初恋

あんず

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スタート。

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病室に戻ると

翔センパイとヨシに斉木センパイ
…染野と池田が来ていた。



僕は不安になってしまった。








父さんと僕に気付いた僕に

「美波、おかえり。

ぎゅっとして?淋しかったよ?」

義弥は満面の笑みでそう言った。






僕が義弥に近付いた時
義弥は細い両腕を広げ僕を迎えてくれた。




みんなの前なのに
僕に抱きつきキスを強請った。

僕が困った顔をしていると

「サク困ってるぞ?」

翔センパイが義弥に言った。

ヨシがクスクス笑ってる。



「美波?俺にキスするのイヤ?」

シュンとする義弥……
なんて可愛いヒトなんだろう。

僕は義弥に深い深いキスをした。








「義弥、よかったな。俺ら帰るよ?
ホントに良かった。」

「義弥、少しずつでいいから食事とってな。
スリムな義弥も綺麗だけど、
もう少しふっくらしてる方が俺らの好みだ。」

「お前らフザケンナ。帰るぞ。」


斉木センパイと染野、池田が帰って行った。










その場にいなかった母さんが
病室に入って来た。


手には大きなカゴ。



「高橋くんと吉岡くんが来てくれたから
夜ゴハン作ってきたの。」

そう言って
魚のソテーにサラダ、コンソメスープを
出してくれた。
病室のミニキッチンでバケットをカットし
ている。





『義弥……食べれるのかな』






ここ2日
朝から夜まで父さんと行動していたから
義弥が何か食べているところは一度も
見ていなかった。



僕の不安を感じた母さんが
僕に声をかける。

「美波、コレ義弥に持っていって?
吉岡くん、義弥のベットにテーブルセットしてくれる?」



母さんから受け取った皿には
僕たちとほぼ同じ材料で作った
身体に負担のかからない食事がキレイにのっていた。



「母さん……ありがと」

僕は呟くように言った。









6人で食べた食事は美味しかった。

何より義弥がカップに入ったスープ、
それは子供が飲むような小さなカップだけど
残さず全部飲んだのが嬉しかった。








「また来るな」
「また来るね」

翔センパイとヨシが食後のココアを飲んだ後
帰って行った。





父さんと母さんも片付けを済ませ
病室を出た。


「義弥、父さんと母さんそこまで送ってくるね?」



病室を出た所で

「義弥を1人にしちゃダメ。
頭ではわかっていると思うけど
義弥は不安なの。
私が来るまで離れないであげて。」

そう母さんに言われ病室に戻った。



1分足らずの時間だったけど
1人になった義弥は
真っ青になって震えていた。





義弥に近付き抱き締める。

しばらく義弥の背中をさすって
ようやく震えが止まった。


まだ消灯前だけど
眠る準備をして義弥のベットに潜り込んだ。






その夜
義弥とたくさん話した。



2人とも言えなかった想いをぶつけ合った。




僕は弥生さんの事を包み隠さず話した。

義弥は震えていたけれど
僕は真っ直ぐ義弥の顔見て正直に話した。

「知ってた……」

義弥が小さく呟きキレイに瞳から
大粒の泪を溢れさせた。


「俺のトコに帰ってきてくれて
ありがとう。
おかえり       美波……」






義弥も淋しかったコト、辛かったコト、
無くした記憶の全てを思い出したコト。

染野と池田のコト
全部、全部話してくれた。




「義弥、ゴメンね。
もう一度始めよう。
はじめからスタートしよう。」

僕の言葉に義弥は頷き
2人で抱きしめ合って眠りについた。























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