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第2章
第22話
しおりを挟む秘技とやらの特訓を終えて部屋に戻り、俺はある実験を開始していた。
おっさんに出してもらった小さなペザンテ鉱石をとりあえず二等分にする。
両方の石に手を置き、目を閉じて頭の中のイメージにある形をもとに魔力を流し込んでいく。
目を開けるとそこにはピストルの形をした型のようなものができていた。
(イメージしたのは魔○科の司波達也のCADなんだけどね。)
出来上がった型に、魔法袋から8個の魔石を取り出す。ここにくる前の森で狩った神獣たちの魔石だ。火・水・風・土・闇・光・雷・無属性の石全てを正方形のサイズに加工し、型に一個ずずはめていく。
魔石をはめ終わったら、今度は水の精ウンディーネの魔石を取り出した。魔石に、新しく作ったスキル付与魔法で俺の持っているスキル「世界眼・鑑定・魔法作成・全物理攻撃耐性・全魔法耐性」を付与した。ウンディーネを選んだのは、声が1番綺麗だったからだ。そして魔法作成で対話魔法を付与した。この魔法は動物に付与すれば、その動物と対話が可能になる魔法だ。
全ての魔石をはめ込み、2つの型をあわせて結合魔法で型の境目が見えなくなるまでにした。
完成した銃に少し違うイメージを流し、引き金部分とスライド部分を造形魔法で付け加えれた。
最後に全体を俺の髪の色と同じ桜色にし、細かい部分には紅で塗装してメタリック感を出した。
「よし…!正直銃の知識全くないけど魔法のイメージで作れるから便利だな…。」
金属の弾を必要とする前世の世界の銃だったら、絶対に作れていなかったがこれも異世界転生のおかげかと感謝した。
この銃には弾を入れる場所もなければ必要もない。なぜなら先程入れた魔石があるからだ。
使い方は簡単だ。手動操作の場合は、銃に魔力を流し標的に向けて、引き金を一度引く。これによって魔法を当てたい標的に自動で刻印が出来る。そして使いたい属性魔法をイメージして魔力を流せば、必ず刻印した標的に攻撃できる。
あらぬ方向に向けていても、1度刻印した標的なら必ず魔法が当てられる。
スライドを引けば消費魔力が2倍になるが、標的に与えるダメージも2倍になる。まぁ俺の魔力に消費という概念はもはやないので、標的の強さに合わせてスライドは引けばいい。
自動操作の場合は魔法を当てたい相手に向かって属性魔法のイメージして魔力を流し引き金を1度引けば、銃が向けられている標的を自動で鑑定して1番効果のある魔法を撃ってくれる。
これを作ったのは手を前に出したりして標的に魔法を放つよりも、銃で魔法を撃つのがかっこいいなと思っただけで、これを使えば魔力が大幅アップなどの効果はない。ただの男のロマンを求めた結果だ。
だがこの銃にはいくつか秘密がある。
1つは普通の人間なら持つ事も出来ないだろう。こっちの世界であれだけ俺が苦労して持つ事ができた石からできているのだから、普通の人間にはまず持ち上げる事すら出来ないだろう。
2つ目は中に組み込まれている魔石だ。神獣クラスの魔石を使用しているので、魔石を使って攻撃するのに相当な魔力が必要だ。まぁ魔力が無限の俺には関係のない話だが。
そして3つ目がこの銃の見せ所だ。
「よし…試してみるか。」
銃にほんの少し魔力を流し、口元に近づける。銃のグリップの下の方にはマイクとスピーカー用の細い隙間を作ってある。
(どうやって起動しよう…)
とりあえず適当に声をかけてみた。
「おーい、起動してくれー」
『初めまして。マスターの魔力を感知しました。』
(よし!成功だ!)
『ご用件は?』
ウンディーネの魔石を使ったおかげで、とても綺麗な声をしたS○riみたいなのが出来上がった。言葉遣いもとてもなめらかで、もはや喋るシル○ーホーンというよりもサイコ○スのドミ○ーターに近かった。
(まぁこれは犯罪係数じゃなくて魔力は測れるけどね…)
「いや、用ってわけじゃないんだけど使えるかどうか確認したくて。」
『そうですか。』
もちろん感情など銃にはないので、会話が途切れる。
「あっ、そうだ名前教えてよ!」
『私はあくまで武器ですので、名前などございません。』
「そっか…何がいいかな…ピストルだからピスル。うーん違うな…」
『ピスルでよろしいのですか?』
「あー待って待って!…あ、じゃあロゼッタなんてどう?綺麗な桜色だから!」
『ロゼッタですか…。わかりました、今日から私の事を起動する場合は、ロゼッタとお呼びください。』
「うん、これからよろしくねロゼッタ。」
『こちらこそよろしくお願いします、マスター』
魔法袋にロゼッタをしまい、いつもより1時間ほど遅くにベットに入った。
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