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第一章
第19話 公都へ到着
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朝ごはんが終わり、馬車に馬さんを繋いで出発です。
ティが御者台に座ろうとしたのですが、ステファニーさんに止められ、しぶしぶ今は二人が馬車の中にいます。
御者台には僕とテラ、ムルムルが、周りは馬に乗ったシルキーさん達が一定の距離を取り、護衛してくれています。
何度かの休憩の末、だいぶ薄暗くなったのですが、公都に到着しました。
入門のため並ぶこともなく、シルキーさんが部下に命令をして先行させ、僕達が止まるらなくても入門出来る様に、手配をしてくれましたので、そのまま入門する事が出来ました。
「そういえば、ここが目的地だったんだよな、フィーアのお父さんのお店を探さなきゃね」
「ライをフッたフィーアがここにいるのね」
テラ、グサグサと何かが僕の心に刺さるからそういう言い方はやめて欲しいです。
一応、お友達として会いに来たのですから。
「あはは、ここの学院に通っているよ、お父さんがここで食堂を開いているからね、たまに来て作ってくれる食事は凄く美味しかったよ」
和風な料理を作ってくれた事には物凄く驚いたものです。
山菜の料理は絶品、前世を思い出して涙が出そうなくらいでしたから。
「ふ~ん、じゃあフィーアにあった後は行き先は未定なのね」
「うん、まずはこの国をぐるっと回ってみるのも良いかなぁ~って思ってるよ」
肩の上、さらにムルムルの上で腕組みをしながら何かを考えているテラ。
「ライ殿、サーバル男爵様も今入門なされたとの事です、転移魔法を使える術者でもありましたからね奥方様は」
え? そ、そうなの!
「つ、つい先日家を出発した所ですのに、もう再会とは、あははは」
「うふふ、そうなのですね、それは少し気恥ずかしいものがありますね、でもシャクティお嬢様をお助けした事で、公爵様がお呼びになったのでしょう、おほめの言葉を頂けるのでしょうね」
うん、公爵令嬢だものねティは、それもだけれど、母さんそんな事出来たのか、後で教えて貰いましょう♪
「あはは、僕も最初は捕まっちゃったんですけどね」
「うふふ、そのお陰でシャクティお嬢様が助かったのですから、お手柄には違いありません」
兜を装備したままなので、声は少しこもっていますが、ティが見つかり、この公都に帰ってきた事が本当に嬉しそうです。
街の人達も、この三番隊がティの護衛をしている事を知っているのか、ちらほらと、「お嬢様がお帰りです」「また、お店に来てくれるかな」「学院に行った筈では?」、など聞こえてきます。
「そう言っていただくと、僕も、なんだかそんな気がしてきました」
広い、街の大通りをゆっくり走り、見えてきた、お城、屋敷を通り越してお城ですよ! その大きなお城を囲む城壁の門をくぐり抜け、まだ先に見えるお城に向かい馬車を走らせます。
お城の大扉前に馬車を横付けして停車させ、馬車を降り荷台の戸を開けました。
ステファニーが先に降り、続けてティが馬車を降りると、開かれていた大扉から、一組の男女が歩み寄ってきました。
「シャクティ!」
男性の方が、走り出しこちらに向かってきます、横に付いていた兵士さんもいきなりの事で驚いていましたが、流石素早く追い付き、並走エントランスの階段を走り下りて来るともう目の前です。
「お父様、階段は走り降りては危ないですわよ、うふふ、ただいま戻りましたわ」
やはりお父さんの公爵様です。
「あなた、そんなに慌てないで下さいませ、お怪我などされるやも知れませんよ」
「うむ、すまんな、シャクティ、よくぞ無事帰ってきてくれた」
公爵様と奥様はティを挟み嬉しそうに微笑んでいます。
「お父様、お母様、ご紹介しなければならないお方がおります、ライ、私の横にお願いします」
ティが呼び、僕はティの横に進み跪きご挨拶を。
「直言」
「構わん! 立って話しなさい」
直言のお許しを窺おうとしたのですが、被せるようにお許しが出ました、それも立ったままで良いと、そんな事は普通有り得ないのですが、あはは。
