【完結】無自覚最強の僕は異世界でテンプレに憧れる

いな@

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第三章

第117話 王命である!

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「直言お許しいただけますか?」

「うむ。構わんぞ」

「ありがとうございます。王様がおっしゃった様に、僕は伯爵になる予定です。それをさらに他国で叙爵する事は良いのでしょうか?」

「前例が無いわけではないな。聞けばライリール。お主は旅をした後に叙爵したいと申しておるそうだな、ならば我が国でもその形で良いぞ? さらに娘を嫁に出しても構わん。私から見ても器量も中々の者だぞ」

「え? あの?」

 あれ? そんなにスルッと許可して良いものなの? ってお嫁さんは全然知らない人となんて考えられませんよ?

「父上。私で良ければ隣国との橋渡しのためにはライリール様の元へ喜んで参りますわ」

「王女様そんなの駄目ですよ! 結婚は好きな子とするものです。いくら国のためになるとはいえ僕は反対です。そのご身分のせいで望まぬ結婚話もあるか分かりませんが、それじゃあ王女様が幸せになれない可能性が凄くありますよ」

「え?」

 王女様は、僕からいきなり話しかけられるとは思っていなかったのか凄く驚いていますが、今は言うだけ言っちゃいます。

「王女様にもいつかは好きな方が現れるはずです。その方が下級貴族だろうと平民だろうと、生活が厳しくても、一緒にいられるだけで幸せになれるんですからね」

「ふむ。親としては娘が笑っていてくれる事が幸せだな。すまぬライリールよ。娘の事を思いやる気持ち受け取った。すまなかったなマスティマ」

「······ライリール様、お父様。私の幸せですか。私は物語にも出てきた『風使い』様が理想ですから」

「なんにゃ? ライは物語になってるのにゃ?」

「リントちゃん今は喋っちゃ駄目なのです。そりゃライは『風使い』の二つ名ですけど」

 そう言えばそうでしたね。

「そのようですね。冒険者ギルドにて『風使い』と登録されております。ランクもSランクですから、噂になりかけておりますね」

 あの? 宰相さん?

「まことか!」

「まあ!」

「そして年齢は十歳と同じですから年齢的にもよろしいかと」

「ちょっ! ちょっとおかしな話になってませんか!? 僕にはここにいるテラとプシュケとリント。それに今はいませんがティとフィーアって一緒に冒険したお嫁さんが五人いるんですよ! お姫様にはもっと相応しい方が!」

「くくくっ。マスティマよ。どうなのだ? 私はこの場で宣言しよう。マスティマの婚約予定は全て無かったことにする! マスティマが選び、私がその者を見てその者を見るマスティマを見て相手を決める事にする! 王命である!」

「あらあら。スキルの『王命』まで使うなんて、王様はかなり本気ね」

「ほっ。なんとか上手く王様がまとめてくれたみたいですね。テラその王命ってどんなスキルなの?」

「王命わね。聞いた者に強制力がかかる命令系のスキルね。使ったその人が解除するか、寿命で亡くなるかしないと解けない命令よ」

「凄いスキルだね♪ えっと魔力の流し方はこんな感じで。ん~、初めて冒険したテラとムルムルとずっと楽しく過ごす! 王命である! こんな感じかな?」

「なっ! ライあなた······スキルが、王命のスキルが付いたわ······」

「ほう。王命のスキルは王になるものにしか発現せんスキル。私でも二十を越えて発現したスキルをか、しかしそこの小さき者よ、お主はスキルが見えるのか?」

「テラの鑑定はたぶん僕達の鑑定よりいっぱい練習したからじゃないかな?」

「そ、そうね。私が凄いのは認めるわ!」

「では、息子は今年はまだ十五歳だが」

「待ってね。んん神眼~。大丈夫、王子様にも付いてるわよ。良かったわね。いつでも王位を譲れるわ」

「おおー! そうか! そうか!」

 なんとか誤魔化せたかな?

(ふぅ。危なかったわまったく、それより王女様がさっきから考え込んでるのが気になるわね、そろそろ終わりにした方が良さそうな気配がするんだけど)

「王様。この議題はそろそろ終わりませんと後が使えております」

「うむ。ではダンジョン完全攻略の報酬。黒貨十枚、ラビリンス王国貴族伯爵位の叙爵これについては隣国の叙爵後とする」

 え~と、やっぱり叙爵はすることで決定のようですね。

「ありがとうございます」

 そして、宰相さんが壇上から降りてきて、お兄さんに渡したものと同じような装飾で、少しだけ大きな箱を渡してくれました。

 僕に渡した後、また壇上に戻り、前に向き直ってこう言いました。

「新ダンジョン攻略ならびにダンジョン完全攻略の報酬授与式を終わります。ライリール様はポリー様とお帰りになってもらっても大丈夫です。カルバン様はこの後叙爵についてと、報酬の小分けがありますので別室にて担当の者が説明いたします」

 宰相さんが締めくくり、たぶんここで王様の一言ですね。

「聞いた通りこれにて終わるが貴族の皆にはこの後まだ残って、教国についての説明があるのでな別室へ移動だ。では宰相閉会せよ」

 王様達が先に退出。そして僕はまた同じお爺さんの案内で帰れることになったのでお兄さんに。

「カルバンさん達はまだこれからみたいですね、頑張って下さい」

「ああ。なんだか夢見てるようだが、なんとかやってみるさ。ありがとうな」

 そしてそこでお別れした後、ポリーさんと合流しもらった黒貨を見せびらかし、サーバル男爵領のために使ってもらうため、帰る事にして、ポリーさんはカルバンさんを待つことに。

そして、僕は黒貨を父さんにあげるためと、プシュケの事をお願いするため転移でお屋敷に戻りました。
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