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焼き肉ゴハン。
しおりを挟む「失礼します。
美月様、
本日は焼きをいかがいたしましょう?」
陸さんのお父さんは何だか恥ずかしそうに聞いている。
ミキちゃんはいつも可愛い服だけど
今夜は空センパイもお揃いのうさぎになってる……やっぱり照れ臭いのかな?
隣りで空センパイがミキちゃんを上目遣いで見てる。
それも可愛い。
空センパイはお母さん似なのかな?
お父さんと陸さんはよく似てるけど。
「青山さんも陸さん、くうちゃんも
きっと居づらくなっちゃうとイヤだから
終わったらコールでいいですか?」
「かしこまりました。
では火はガスでよろしいですか?」
「そっか。
ねぇ 皆んなぁ 炭じゃなくてもいい?」
「姫? 炭だと焼いてもらうの?」
「えっ? 焼いてもらわないの?」
…………
自宅で炭火焼?
それが普通なの?
ミキちゃんてやっぱり何者?
「美月様、ご自宅では通常、ガスでの焼きが多いかと思います。
炭だとご家庭では始末が難しいかと……」
「青山さん、
皆んなお家で焼き肉食べないの?」
「美月様……。」
ミキちゃんはきっと
焼き肉はいつもこうなんだ。
お店の人が来て炭で焼いてくれるのが
普通なんだ。
皆んなの様子が変だったから
ミキちゃん気にしちゃったんだ……。
どうすればいい?
イクならスマートにミキちゃんを支えてあげられるんだろうな……
「姫? ウチはガスかホットプレートだよ。
炭はすごく美味しいけどプロが処理しないと大変なんだよ?」
凪さんがミキちゃんに声をかけた。
「凪くん……僕、変なお願いしてるのかな?」
「美月様そんなコトございませんよ。」
「姫、俺らに美味い焼き肉食べさせてくれるんだろ?」
凪さんがミキちゃんの頭をポンポンとして言った。
「美月様、
本日の焼きは清水でよろしいですか?
私、所用の連絡が入りましたので後程コールいただけますか?」
「それがいいよ。なっ姫?」
凪さんが優しくミキちゃんの背中をさすっていた。
「青山さん、それでお願いできますか?」
「では。そのようにさせていただきます。」
陸さんのお父さんは清水さんと一緒に
炭の用意に和室に入っていった。
「姫? 俺ら嬉しいよ?」
凪さんが背中から抱き締めた。
ノブの目が大きく見開き固まった。
ノブ?
ミキちゃん取られちゃうよ?
「凪くん?」
「姫、可愛い。
くうとお揃いのうさぎ可愛いな?」
「ホント?」
ミキちゃんは振り向きながら凪さんに聞いている。
「イクもいつもミキは可愛いって言ってたぞ?
そんな泣きそうな顔してたらイクが安心して入院してられないんじゃないか?」
「凪くん……」
「姫は可愛い。
俺ら皆んなが思ってる。
容姿だけじゃない、姫の優しさは俺ら分かってるつもりだぞ?」
「凪くん……ありがと……」
ミキちゃんの目から涙が溢れていた。
きっと他の家がどんなかなんて知らないんだ。
ミキちゃんの家族は
義弥さんと美波さん。
二人とも忙しくしてる。
雅さんが近くにいてもきっとオレたちの家の食事とは違うんだろう。
凪さんはミキちゃんをきつく抱き締めている?
ノブが声を出せずにいる……。
センパイに何と言っていいか分からないのか?
空センパイの可愛い顔が少し歪んだ。
「凪くん! 僕のミキちゃん取らないで!」
空センパイがミキちゃんを正面から抱き締めた。
「イクがいないんだから、いいじゃん!」
「僕だってミキちゃんがいい!」
二人はミキちゃんを間に騒いでた……。
陸さんは二人を眺めてニヤけていた。
きっと二人もミキちゃんの家庭環境が普通と違うって気付いたのかもしれない……。
オレはイクと一緒に聞いて知ってる。
圭吾もさっき義弥さんから聞いた。
同性婚に偏見は無い……。
でも
ミキちゃんを見てると
やっぱり難しいんだなと思った。
「美月様、私は一旦失礼いたします。」
青山さんは帰って行った。
「皆様、和室へどうぞ。
お食事の用意が整いました。」
清水さんに声をかけられた。
「ミキちゃんは僕の隣りねっ?」
ミキちゃんは空センパイと凪くんに挟まれて座った。
空センパイの反対隣りに陸さん。
ミキちゃんの向かいにノブ。
隣りにオレ、圭吾で並んだ。
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