「お許しありがとうございます」
僕は立ち上がりティ横で自己紹介を始めます。
「僕はサーバル男爵家三男、ライリール・ドライ・サーバルと申します、良ければライとお呼び下さい」
「お父様、お母様、ライが私の事をお救い下さいましたの、それにライの肩に乗るムルムルさんとテラ師匠にも色々助けられましたわ」
「ふむ、ライリール殿、いや、ライ殿、この度は誠になんとお礼を言えば良いか、本当にありがとう」
「私からも、ライ殿ありがとうございます」
お二人は頭こそ下げることはありませんが、心からの感謝の気持ちが伝わってきました。
「いえ、当然の事をしたまでです」
「サーバル男爵ご夫妻が到着いたしました!」
遠く離れた城壁の方から父さんと母さんが到着した事を伝える声が聞こえました。
「ふむ、ここではなんだ、応接室に案内しよう」
公爵様と奥様、そして僕達は兵士さんの案内で、お城の中に入り、応接室に通されました。
父さん達も、少し遅れましたが同じ応接室に通され、数日ぶりの再会を果たしました。
「ライ、良くやった」
「ライ、お母さんは心配してましたのよ、でも、頑張りましたね」
「はい」
父さん達もソファーに腰をおろし、僕達の前は真ん中に公爵様と左右にティと奥様が座りました。
「うむ、ではまず褒美だが、爵位を与えようと思うのだが、剣聖、どうだ?」
「はっ、畏れ多いとは思いますが、何故に?」
「うむ、シャクティの恩人であるぞ、公爵位でも欲しいと言えば譲ってやっても良いくらい感謝しておるからな」
ほへぇ~、いやいや僕は冒険者でこの世界を巡る旅に出てすぐですよ! 爵位なんて貰っちゃったら、自由が無くなっちゃいますよ!
「お父様、サーバル男爵様がお困りですよ、それにライはこの世界旅して回りたいと仰っていましたわ、自由を無くす様な事は褒美にはなりませんわよ」
「ぬぬ、そ、そうなのか、剣聖の息子であるのだ、家臣にも欲しかったのだが」
「僕は、まだまだ子供です、そういった事はまだ考えられません、あっ! そのご褒美、サーバル男爵家の領地に穀物などをお安く提供出来たりはしませんか? 父さんの領地は起伏が激しいところが多く農作地の場所が少ないので、民の方々は高い小麦を買っています、それが少しでもお安くなるなら」
「ライ、お前」
部屋の中の皆が、それこそ一緒に帰って来たステファニーさんとシルキーさんまで僕に注目してきて、居心地が悪く、むずむずするのですが。
「ふむ、自身の功績を父の領地ために使うか、ふふっ、良かろう! サーバル男爵、我がブラフマー公爵領から格安で譲ることとする」
「公爵様、ライ、良いのか? 叙爵など中々受けられるものでは無いのだぞ、穀物は助かるが」
「はい、皆が嬉しくなる事ですよね♪」
「うむ、では決まりだな、家令よその様に手配を進めよ」
「はっ」
公爵様の後ろに控えていたのは家令さんの様です。
「公爵様、少しだけお話が」
話が途切れたところでステファニーさんが公爵様に向かい、言いにくそうにしながら、言葉を紡ぎました。
「うむ、ステファニーどうしたのだ?」
「はい、シャクティお嬢様とライ殿は同じ馬車の中で寝て、宿では同じお風呂に入ったとお聞きしました」
「「何!」」
公爵様夫妻と父さん母さん、家令さんシルキーさん、メイドさんに至るこの部屋の中に居る皆が声を会わせて驚きを表しました。
僕はなぜそんなに驚いているのか、分からなかったのですが、ティは少しだけ分かっているっぽいし、テラはお手上げって顔をして首を振っています。
「シ、シャクティ、ライ殿、それは真か?」
公爵様が聞いてきましたので、僕は。
「はい、そうですが」
「本当ですわよ、ライにはお着替えのやり方も習いましたし、体の洗い方もですわ」
ティが、そう言った後、父さん達は顔に手を当て溜め息を付き、公爵様達は顔を見合い頷く。
「私の権限では伯爵までしか与えられんが、婿にするなら伯爵であれば構わんだろう、剣聖、良いな」
「はっ、自由がどうかなど言ってはおられません」
「まあまあ、では王子から打診のあった婚約話は受けなくて良くなりましたのね、うふふふ、ライ殿、いえライ、私の事はお義母さんと呼んでくださいね」
「え? あの、何がどういう事ですか?」
何がなんだか分かりませんよ!
