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第2章
第20話
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エレナの魔力の動きを掴んでから2日後、俺はようやくエレナを捕まえる事に成功した。捕まえられたエレナは悔しそうにしてたが、3日も逃げた事を褒めたら喜んでいた。
中庭に降り立つと、おっさんとアイナさん、『黄龍』のゼリスさんがいた。
「やっと捕まえたようじゃな。」
「まぁエレナが思ったより速かったからな。」
「よし、じゃあ今日からはこれじゃ。」
そう言うとおっさんは懐から1枚の布を取り出した。
「ん?これって?」
「これを目隠しにしろ。そしたら儂らが魔法で攻撃するから、跳ね返すか避けるかしろ。」
「また無理難題を…」
「レイ様、これを」
ゼリスさんはそう言うと持っていた刀のようなものを手渡してくれた。
「これは?」
「この城の武器庫に保管されていた、天叢雲剣です。龍殺しの加護が付与されているので、今度のバハル討伐でもお持ちください。」
「わかりました。」
刀は綺麗な水色をしていた。澄み渡った海に近い色で、確かに感じたことのない魔力を放っていた。
「それでだレイ、お前儂が今まで使っていた魔法がわかったか?」
「いや、それ以前になんて唱えてるかすらわかんなかった。」
「だろうな、儂らの使う魔法はお前のいた世界とはだいぶ違う部分が多いからな。魔力の質も違うじゃろ?」
「…確かに、みんな魔力の色というか濃度というか、俺のいた世界の人とは感じ方がちょっと違うかも。」
「さっきまでやってた鬼ごっこも、龍の魔力を感じ取り続けて龍の魔力に慣れてもらうのも兼ねておったんじゃ。」
「…それでなんで目隠し?」
「目隠しをして目で魔法を追うのではなく、儂らの打った魔法を感じ取ってもらうためじゃ。元来、『青龍』には魔法を得意とする者がついておる。」
「つまり本戦でも、バハルは魔法をバンバン使ってくると?」
「そういう事じゃな。そんな時知らない魔法を使われて目で追っているよりも、あらかじめ1秒でも早く感じ取れたらその方が少しでも対策出来て有利じゃろ?」
「なるほどね。それで俺はどうすれば?」
「とりあえずあそこらへんで待っとれ。」
言われた所まで飛んで行き待機すると、おっさんが俺の方に手を向け毎度の事ながら訳の分からない詠唱をした。
確かに最初の頃は知らない魔法と魔力に少し戸惑ったが、エレナの魔力をずっと意識するようにしていたおかげか、おっさんが俺の周りに魔力を張っているのがなんとなくわかった。
おっさんが詠唱を終えると、俺は1部屋サイズの箱に閉じ込められた。
「レイ!それはな龍族の魔法のみ通す『魔を選ぶ箱』じゃ!」
確かに言われた通り、手に魔力をはって箱を殴ってみるがビクともしなかった。俺はこの箱の中に閉じ込められたわけだ。
それはつまり、俺はこの箱の中しか移動できないということになる。
「今からお前に儂ら3人で魔法を打ちまくる!お前はその刀で魔法を切るか、蹴って跳ね返すか避けるかしてとにかく儂らの魔法をくらうんじゃないぞ!目標は1000個連続じゃ!」
「1000個か…ちょっと多いような…」
「返事!」
「わかったよ!」
まぁ今までの特訓よりは少しは楽かなと思った俺が甘かった。俺が目隠しをするとおっさんとアイナさん、ゼリスさんは横一列に並んで俺に向かって両手を突き出した。
すると全員の両手に何やら魔力を感じた。
「あのーみなさん、これって一気に6発くらいくる感じ…」
「じゃあ始めるぞ!」
「ちょっ…!」
「******」
「#########」
「○○○○○○○」
俺の言葉を聞くまでもなく、6個の魔力の塊がとんでもない速さで迫ってくるのを感じた。
俺はなんとか2発刀で切って3発を殴り返し、1発を蹴り飛ばした。
危なかったと思ったのも束の間、すぐに第2波、第3波と立て続けに打たれてもはや思考をする余裕もなくひたすら動き続けた。
「……はぁはぁ…まじで武神の加護と全属性魔法耐性がなかったら死んでた…」
夕方になり中庭で俺は相変わらず大の字でくたばっていた。横ではエレナがしゃがんで心配そうに、俺の頰をつついている。
「今日は1000発中96発くらっとったな。まぁ初回にしては大したもんだ。」
「…そりゃどーも。」
「この特訓はあと3日はやってもらう。それまでに1000個連続を目指せよ?」
「…はぁ…わかった。」
「よし帰るぞ。飯の時間だ!」
「おっ、やった!今日は何だろうな~」
「…全く、そうゆう所はまだお前も子供じゃな。」
そうして魔力慣れの1日目が終わった。
----------------
暗い海の中で、1人ニヤリと笑う者がいた。
「ふっ、いよいよですね○○○。」
