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第8章

第132話

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「よし、やろうぜ。」

「レイ君頑張ってー!」
「が、頑張ってくださーい…。」

「なんか前にもこんな事あったな…。」

俺の前で隣の席にいたガジルスが構え、近くでマリアとシオリが応援している。  

何故こうなったかというと一



朝1番でシオリが昨日の放課後の事を謝ってきた。別に気にしてないといい話していると、マリアが来て3人仲良く話した。
その後の魔法実技の授業で4人班を作る事になり、3人は決まりあと1人を探していた時だった。

「おい。」

「ん?」

声のした方を向くと、初日にうるせぇと言ってきた怖いヤンキーボーイがいた。確か昨日鑑定したら名前はガジルスと書いてあり、相変わらず不機嫌そうな感じは健在だった。

「えっと…どうかした?」

「俺をいれろ。」

「え、あー…わかった。ガジルスだよね?」

「あぁ。」

ちょうどこっちも1人探していたところなので、仲良くなれるかわからなかったがとりあえずガジルスが同じ班になった。

「なんか…つまらないね。」

「何が?」

グラウンドで教師の話を聞いていると、マリアがこっそり話しかけてきた。

「授業の事よ。レイ君に教わっていた時の方が楽しかったなぁ…。」

「そう、かな?まぁ物足りない感はあるかもしんないけど…。」

そんな事を話しているうちに、みんなで魔法の練習の時間になった。
班ごとに距離をとり、その場で練習が始まった。

「なぁ、俺と組手してくんね?」

「え、今?!なんで…?」

「やりてぇからだけど。」

「あとじゃダメなのか?休み時間とか…」

「ダメだ。」

「あ、そう…。」

(ダメだー!ヤンキーがお願いなんて聞いてくれるはずないわ。ベル坊助けてー…なんなら三橋か賀来賢人でもいいよ。)

「わ、わかった。じゃあ軽くなら一」

「全力でヤリあおうぜ。」


オワタ( ˙ꈊ˙  )



そして今に至る一。

目の前でガジルスは軽いストレッチをしており、やる気満々と言った感じだ。

「じゃあ早く一」

「ちょっと待ってな。『幻影楼ファンタム・ミラージュ』」

「何したんだ?」

「これで、周りからは魔法の練習をしているようにしか見えなくなった。」

「なるほどな。聞いていた通りだぜ。」

「聞いてた…?」

「歯くいしばれぇ!」

「は?」

とんでもなくいかついセリフが聞こえたと思ったら、前方にいたガジルスが消えた。そして気づいたら、俺の顔面に拳がささっていた。

「へっ、大した事ねぇ…」

「えいっ。」

「ぐっ?!」

余裕の笑みを浮かべたガジルスのデコに、俺は軽くデコピンを入れた。ガジルスはもろにくらって後方に吹っ飛んでいったが、少し離れたところで器用に着地した。デコが少し赤くなっている。

「びっくりしたぁ…。」

「こっちのセリフだ!テメェ俺の拳が入ったはずなのに、なんで立っていられる…。」

「なんでって…」

「1発で無理なら何発でも叩き込んでやるぜ!」

「円堂守かよ…。」

ガジルスは物凄い速さで突っ込んできて、重いパンチを何発も放ってきた。手のひらを使って、拳を全て最小限の力で流していく。

「だったら!」

ガジルスは連撃をやめ、軽く飛んで顔面に回し蹴りをしてきた。それをしゃがんで避けながら、足を掴んで相手の勢いを使いそのまま投げ飛ばす。
そして飛んで行ったガジルスの上に転移し、かかと落としを入れた。

「ふんっ!」

「うわっ?!」

だが、ガジルスは飛ばされながら俺の足を受け止め鳩尾にボディーブローを入れてきた。
そして俺の右手を掴み、着地して地面に体を叩きつけようとした。

「よっ!」

叩きつけられる瞬間、なんとか体勢を直して地面にしっかり足をつける。右腕を握られつつも、両足を付けながら上空を見ている形になった。

「まじかよ?!」

「必殺!マジ殴り!」

「がはっ!」

そのままの体勢で、左手でガジルスの腹にパンチを入れた。ガジルスは体をくの字にまげ後方に突っ込んでいき、地面に倒れて気を失った。

「強かったな…。でも誰かと似た戦い方だったような…。」

ちょうどそこで授業が終わってので、倒れているガジルスを背負って保健室に向かった。



-------------



夕方、ベルベットは宿の椅子に座り机の上を見下ろしていた。机の上には細長い箱と瓶が置いてあり、瓶には緑色の液体が入っている。

「…………それでは。」

箱を開けると中には注射器が入っており、針の先端を瓶の中の液体につけた。そして少しだけ中の液体を吸い出し、瓶の蓋を閉じた。
注射器を慎重に持ち、予め服をはだけさせておいた左胸のあたりに針の先端を向ける。そして迷う事無く針を刺し、中の液体を体に注入していった。

「ゔっ!ぐっ………!」

液体が入ってくると、ベルベットの体に凄まじい不快感と吐き気が襲った。だが、何とか堪えて全ての液体を入れ終えた。

「……っはぁ……はぁ……はぁ……。」

重い体にムチを打ち、注射器をしまってそのままベットに倒れこんだ。そしてピクリとも動く事なく、死んだように眠りについた。





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