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第7章
第113話
しおりを挟むジョーカーの言葉が俺に向けられたものかわからなかった。
「……それ、俺に言ってんのか?」
「えぇ、もちろん♬それとも、パパとか父上の方が良いですかぁ?」
「ちょっと待て!俺がいつお前の父親になったんだ!だいたい歳だってー」
そう言って俺はジョーカーを鑑定して驚いた。
[名]ジョーカー
[種族] 人族
[性] 男
[年] 6
[Lv.] 1
[称号] レイ君崇拝者
[体力] 1
[魔力] 1
[筋力] 1
[防御] 1
[迅速] 1
[適正魔法]
闇魔法 Lv.1
明らかに内容がおかしかった。俺のステと同じくらいツッコミどころが多い。
「お前…ステータス書き換えてるのか。」
「見られてしまいましたかぁ♬それより、帰る前に少しお話でもしましょう。」
ジョーカーは軽い足取りで部屋を出ていき、俺は警戒しながらその後をついていった。
「なんだこれ…!」
俺は家の外に出て目を疑った。家を囲む柵の外には、魔物がうじゃうじゃ生息していた。
ジョーカーはガーデンチェアへと行き俺を手招いているので、とりあえず向かいに座る事にした。
「これ全部お前が作ったのか?というか、ここはどこなんだ…?」
「ここは僕の中ですよぉ。魔物達はソラn…おっと、あるお方に頼まれましたからねぇ♫」
「第二王妃がお前の雇い主なのか?」
「そうです。今日、王国の外に魔物を解き放つよう命令されていましたぁ🎶まぁ全部倒されるとわかっていましたが。」
「わかってた…?」
「えぇ、あんなザコの集まりで王国を滅ぼそうなんてあのおばさんも馬鹿ですねぇ♪」
ジョーカーは嬉しそうに笑いながら、そばに置いてあった箱を開けた。箱の中には肉がたくさん入っており、その中のいくつかを柵の外に向かって投げた。
「だったらなんであんな事をした?」
「それはもちろん、あなたに会うためです♬あのおばさんの言う事も聞きつつ、あなたと2人きりになる事も出来る。完璧なプランですよぉ。」
「ふざけんな、こっちは今日試験だったんだぞ。今までの努力が水の泡じゃねぇか。」
俺の言葉に、ジョーカーは一瞬目を少し見開いたがすぐに納得したような顔になった。
「なるほどぉ、だからあのババアは今日に依頼してきたのですかぁ…。わかりました、僕の方からお灸を据えておきましょう♬」
「やめろ、悪人なのかもしれないけど王妃だぞ。」
「ごめんなさぁい、1度抱いてしまいましたよぉ♬」
「なっ…!」
男は悪びれる様子もなく、笑顔で謝罪した。
「お前本当に何者なんだ…?王国を壊滅させたいのか?」
「そんな事、僕は興味ありませんよぉ。そもそも、お父さんが護る国を落とせる奴なんていませんよねぇ♬それに、僕もあの国は好きですし。」
「その呼び方やめろ。俺はお前の父親になった覚えはない。」
「いえいえ、あなたは僕のお父さんですよぉ。なんていったってー」
ジョーカーが話を続けようとしたところで、先ほどの少女が何かを持って走ってきた。
「………重い……。」
少女はテーブルの上に持っていた何かの卵を置いた。
「ご苦労様です、姫。今日お父さんをお呼びしたのは、この卵をあなたにあげるためでもあったんですよぉ。」
「…なんの卵だ、これ?」
「それは産まれてからのお楽しみです♬決して害のある魔物が産まれたりはしないはずです。」
「信憑性ゼロだな。」
断っても無理やり渡されそうな雰囲気だったので、卵を持って立ち上がった。
「それより早くここから出せ。お前に聞きたいことはたくさんあるけど、もしかしたら試験に間に合うかもしれないから今日はやめておく。」
「そうですかぁ、寂しいですねぇ。では…」
ジョーカーが指を鳴らすと、俺の真下に黒い穴ができた。穴は徐々に俺を引きずり込んでいく。
ジョーカーは少女と手を繋ぎ、にこやかに手を振っていた。
「あ、第二王子とあのイキリ冒険者は残念でしたねぇ♬」
「まさか、お前ー」
俺の言葉が続く事はなく、いつしか完全に穴に沈んでいった。
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