「ライ、お前の婚約者が決まった、叙爵もな」
えぇぇぇぇぇ~!
ティが御者台に座ろうとしたのですが、ステファニーさんに止められ、しぶしぶ今は二人が馬車の中にいます。
御者台には僕とテラ、ムルムルが、周りは馬に乗ったシルキーさん達が一定の距離を取り、護衛してくれています。
何度かの休憩の末、だいぶ薄暗くなったのですが、公都に到着しました。
入門のため並ぶこともなく、シルキーさんが部下に命令をして先行させ、僕達が止まるらなくても入門出来る様に、手配をしてくれましたので、そのまま入門する事が出来ました。
「そういえば、ここが目的地だったんだよな、フィーアのお父さんのお店を探さなきゃね」
「ライをフッたフィーアがここにいるのね」
テラ、グサグサと何かが僕の心に刺さるからそういう言い方はやめて欲しいです。
一応、お友達として会いに来たのですから。
「あはは、ここの学院に通っているよ、お父さんがここで食堂を開いているからね、たまに来て作ってくれる食事は凄く美味しかったよ」
和風な料理を作ってくれた事には物凄く驚いたものです。
山菜の料理は絶品、前世を思い出して涙が出そうなくらいでしたから。
「ふ~ん、じゃあフィーアにあった後は行き先は未定なのね」
「うん、まずはこの国をぐるっと回ってみるのも良いかなぁ~って思ってるよ」
肩の上、さらにムルムルの上で腕組みをしながら何かを考えているテラ。
「ライ殿、サーバル男爵様も今入門なされたとの事です、転移魔法を使える術者でもありましたからね奥方様は」
え? そ、そうなの!
「つ、つい先日家を出発した所ですのに、もう再会とは、あははは」
「うふふ、そうなのですね、それは少し気恥ずかしいものがありますね、でもシャクティお嬢様をお助けした事で、公爵様がお呼びになったのでしょう、おほめの言葉を頂けるのでしょうね」
うん、公爵令嬢だものねティは、それもだけれど、母さんそんな事出来たのか、後で教えて貰いましょう♪
「あはは、僕も最初は捕まっちゃったんですけどね」
「うふふ、そのお陰でシャクティお嬢様が助かったのですから、お手柄には違いありません」
兜を装備したままなので、声は少しこもっていますが、ティが見つかり、この公都に帰ってきた事が本当に嬉しそうです。
街の人達も、この三番隊がティの護衛をしている事を知っているのか、ちらほらと、「お嬢様がお帰りです」「また、お店に来てくれるかな」「学院に行った筈では?」、など聞こえてきます。
「そう言っていただくと、僕も、なんだかそんな気がしてきました」
広い、街の大通りをゆっくり走り、見えてきた、お城、屋敷を通り越してお城ですよ! その大きなお城を囲む城壁の門をくぐり抜け、まだ先に見えるお城に向かい馬車を走らせます。
お城の大扉前に馬車を横付けして停車させ、馬車を降り荷台の戸を開けました。
ステファニーが先に降り、続けてティが馬車を降りると、開かれていた大扉から、一組の男女が歩み寄ってきました。
「シャクティ!」
男性の方が、走り出しこちらに向かってきます、横に付いていた兵士さんもいきなりの事で驚いていましたが、流石素早く追い付き、並走エントランスの階段を走り下りて来るともう目の前です。
「お父様、階段は走り降りては危ないですわよ、うふふ、ただいま戻りましたわ」
やはりお父さんの公爵様です。
「あなた、そんなに慌てないで下さいませ、お怪我などされるやも知れませんよ」
「うむ、すまんな、シャクティ、よくぞ無事帰ってきてくれた」
公爵様と奥様はティを挟み嬉しそうに微笑んでいます。
「お父様、お母様、ご紹介しなければならないお方がおります、ライ、私の横にお願いします」
ティが呼び、僕はティの横に進み跪きご挨拶を。
「直言」
「構わん! 立って話しなさい」
直言のお許しを窺おうとしたのですが、被せるようにお許しが出ました、それも立ったままで良いと、そんな事は普通有り得ないのですが、あはは。
「お許しありがとうございます」
僕は立ち上がりティ横で自己紹介を始めます。
「僕はサーバル男爵家三男、ライリール・ドライ・サーバルと申します、良ければライとお呼び下さい」
