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第3章
第56話
しおりを挟む誰かに鼻を突かれているような気がした。ゆっくり目を開けると、イヴがニコッと笑ってレイの鼻をつついていた。
「…おはよう。無事に帰ってこれたようで良かったよ、ご苦労さん。」
魔石を取り出すと、イヴは動かなくなった。イヴを魔法袋にしまい、魔石をポケットに入れた。
ちょうどリゼが俺を起こしに来た。
「レイ様、おはようございます。もうすぐ朝食の準備が整いますので、着替えてお越しください。」
「うん、わかった。あ、1人分追加しておいてもらえる?」
「?わかりました。」
リゼは不思議そうにしていたが、準備のために出ていった。急いで着替えて、紅葉たちを呼びに行く。
寝室に着くと、2人は仲良く手を繋いで寝ていた。
(なんというか…雑誌の表紙とかに載ったら即重版になりそう…。)
俺の気配に紅葉が気づいて、ゆっくり起きて頰を擦り寄せてきた。
「…レイか。朝ごはんの時間か…?」
「うん、ティナさんの分もあるから早く行こう。ティナさん、起きてー。」
「………んん………あ、おはよう。」
「さ、戻ろうか!」
2人を連れて食卓に行くと、父さんと兄さんが驚いていた。
「レイ、また婚約者を増やし…ってティナ副団長か。なんでうちにいるんだ?」
「それは…まぁそのいろいろ。」
「ふーん、まぁいいか。腹減ったから早く食べよう!」
「そうね。レイちゃんもやるわね~」
「母さん、違うから…」
ティナさんはクスクスと笑っていた。
朝食の後自室に戻り、4人でテーブルを囲んだ。
「とりあえずティナさんを家に帰してあげないとね。」
「えーティナもうお別れなのか?妾は寂しいぞ~。」
「こら、駄々をこねるのは良くないです。寂しいのはみんな同じなのですから。」
「ふふっ、またすぐ会えるわよ。」
「本当か?!なら良いぞ!」
「ティナさんはどこに住んでるの?」
「基本は副団長室で仕事してそのまま潰れてる事が多いけど…たまに中心街にある家に帰るわね。今日まで休みだからたまには家に帰ろうかな。」
「そうですか…じゃあ準備をして紅葉と下で待っててもらえますか?少しやりたいことがあるので。ロゼッタはここに残ってね。」
「わかりました。」
「なら妾は昨日買ったお菓子をティナと食べておる!」
「えーもう食べるの?」
そう言って2人は1階に降りていった。ティナさんも紅葉のおかげか笑顔が戻ってきていて、少し安心した。
「それでマスター、やりたい事とは?」
「とりあえず変身してくれるかな?」
「?わかりました。」
ロゼッタは魔法を使って銃の形になった。なんだか久しぶりに見た気がする。
ロゼッタのフロントサイトに、ポケットから出した魔石を起き、白い壁に向かって引き金を引き続けた。
するとロゼッタの銃口からプロジェクタのように、魔石に記憶された映像が壁に映し出された。
『これは…』
「大成功だね。」
『流石です…これは完璧な証拠になりますね。』
そこにはブレイドと会った後、イヴが目にした映像が残っていた。
俺たちと別れた後は、王城へと帰ったようだ。そこですっかり忘れていたが、ティナの話通りものすごい映像が始まった。
(なんて言えばいいんだろう…大乱行スティックシスターズで前世なら伝わるかな…。ステージは…ピーチ城じゃなくてダライアス王城「SMの部屋」って感じかな。なんというか知ってる人のこう言った映像って生々しいな、しかも性癖丸出しなんだが…というかこいつは飯の前に何をしとるんだ。)
ロゼッタからも少し殺気が伝わってきた。魔力を少し増やすと、映像が早送りされ食事会の映像に変わった。ティナの両親と王妃様は楽しんでいるが、ティナはうつむき気味でブレイドは卑しい目で時折ティナを見ていた。
『殺したいですね…コイツ』
「気持ちはわかるけど、一応こんなんでも王子だから。」
食事が終わり、ブレイドが何かをティナの両親と王妃様に提案したようだ。おそらく、適当な嘘でティナと2人の状況を作り出したのだろう。
そしてティナは連れていかれた。
『…マスター。ここでやめてもいいでしょうか?』
「うん、わかったよ。」
同じ女性として、やはり嫌なものなのだろう。魔石を取ると、ロゼッタは元の姿に戻った。
「わがままを言って申し訳ないです。ですが友人がクズに襲われる所を見るのは嫌でしたので。」
「いいよ、俺も別に見たいわけじゃないから。じゃあ行こっか。」
「はい。」
1階でお菓子を食べている2人に声をかけ、4人で王都に向かった。
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