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聖夜の贈り物。
しおりを挟むクリスマスイブ。
義弥はプレゼントを受け取りに行くと
言っていた、
約束通り10時半に家を出た。
家の前に栞菜さんが車で迎えに来てくれていた。
「義弥、父さんも一緒?」
「うん。母さんにも来てもらってる。
美波一緒に行ってくれるよね?」
「大丈夫だよ。義弥の好きでいいよ。」
2人で後部座席に乗った。
義弥は何も言わなかったけど
車は動き出した。
父さんは行き先を知らされていたようだった。
到着したのは
僕の通う大学の付属病院だった。
戸惑う僕の手を取り
「美波、行こ?」
「うん。父さん達は?」
「ココで待ってくれるよ。 行こ。」
義弥は嬉しそうに病院の中に入って行った。
『NICU』
そう書かれた扉のインターホンを鳴らす。
「楠木です。」
「どうぞ。」
「美波、コッチ。」
義弥は少し興奮している。
小さなベッドに寝かされた
小さな赤ん坊。
白いフリルのドレスを身に着けている。
ベッドの柵には
『楠木 美月』
「美月くん、パパがお迎えに来てくれたよ。
良かったね。ようやくお家に帰れるね?」
看護師が小さな赤ん坊に声をかけている。
「ありがとうございました。
今度からは小児科外来に受診に行きますね。」
そう言って持っていた紙袋を手渡した。
「あっそういう物は……」
看護師が断りをいれる。
「コレあったら美月を抱けないので
忘れていきますね。」
義弥はそう微笑んで赤ん坊の寝ていたベッドに紙袋を置いた。
義弥は『美月』を抱っこして僕に言った。
「俺たちのクリスマスプレゼントだよ?
『美月』だよ。俺たちの息子。
美波、よろしくね?」
突然のコトに驚いたが
秋の月夜に義弥が言った言葉を思い出した。
この子のコトだったんだ……。
「よろしく美月。僕は美波だよ。」
そっとホッペをつついた。
美月はくすぐったそうに顔を動かした。
「美波、可愛いね?」
そう言ってる義弥が可愛い。
「可愛いね。」
義弥と一緒に微笑んだ。
看護師に挨拶をし病院を出た。
駐車場の車から父さんと母さんが出てきた。
「はじめまして、美月。
じぃじとばぁばだよ?」
「「えっ??」」
「母さんムリ。いいよ名前呼びで。
母さんまだ30代なのに……ていうか
これから出産じゃん。」
「えっ? 母さん出産?」
「そう。まだ生まれてないけどこのお腹の中の子は美月のおじさんなのよ~。」
母さんはカラカラと笑った。
やっぱり
じぃじとばぁばはナシだと思った。
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