【完結】無自覚最強の僕は異世界でテンプレに憧れる

いな@

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第一章

第18話 合流

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 ステファニーさんがティの寝る場所を確認したいとの事で、今日は、僕達だけしかいない夜営地の馬車にご案内。

 ささっと二つのベッドをくっ付けて、一つのベッドにして、セッティングです。

 張り切って、看護婦さんがやってくれていた様にベッドメイキングまでやってしまいました。

 ですが、それを見たステファニーさんは困惑した顔で馬車内を見渡しこんな事を言い始めました。

「あの、お嬢様、ベッドが一つしかありませんが、どういう事でしょうか?」

「何がですの? 一つではありませんわよ二つ置いてくっ付けているだけですわ、皆で寝るのですもの」

 うんうん、元々僕のベッドと同じものが作れるかと思って作った物だけど、馬車内はそれ以上置くことは出来ないでしょうね、半分のベッドがあれば大丈夫ですが。

「あの、お二人は同じ馬車の中でご一緒に寝られる事は、あっ、そうですよね、夜警がありますからね、あはは、私とした事がそんな事も見落としてしまうとは、あははは」

「一緒に寝てますわよ? ステファニー、何かいけませんか?」

 目を見開き、口も開いて物凄く驚いたかと思ったら、今度は難しい顔になってます。

「こ、これは、由々しき事態、すぐに連絡を!」

 ステファニーさんは先ほどの魔道具を出して、魔力を込めた。

「「あっ!あっ!」」

 ぼすんっ

 ベッドに気絶して倒れ込んでしまいました。

「うふふふ、ステファニーったら、魔力切れ寸前と言ってましたのに」

「気絶してしまったね、鎧のままだと眠りにくいし、収納! よし、あっ、でも汗かいているよね、一回全部収納! ティ、僕のパンツと、確かお母さんに作りかけて断念した服が、ほいっと!」

「まあ♪ ワーンピースですわね」

「うん、これならステファニーさんでも着れるよね」

 ムルムルに体の汚れを取って貰い、パンツを履かせ、ワンピースを着せて、ベッドにきちんと寝かせて、僕達もパジャマに着替えます。

「ステファニーのおっぱい大きいですわね、ぷにぷにですわ♪ ムルムルさんです♪」

 ステファニーさんのおっぱいの両方を両手でぷにぷにしている。

「ほんとうだ! ムルムルみたい♪ でも家の母さんも大きかったよ」

 ステファニーさんのおっぱいをぷにぷに。

「私のお母様もですわ、でも、大きいと肩が痛くなるそうです、私はそこそこで良いですわ」

「あははは、その悩みは男だと無いからね、一応前に捕まった失敗を活かして馬車と馬さんの周りに魔力で誰かが近付いても分かるようにしたから、軽めに晩ごはん食べて、僕達も寝ようか」

「はい」

 食事、サンドイッチがあったのでそれを食べて、今日は真ん中にティを挟んで、川の字です。




 ピクッ

 何か侵入したようだね。

 そ~っと、二人を起こさないようにして、ベッドを抜けようとしましたが、ティが僕を抱き枕にしていました、そ~っと起こさずに腕を解き、足をほどき、なんとか抜けました。

 パジャマを収納し、装備を整え、天井からそ~っと馬車の屋根に出ます。

 這うような低い姿勢のまま、辺りを見渡すと、また盗賊でしょうか? 十数名、二十名程いるでしょうか、馬を木に繋ぎ、こちらの、僕達の馬車の方を見ているようです。

 あっ! もしかして、ティのお迎えの方達でしょうか!

 ん~、聞くにしたって、違ったらがここにいるって知らせてしまうことになりますし、困りましたね。

 そして馬車に近付いてきました。

「静かに、お嬢様はまだ寝ているはずです、私達はこの馬車の近くに待機、朝起きてくるのを待ちます」

「「はっはっ」」

 お迎えの人の様ですね、はぁぁ、安心したら眠く······。

 ピクッ

 おおっ! 屋根の上で寝てました! ってか今度は違いますね、魔物が近付いてきます、オークの様ですね、三方向から。

「魔物が来ます! オークですよ! 街道側から十! 左の森から七! 馬さんに向かってくるのが十五! 街道側と馬さんは僕が! 左の森からの七匹お願いします!」

「何! 全員戦闘準備! 馬車に近付けるな!」

「「はっ!はっ!」」

 まず最初に出てきた街道側を、ウインドニードルです。

 馬さんの方近付きながら十匹を倒してしまう、すぐさま収納し騒ぎ出す馬さんの前に立ち塞がり、十五匹を一気にニードルで倒して収納ます。

 兵士さん達の方は、苦戦しているようで、馬車を守る陣形がじりじりと下がってきています。

 オークリーダーの七匹に何やってるのですか!