「お父様、お母様、ライが私の事をお救い下さいましたの、それにライの肩に乗るムルムルさんとテラ師匠にも色々助けられましたわ」
「ふむ、ライリール殿、いや、ライ殿、この度は誠になんとお礼を言えば良いか、本当にありがとう」
「私からも、ライ殿ありがとうございます」
お二人は頭こそ下げることはありませんが、心からの感謝の気持ちが伝わってきました。
「いえ、当然の事をしたまでです」
「サーバル男爵ご夫妻が到着いたしました!」
遠く離れた城壁の方から父さんと母さんが到着した事を伝える声が聞こえました。
「ふむ、ここではなんだ、応接室に案内しよう」
公爵様と奥様、そして僕達は兵士さんの案内で、お城の中に入り、応接室に通されました。
父さん達も、少し遅れましたが同じ応接室に通され、数日ぶりの再会を果たしました。
「ライ、良くやった」
「ライ、お母さんは心配してましたのよ、でも、頑張りましたね」
「はい」
父さん達もソファーに腰をおろし、僕達の前は真ん中に公爵様と左右にティと奥様が座りました。
「うむ、ではまず褒美だが、爵位を与えようと思うのだが、剣聖、どうだ?」
「はっ、畏れ多いとは思いますが、何故に?」
「うむ、シャクティの恩人であるぞ、公爵位でも欲しいと言えば譲ってやっても良いくらい感謝しておるからな」
ほへぇ~、いやいや僕は冒険者でこの世界を巡る旅に出てすぐですよ! 爵位なんて貰っちゃったら、自由が無くなっちゃいますよ!
「お父様、サーバル男爵様がお困りですよ、それにライはこの世界旅して回りたいと仰っていましたわ、自由を無くす様な事は褒美にはなりませんわよ」
「ぬぬ、そ、そうなのか、剣聖の息子であるのだ、家臣にも欲しかったのだが」
「僕は、まだまだ子供です、そういった事はまだ考えられません、あっ! そのご褒美、サーバル男爵家の領地に穀物などをお安く提供出来たりはしませんか? 父さんの領地は起伏が激しいところが多く農作地の場所が少ないので、民の方々は高い小麦を買っています、それが少しでもお安くなるなら」
「ライ、お前」
部屋の中の皆が、それこそ一緒に帰って来たステファニーさんとシルキーさんまで僕に注目してきて、居心地が悪く、むずむずするのですが。
「ふむ、自身の功績を父の領地ために使うか、ふふっ、良かろう! サーバル男爵、我がブラフマー公爵領から格安で譲ることとする」
「公爵様、ライ、良いのか? 叙爵など中々受けられるものでは無いのだぞ、穀物は助かるが」
「はい、皆が嬉しくなる事ですよね♪」
「うむ、では決まりだな、家令よその様に手配を進めよ」
「はっ」
公爵様の後ろに控えていたのは家令さんの様です。
「公爵様、少しだけお話が」
話が途切れたところでステファニーさんが公爵様に向かい、言いにくそうにしながら、言葉を紡ぎました。
「うむ、ステファニーどうしたのだ?」
「はい、シャクティお嬢様とライ殿は同じ馬車の中で寝て、宿では同じお風呂に入ったとお聞きしました」
「「何!」」
公爵様夫妻と父さん母さん、家令さんシルキーさん、メイドさんに至るこの部屋の中に居る皆が声を会わせて驚きを表しました。
僕はなぜそんなに驚いているのか、分からなかったのですが、ティは少しだけ分かっているっぽいし、テラはお手上げって顔をして首を振っています。
「シ、シャクティ、ライ殿、それは真か?」
公爵様が聞いてきましたので、僕は。
「はい、そうですが」
「本当ですわよ、ライにはお着替えのやり方も習いましたし、体の洗い方もですわ」
ティが、そう言った後、父さん達は顔に手を当て溜め息を付き、公爵様達は顔を見合い頷く。
「私の権限では伯爵までしか与えられんが、婿にするなら伯爵であれば構わんだろう、剣聖、良いな」
「はっ、自由がどうかなど言ってはおられません」
「まあまあ、では王子から打診のあった婚約話は受けなくて良くなりましたのね、うふふふ、ライ殿、いえライ、私の事はお義母さんと呼んでくださいね」
「え? あの、何がどういう事ですか?」
何がなんだか分かりませんよ!
「ライ、お前の婚約者が決まった、叙爵もな」
えぇぇぇぇぇ~!
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