパさんだな、よろしく頼むぜ。それから一緒に護衛をしていくパーティーは? 見あたらねえんだが寝坊か?」
ここにあるのは馬車五台の商隊だ、三パーティーで護衛のはずなんだが……。
「あはは、開門までには来るでしょう、ケント君にプリムちゃんですね、冒険者ギルドから聞いています」
ん? なに聞いてんだ?
ニコニコと俺達の顔を見ながら納得顔で頷いている。
「ケント君は先日のスタンピードでもっとも活躍したと聞いておりますよ、プリムちゃんも街壁で衛兵達と魔法で応戦していたと。いやはや洗礼を受けて間もないと言うのに素晴らしい」
握手を求めてくるおっさん……その後も根掘り葉掘り聞いてきたがよ、門番が出てきたぜ? 護衛が揃ってねえんだが大丈夫なんか?
「駄目だ! リチウム男爵様の許しがなければお通しできません!」
おうおう、外に集中していてこっちには気付いてないようだな。
「さらに夜です、来られた事はリチウム男爵様にお伝えしておきます、明日の朝においで下さい」
四人の門番は侵入させねえように槍を横に寝かせ、門番の詰所からも四人の交代要員が顔を覗かせ様子を伺っている。
だが、ギルマス達が俺達に気付いたようだ。
「あれはケントとプリムじゃないか、アイツらまたやりやがったのか? だがあの後ろの者達は知らないな……ん?」
「ははは、立つ瀬がなさそうですね。ですが……いやギルマス、あの者達、どこかで見たような」
「なっ! プリム、入っては駄目だと言っていただろ! 早く出なさい!」
ギルマス達の動きで見つかったようだが、残りはコイツらくらいか?
『正門はそのようですね、裏門にも同数がいるようですが、どうしますか?』
見回りと門番で三十人ほどしかいないんだな。屋敷を守るにしては思ったより少ないが……。
よし、面倒だが眠らすのが一番簡単だな、だがアンラはまだ――っ!
(私が眠らせてこようか?)
言ってる側からアンラは俺の横にトスっと着地してきた。
「それに後ろの奴らは誰だ! すぐに敷地内から出ていくのだ!」
詰所にいた四人が俺達に慌てて詰めより、敷地から出るように、武器は手に持っていないが追いたててきやがる。
だがアンラはするするっと俺の横から離れ、門番達が持っていた魔道具を、今度はそっと八人分気付かれないように取ってしまうと『眠り』をかけ、眠らせてしまった。
「おっ、また無詠唱の眠りだな、それも八人同時か」
「君達が出てきたという事はもしかして……」
あきれ顔のギルマスに俺達の後ろからついてくる八人を見ている。
「おう、ここの地下に捕まってた人達だな、後は裏門に八人門番がいるはずだ。まあ、コイツらが暗殺ギルドかどうか分かんねえけどな」
「ああ、それは後で調べるから大丈夫だ」
俺は門にたどり着き、閂を外しながらどうなったか話しておく。
ギィと音を立て鉄格子の門が開き、まずは衛兵長に女達を任せる。
その後ゾロソロと敷地に入ってくる衛兵達と冒険者達は、二頭引きの荷台に倒れている門番達を乗せていく。
「はぁ、ケント、俺達の仕事は積んでいくだけか? 暗殺ギルドだったんだろ? これでも対人に強い者達を連れてきたんだが……」
荷台に積まれていく者達を俺の隣で見つめながらボソっとギルマスが頭をかきながら聞いてくる。
「おう。その通りだ、リチウムがギルマスで、壁を壊して下りた地下室の一番奥にサブマスがいたぞ」
「リチウム街の暗殺ギルドのギルマスにサブマスまで生け捕りか……」
頭をかいていた手を顎に下ろし、無精髭をチャリチャリと音を立てて撫でながら俺の耳に口を寄せてきた。
「おいケント、村に帰るんだったな、村行きの商隊なんか車列の護衛依頼を請けていけ」
俺にしか聞こえねえ小さい声でボソっとそんな事を言ってきた。
どういう事だ? あっ、ランクアップのやつか!
「構わねえぞ、その商隊はいつ出るんだ? まさか何日も後って事はないだろうな」
俺も声をおとし、積み終わった者達が屋敷に進んでいくのを見ながら聞くと。
「明日の朝だ、別のパーティーもいるがそこに入ってもらおうか」
「俺は構わねえが、そのパーティーは嫌がらねえのか? 取り分減るんだろ?」
村に行く馬車ならそんな多くねえはずだから、一つのパーティーで良いはずだしよ、護衛が増えるだけ依頼報酬をふやすわけねえ。
なら一人がもらえる報酬が減るだけだもんな。
「その通りだが、まあ、任せておけ、今回はいつもの小さい商隊じゃないからな」
ニヤリと笑うギルマスは、俺達に早く宿に帰り、明日の朝一番に冒険者ギルドに来いと言って、裏門の方へ冒険者を連れて走っていった。
助けた八人は、衛兵が二人付き、衛兵の詰所に案内していった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「護衛依頼を請けたケントだ、こっちは――」
「プ、プリムです、よろしくお願いします」
昨晩はリチウムのお屋敷から帰った後、流石に疲れたのかすぐに寝てしまった。
まあアンラは酒飲んで本を読んでたみたいだが朝、明るくなる前に起こしてくれた。
まだ薄暗い内に冒険者ギルドに行き、依頼を登録した後、門前に急ぎ護衛する商隊のところまで来た。
その中で、ちょうど積み荷のロープの緩みがないかや、車輪、車軸の点検を指示していたおっさんに、俺はこの商隊のリーダーと目星をつけて挨拶した。
「おお、間に合ったようで良かったです、私はこの商隊のリーダーでカルパと言います。今日からしばらくよろしくお願いしますね」
「カルパさんだな、よろしく頼むぜ。それから一緒に護衛をしていくパーティーは? 見あたらねえんだが寝坊か?」
ここにあるのは馬車五台の商隊だ、三パーティーで護衛のはずなんだが……。
「あはは、開門までには来るでしょう、ケント君にプリムちゃんですね、冒険者ギルドから聞いています」
ん? なに聞いてんだ?
ニコニコと俺達の顔を見ながら納得顔で頷いている。
「ケント君は先日のスタンピードでもっとも活躍したと聞いておりますよ、プリムちゃんも街壁で衛兵達と魔法で応戦していたと。いやはや洗礼を受けて間もないと言うのに素晴らしい」
握手を求めてくるおっさん……その後も根掘り葉掘り聞いてきたがよ、門番が出てきたぜ? 護衛が揃ってねえんだが大丈夫なんか?
応援ありがとうございます!
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