「危ないですよまったく、ほいっと!」

 ウインドニードルを飛ばし、眉間を撃ち抜き収納しました。

「お疲れ様です、魔法で遠距離から倒さないと怪我をしますよ」

「た、助かりました、攻撃魔法を使える者がおりませんので、見事な魔法でございますね」

 おっと、使えない方達だったのですね、使える人が少ないのかな? あっと、ここは礼儀正しくきちんと自己紹介ですね。

「はい、サーバル男爵家三男、ライリール・ドライ・サーバルです、ライと呼んでください、ブラフマー公爵様の兵士さん達ですよね?」

「はい、この度はシャクティお嬢様をお救い下さいましてありがとうございます、それに今も我々だけでは危なかったところを重々かさねがさね感謝いたします」

 兵士さん達は隊長さんかな? 話しかけてきた方を最前列にして整列し頭を下げお礼をしてくれました。

「いえいえ、そうだ、ティ、シャクティとステファニーさんは馬車内で一緒にいます、ステファニーさんは魔力切れで気絶してしまわれたので」

「ステファニーの事までお世話になりありがとうございます、しかしお強い、オークリーダーをいとも容易く倒してしまうとは、流石剣聖様のご子息、魔法の腕も宮廷魔道士を結婚のためお断りになった賢者様ゆずりで素晴らしい、あれ? 呪文が聴こえなかった気もしますが、そ、それに剣術もお父君の御指南をお受けになられたのですか?」

 母さんは賢者なんだ! また聞くことが増えましたね。

 周りの兵士さんは興味津々ですね。

「はい、父さんと兄二人に教えて貰いました、全然敵わなかったですが、あははは」

「おおっ! それはそれは素晴らしい環境ですね、ん? もしやあの王子様を勉学、魔法、武術全般で勝ってしまったと噂の双子がライ殿のお兄様方ですか? 名前までは私達は知らないのですが」

「はい、シーリール兄さんと、アースリール兄さんですね、学院の外にまでそんな噂が出ているのですね」

 うんうん、家族が褒められたり、良い事で有名になるのは嬉しいですね。

「おおっ! やはりライ殿を見て、そうじゃないかと、うんうん、剣聖様、賢者様のご子息達様方だったのですね、おっと、自己紹介を」

 兵士さん全員が姿勢を正しました。

「ブラフマー公爵家三番隊隊長シルキーと申します、主に公都でお嬢様の警護をやっております」

 兜を装備していますが声で分かっていました、やはり女性のようですね。

「隊全員の名を紹介する事が当然かと思いますが、ここは私だけでご容赦願います。数が多いので、混乱する可能性がありますので、それで、もう夜が明けますので、朝食後公都に向け出発でよろしいでしょうか」

「はい、分かりました、では朝食の準備してしまいましょう、先ほどのではありませんが、保存食のオークリーダーのベーコンが沢山ありますので、それを使いましょう」

 以前マシューが作っていたのを盗み見て(バレてました)こっそり作った(バレバレでした)ベーコン、調子にのって何匹分 (三十七匹、マシューが確認した分)作ったか分からないのですが、一度こっそり厨房にあったベーコンと入れ換えて食事に出して貰ったのですが(当然バレてました)、自画自賛したくなるほどの出来でした。

 そのベーコンを使い、スクランブルエッグと、ベーコンを魔物パンに挟み、サンドイッチを作っていきます。

 隊長さん、シルキーさんが料理ダメダメだという事が分かり、ちょっと弄られていたのが笑えました。

 日が昇り始め、ティを起こそうと馬車の鍵をぐるぐるして、“ガチャ” 開け中に入ると、ステファニーさんが起きていました。

「おはようございます、ステファニーさん、良く眠れましたか?」

「はい、ライ殿は夜警をして下さっていたのですね、私はなんて早とちりを、申し訳ありません、大変良く眠れ魔力も回復いたしました」

「それは良かったです、朝食の準備が出来ていますので、ティを起こして貰えますか?」

「はい、お着替えをして、向かいますね」

「お願いします、テラ、ムルムル、おいで」

 ぷるぷる

 テラはまだムルムルベッドでハンカチを布団に寝ていますが、ムルムルごと持ち上げ肩に乗せておきます。

 シルキーさん達の所に戻り、焚き火でお湯を沸かしお茶の準備を始めます。

「ライ殿は貴族のご子息にすれば、こういった料理やお茶などもお上手ですね、私も男爵家の三女で知らない人に嫁がされる事が嫌で兵士の道を選び、下積みの時分に色々料理などを教わったのですが、まったくと言って良いほど身に付かなかったのですよ」

「ん~、僕の場合は何でも自分でやる事が楽しくて、好きこそ物の上手なれという言葉があって、好きな事は上手くなる物ですよ、だから、自分で美味しい物が食べたいから料理していたら自然に好きになって上手くなりますよ」

「な、なるほど! そうですね、あの下積みの時は取り敢えず食べれる物を! としか考えていませんでした、うんうん、その考えで修行のやり直しをしてみることにします」

 そんな話をしている内にステファニーさんが、ティを連れ、馬車から出てきました。

 さてさて、お茶っぱを入れましょうかね。
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