「……………………………」
「もう少し待っていてくださいね…。」
そして暗闇へと歩いて消えていった。
中庭に降り立つと、おっさんとアイナさん、『黄龍』のゼリスさんがいた。
「やっと捕まえたようじゃな。」
「まぁエレナが思ったより速かったからな。」
「よし、じゃあ今日からはこれじゃ。」
そう言うとおっさんは懐から1枚の布を取り出した。
「ん?これって?」
「これを目隠しにしろ。そしたら儂らが魔法で攻撃するから、跳ね返すか避けるかしろ。」
「また無理難題を…」
「レイ様、これを」
ゼリスさんはそう言うと持っていた刀のようなものを手渡してくれた。
「これは?」
「この城の武器庫に保管されていた、天叢雲剣です。龍殺しの加護が付与されているので、今度のバハル討伐でもお持ちください。」
「わかりました。」
刀は綺麗な水色をしていた。澄み渡った海に近い色で、確かに感じたことのない魔力を放っていた。
「それでだレイ、お前儂が今まで使っていた魔法がわかったか?」
「いや、それ以前になんて唱えてるかすらわかんなかった。」
「だろうな、儂らの使う魔法はお前のいた世界とはだいぶ違う部分が多いからな。魔力の質も違うじゃろ?」
「…確かに、みんな魔力の色というか濃度というか、俺のいた世界の人とは感じ方がちょっと違うかも。」
「さっきまでやってた鬼ごっこも、龍の魔力を感じ取り続けて龍の魔力に慣れてもらうのも兼ねておったんじゃ。」
「…それでなんで目隠し?」
「目隠しをして目で魔法を追うのではなく、儂らの打った魔法を感じ取ってもらうためじゃ。元来、『青龍』には魔法を得意とする者がついておる。」
「つまり本戦でも、バハルは魔法をバンバン使ってくると?」
「そういう事じゃな。そんな時知らない魔法を使われて目で追っているよりも、あらかじめ1秒でも早く感じ取れたらその方が少しでも対策出来て有利じゃろ?」
「なるほどね。それで俺はどうすれば?」
「とりあえずあそこらへんで待っとれ。」
言われた所まで飛んで行き待機すると、おっさんが俺の方に手を向け毎度の事ながら訳の分からない詠唱をした。
確かに最初の頃は知らない魔法と魔力に少し戸惑ったが、エレナの魔力をずっと意識するようにしていたおかげか、おっさんが俺の周りに魔力を張っているのがなんとなくわかった。
おっさんが詠唱を終えると、俺は1部屋サイズの箱に閉じ込められた。
「レイ!それはな龍族の魔法のみ通す『魔を選ぶ箱』じゃ!」
確かに言われた通り、手に魔力をはって箱を殴ってみるがビクともしなかった。俺はこの箱の中に閉じ込められたわけだ。
それはつまり、俺はこの箱の中しか移動できないということになる。
「今からお前に儂ら3人で魔法を打ちまくる!お前はその刀で魔法を切るか、蹴って跳ね返すか避けるかしてとにかく儂らの魔法をくらうんじゃないぞ!目標は1000個連続じゃ!」
「1000個か…ちょっと多いような…」
「返事!」
「わかったよ!」
まぁ今までの特訓よりは少しは楽かなと思った俺が甘かった。俺が目隠しをするとおっさんとアイナさん、ゼリスさんは横一列に並んで俺に向かって両手を突き出した。
すると全員の両手に何やら魔力を感じた。
「あのーみなさん、これって一気に6発くらいくる感じ…」
「じゃあ始めるぞ!」
「ちょっ…!」
「******」
「#########」
「○○○○○○○」
俺の言葉を聞くまでもなく、6個の魔力の塊がとんでもない速さで迫ってくるのを感じた。
俺はなんとか2発刀で切って3発を殴り返し、1発を蹴り飛ばした。
危なかったと思ったのも束の間、すぐに第2波、第3波と立て続けに打たれてもはや思考をする余裕もなくひたすら動き続けた。
「……はぁはぁ…まじで武神の加護と全属性魔法耐性がなかったら死んでた…」
夕方になり中庭で俺は相変わらず大の字でくたばっていた。横ではエレナがしゃがんで心配そうに、俺の頰をつついている。
「今日は1000発中96発くらっとったな。まぁ初回にしては大したもんだ。」
「…そりゃどーも。」
「この特訓はあと3日はやってもらう。それまでに1000個連続を目指せよ?」
「…はぁ…わかった。」
「よし帰るぞ。飯の時間だ!」
「おっ、やった!今日は何だろうな~」
「…全く、そうゆう所はまだお前も子供じゃな。」
そうして魔力慣れの1日目が終わった。
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暗い海の中で、1人ニヤリと笑う者がいた。
「ふっ、いよいよですね○○○。」
「……………………………」
「もう少し待っていてくださいね…。」
そして暗闇へと歩いて消えていった。
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