渇愛

あんず

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新しい友達。

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「…………郁弥くん、疲れていないかい?」



「はい……大丈夫です。

先生、俺どうすればいいのかな?」




「そうだね…………

僕が郁弥くんに一つ言いたいのは

郁弥くんを大切にして欲しい………かな。」



「…………先生?」



「郁弥くんは今、誰が隣りにいて欲しい?」



「…………ミキ…………












晃かも…………」







「うん。きっと晃くん。

それが今の郁弥くんの気持ち。

でも美月くんを好きで愛おしく思っていた
郁弥くんも郁弥くんの大切気持ちの一つ。

誰にも否定される事なんてない君のココロだよ。

美月くんと晃くんとの3人の楽しかった思い出も

楽器を練習する君も

全て郁弥くんの一部だよ。




大切にして欲しいな。」








こんなに……ミキのコトもコウのコトも

自分のコトも傷つけた俺を

先生は咎める事もなく大切にして欲しいと

優しすぎる言の葉をくれた。




泪が止まらず、どんどん溢れてくる…………

先生は俺の頭をポンポンとして



「疲れさせちゃったね。ごめん。

郁弥くんは患者じゃないのに…………」




先生の言葉に『えっ?』と耳を疑った……

一瞬……泪が止まった……気がした。



「郁弥くんは美波くんと義弥くんの可愛い弟で、僕の新しい友達なのにね。」




そう優しく言ってウインクして


「またね。」



と手を振り病室を出て行った。






篠宮先生のまぁるい顔がとてもチャーミングに見えた。




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