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第2章
閑話・小話詰め合わせ②
しおりを挟む『特訓休みの小話③』
いつも通り昼休憩をしていると、エレナがとことこ歩いてきた。
「ねぇねぇレイー」
「どうした?ツイスターならこの前全然終わらなかったから禁止令出てるけど…」
「聞きたいことがあるんだけど…」
「なに?」
「子供ってどーやったらできるの?」
それを聞いた瞬間俺の中に『ピシャッ!』と雷が落ちた。
(こ、これはたまに見る子供どこから生まれてる質問イベント…!!小さくなった名探偵でもまだ未解決の事件だぞ?!)
とりあえず脳をフルスロットルで働かせて1番いい答えを考えて、何個かその場で浮かんだ。
①もう素直に言う。男の○○○を女の○○○に色々するんだよと。だが、そんな事したら天使を汚してしまうし、何よりおっさんに殺される。おっさんは昼休憩の時は毎回封印の確認に行っているが、後でエレナから話を聞いて間違いなく俺を消しに来るだろう。
②コウノトリが運んで来てる説。だがこれは言っても、「こうのとりってなーに?」と問われて返答に困る未来しか見えない。ましてやこの世界にコウノトリなんて言葉があるのかも怪しい。
③カップルがキスしたらできる説。今のところ1番安定かもしれない。とりあえずこれが候補だ。
④アイナさんに力を借りる。見た目は5歳なのだから「僕にもわからないなぁ~。」と言ってアイナさんに助けてもらう。
⑤深い言葉みたいな感じで、毎日神様にお祈りしてたらいつか来てくれるかもしれないよ?と言う。これはなかなか俺の中でもいい案だった。
とりあえず、期待の眼差しで見つめてくるので⑤を選んだ。
「うーん多分、エレナが毎日神様にお祈りしてたら素敵なプレゼントみたいな感じで自然にくるんじゃないかな…?」
(どうだこれが俺の中の限界だが…)
答えを聞いたエレナは嬉しそうに目を輝かせた。
「ほんと?!じゃあエレナ毎日お祈りする!」
(ふぅ…真実はいつも1つだな…)
だが事件は解決などしていなかった。
「じゃあママもちっちゃい頃からお祈りしてたの?」
「そうねぇ、私はそんな事特にした覚えはなかったかしらねぇ。」
「え〝っ?!」
(う、嘘だろ?!ここは普通合わせるところじゃ…)
アイナさんの顔を見ると、普段の美人な顔がS女のようになっていた。明らかに困った俺を見て楽しんでいる。
(あ、この人あっち側の人だ…)
「レイ、お祈りしなくても赤ちゃんくるのー?」
結局俺は諦めて「例外もあるかもね…」と言って逃げた。
(コナン君ごめん…真実はいつも1つじゃなかったよ…。)
『お城での小話①』
特訓の後、アイナさんの料理を食べ終えた時のことだった。
「レイ見て~」
「ん、どうした?」
相変わらず可愛い天使が、1枚の絵を持ってきた。そこにはこの世界の景色が描いてあった。
「お、よくかけてるなぁ。にしてもこの世界の月多いな…」
初めて来た時思ったのだが、この世界には月のような衛星が何個かあった。
「お、エレナよう描けとるのぉ。星の数もピッタリ合ってるな!」
「おっさん、なんでこの世界こんなに星の数が多いの?」
「さぁ儂にもわからん。じゃがこの世界の時間の進み具合に関係しておるんだろうな。」
「時間?俺がいたところと違うのか?」
「そうじゃ。儂ら龍は長生きじゃからな、そちらより少し早く時が進むように出来ておる。」
「早いってどんくらい?」
「おおよそじゃがこっちでの1日はお前の世界の10日分くらいかのぉ。」
「はぁ…なるほどね…。」
(…ん?こっちでの1日があっちでの10日って事は…)
「はぁ?!ちょっと待って!てことは俺がここに来てから何日経った?」
「2週間くらいじゃな。」
「ってことはつまり…俺の世界ではもう140日近くなってるってことか?!」
「そうなるな。あれ、言ってなかったっけか?ガハハハすまんな!」
「笑ってる場合じゃねぇよクソジジィ!普通こーゆうのは精神と時○部屋みたく、こっち側が長いパータンだろうが!これじゃレイ島太郎だよ!」
俺の悲痛な叫びが城に響き渡った。
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