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目覚め。
しおりを挟む父さんと病室に入った。
僕は真っ直ぐ義弥の基に向かった。
朝と同じように
義弥を抱き締めてキスをした。
「義弥、ただいま。」
もう一度キスをした。
そして雅さんに向かって歩んだ。
「母さん。
楠木 美波です。
生意気な息子だけど……
よろしく……おねが……」
声にならない声で呟く。
「美波。おかえり。
義弥はちゃんと良い子で美波の帰り
待ってたよ?
美波? 母さん、美波のコト大好きよ。」
そう言って母さんは小さい体で
僕を抱き締めてくれた。
父さんもやって来て
僕と母さんを一緒に抱き締めてくれた。
「な……なっ……なっちゃん…」
義弥のキレイな声が聞こえた。
3人で義弥の基に駆け寄る。
「「義弥」」
父さんと母さんが声をかける。
「なっちゃん……」
義弥は夢でも見ているのだろうか?
僕は義弥の頬を摩り、髪をなでた。
「ヨシくん、
なっちゃんヨシくんと仲直りしたいよ?
ヨシくん仲直りして
ずっと一緒にいよ。
なっちゃん、ヨシくんのこと大好きだよ。」
義弥の頬に自分の頬をすり寄せた。
義弥はゆっくりと目を開けて微笑んだ。
「なっちゃん、仲直りしてくれるの?」
「うん。ヨシくん仲直りして?」
「なっちゃん離れたくないよ?」
「うん。ずっと一緒。
ヨシくんとずっと一緒。
ヨシくんゴメンね。
ヨシくん、なっちゃんはヨシくんじゃないと
ダメみたい。
ヨシくんがいいよ。」
僕の声に義弥は目覚める。
まだ虚ろな義弥。
母さんがナースコールを押した。
看護師さんが入ってきて
義弥の様子を院内ピッチで医師に伝える。
直ぐに医師がやってきた。
急に騒がしくなった病室。
義弥が目を見開いた。
「なっちゃんがいない。
なっちゃん。今、話してたのに。
なっちゃん。なっちゃん。なっちゃん。」
取り乱す義弥に医師が薬の追加を言っている。
自傷防止のためだろう。
「そんなの いらない。
義弥に薬なんていらない。」
僕は医師を退かして義弥に抱きついた。
「美波?」
義弥は僕の胸に頬をすり寄せた。
「義弥。僕だよ。
義弥たくさん寝たね?
もう起きて僕と一緒にウチヘ帰ろう?」
「美波?」
「義弥。どうしたの?義弥の美波だよ?」
義弥は嬉しそうに僕に抱き付こうとする。
まだ力が入らないようで
上手く抱きつけず淋しい顔になる。
「義弥? 大丈夫。 義弥の美波だよ。」
そう言って髪を撫でた。
その様子を見ていた医師は
「君がいれば大丈夫だね?
何かあったらナースコール押してね。」
そう言って看護師に薬はいらないから
メインの点滴だけ続けてと指示をしながら
病室を後にした。
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