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第2章
第21話
しおりを挟む魔力慣れの特訓も、次第に当たる数は減ってきた。
「あと100発じゃ!」
「わかってる!」
この特訓が始まってから3日、今のところ900発はノーダメージで来ている。
まず向かってくる魔弾4発に刀を最小限振り下ろして切る。空中で刀を振り下ろしているので、体が前のめりになってしまうがそれを利用して迫る2発の魔弾に、空中で前回転をしてかかと落としを決める。そしてそのまま下へと避け、迫る魔弾を殴り返す。
そんな事を繰り返しているうちに、残り10発ちょっととなった。
「ラストじゃ!」
「「「*****」」」
3人が同じ詠唱したと思ったら、3人の魔力が1つになっていくのを感じた。
昔リゼに読んでもらった本に、こっちの世界の言葉では『融合魔法』とか書いてあったのを思い出した。これを成功させるには術者の信頼関係が大事だと書いてあった気がする。
そしてどデカイ魔弾が飛んできた。
「これで終わりにする!」
俺は刀に魔力を流しながら箱の1番奥の壁へ移動し、突きの構えをとって呼吸を落ち着かせる。
(確か世界一の大剣豪は全ての物体の「呼吸」を聞くって言ってたっけ…)
魔弾が箱をすり抜けたのを感じ、魔力を流した刀を流れるように突いた。
「……………貫徹ッ!!!」
刀の切先が魔弾に触れた瞬間、そこを中心に巨大な爆発を起こした。
だが、俺にはほとんどダメージがなくようやく箱の魔力が解かれ自由になれた。
「いやー今のはさすがにちょっとびびったなぁ。」
目隠しを取りながらゆっくり地上に降りると、みんなポカーンとしている。
「ん、どうかした?」
「…いや、お前が規格外なのを忘れとったわい。」
「今の融合魔法は結構自信あったんだけどねぇ。」
「流石の一言に尽きますね。」
「とりあえずこれでこの特訓は終わりじゃ。」
「いよっしゃあ!」
かくして、龍の魔力慣れの特訓は終わった。
昼を挟んで、おっさんを待っていると何やら嬉しそうに歩いてきた。
「なんだよいい年したおっさんが嬉しそうな顔して…」
「がははは!それはそうじゃ、今度の特訓は儂の秘技を教える特訓じゃからな。」
「なんだそんなんか。」
俺の一言にカチンときたのか、おっさんから紅いオーラが出始めた。
「なんじゃと!せっかくこの儂が教えてやろうとしているんじゃぞ!」
「おっさん秘技の意味わかってるのか?俺に教えて言いわけ?」
「お前くらいしか真似られるやつはおらんだろうからな。」
「わかったよ、やればいいんでしょ。」
「そうじゃ、最初からそうしておればいいんじゃ。秘技には名前もあるんじゃぞ?」
「…ダサいのは勘弁だぞ?」
「わかっておるわい!いいから早く始めるぞ!この技はな、刀に魔力を流してー」
特訓の後部屋でおさらいのために言われた事を思い出したが、じじぃの話が長すぎてやれやれと溜息をついた。。
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